✦ ルミナス・ラブロマンス ✦
◆ 中盤チャプター
― 建国祭 前夜・王城 ―
王都は明日の建国祭に向けて光に包まれている。
祝祭や栄光、王国の歴史を称える年に一回のお祭り。そして次代の王と、その隣に立つ者を示す舞台。
(……そうだよね、明日は大事な日。)
今年の建国祭はただのお祭りじゃない。
誰が王太子の伴侶にふさわしいのかを民衆と貴族、この国の民に見せつける場。
私は回廊を歩きながら思わず背筋を伸ばした。
「エルシャ」
振り返るとエドワードがいた。いつもより表情が硬い。
「今夜は、できるだけ一人にならないでほしい」
「え?」
「……忠告だ。理由は、察しているだろう?」
(……うん。わかっている。わたしがしているのは許されない恋なんだって…。)
⸻
◆ セレスティーヌ(あらすじ/要点確認)
婚約者を奪われるわけにはいかないセレスティーヌは頑張っていた。
「聖女が建国祭の祈りを穢すかもしれない」という噂や支援していた孤児院への寄付金がなぜか遅延。他にも聖女の衣装が、直前で変更されたという連絡に「平民出身の聖女が前に出るのは建国の精神に反する」という貴族の声が上がるようになど、様々なことを仕組んでいたのだ。すべてにおいて、セレスティーヌ・ド・ロシュフォールの名前は出ない。
◆エルシャ
正直、ちょっと怖い。許されない恋をした自覚がある以上、表立っての抗議もできない。
でも。それでも。
「……でもね」
私はぎゅっと拳を握って、すぐに笑った。
「建国祭、楽しみなんです!」
「エルシャ?」
「だって、みんながお祝いする日ですよ?嫌なことだけをたくさん考えるなんて、もったいないです!」
(……言ってて自分でもびっくり。わたしっていつからこんなに強くなったんだろう。)
エドワードは、しばらく私を見て。
小さく息を吐いた。
「……君は、強いな」
「えへへ。よく言われます!」
(あ、褒められた!)
⸻
◆ セレスティーヌ(前夜)
「まぁ、楽しそうですわね」
冷ややかな拍手。
振り向くと、豪奢なドレスに身を包んだセレスティーヌ。
「建国祭前夜に、殿下と親しげにされているなんて」
視線は私ではなく。
エドワードにまっすぐ向けられている。
「婚約者として少々不安になってしまいますわ」
(うわ、直球……!)
「それに」
一歩、こちらへ。
「明日の祈り、本当に聖女様に務まります?民衆の期待はとても重いものですから」
にこりと微笑む。
でも、その目は笑っていない。
⸻
◆ エドワード
「……ロシュフォール嬢」
低い声。
だが、
その前に。
⸻
▶ 重大選択肢(建国祭前夜)
A:天真爛漫に受け止め、逃げ場を与えない
B:聖女としての覚悟を、静かに示す
C:エドワードの腕をそっと離し、一歩前に出る
⸻
◆ 建国祭 前夜・王城回廊
私はにこっと笑う。
「ありがとうございます!」
その一言で空気がわずかに歪む。
「期待していただけるなんて、光栄です!建国祭の祈りだなんてやったことないですし、緊張しますけど……」
胸の前で手を合わせる。
「でも、お祝いの気持ちは負けません!」
セレスティーヌは、瞬きもせずに私を見つめていた。
「……本気で言っていらして?」
「はい!」
即答だった。
「だって、建国祭ですよ?この国が生まれた日なんですから!」
少し首をかしげて、付け足す。
「誰が前に立つかより、みんなが楽しめるかどうかが大事だと思います」
沈黙。
セレスティーヌの唇が、わずかに震えた。
⸻
◆ セレスティーヌ(心中)
(……違う)
(この女、自分が何を奪っているのかなにも分かっていない)
(王太子の視線。民意。未来の王妃としての舞台。わたしがどれだけ努力して今まで生きてきたと思ってるの。)
(それを、気持ちだの想いだの綺麗事で。)
(……許せない)
(私がどれだけの教育を受け、どれだけふさわしくあるために努力してきたと)
(それを運で得た聖女の力で――)
(……笑顔で、踏み荒らす)
爪が手袋の内側で食い込む。
(壊すしかない)
(この無邪気さごと)
⸻
◆ セレスティーヌ
「……そう」
声は完璧に整えられていた。
「では、どうかお務めなさいませ。聖女様」
その声は刃のように冷たい。
⸻
◆ エドワード
「……話は終わりだ」
短く、低く言う。
「建国祭前夜にこれ以上の不安を持ち込むのは控えてもらおう」
セレスティーヌはゆっくりと一礼した。
「……承知いたしました、殿下」
彼女に優しく寄り添う一方で、けれど私を見る目だけは一切和らがなかった。
⸻
◆ イベント後
彼女が去ったあと私はようやく息を吐いた。
「……こわかったです」
ぽつり。
「でも逃げたくなかったので」
エドワードは一瞬だけ言葉に詰まり、静かに言った。
「……君は私の思っている以上に戦っていたんだな、」
私はよく分からなくて、えへへと笑った。
「そうですか?わたしなんてまだまだですよ!!ちゃんと明日もがんばりますから見ててくださいね!」
⸻
明日で本当に完結になります




