✦ ルミナス・ラブロマンス ✦
最終話です
◆ 建国祭 当日 ― 昼 ―
大聖堂・祈祷イベント
大聖堂には白い光が静かに降り注ぐ。
私は祭壇の前で深く息を吸った。
(大丈夫。みんなのお祝いの日だもん)
両手を胸の前で重ね、練習した通りに祈る。
「――この国に加護を」
特に大きな変化は起こらないが、神聖な空気があたりに満ちる。
そして静かな安堵だけが場を満たしていた。
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▶ 選択肢(スピーチ内容)
A:形式通り、淡々と祈祷を終える
B:民衆への感謝を言葉にする
C:国の未来への祈りを加える
> B を選びました
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「今日という日を皆さんと一緒に迎えられて嬉しいです。どうかこの一年も、笑顔がたくさんありますように!」
民を前に少し照れながら微笑む。それだけで十分だった。
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◆ 聖水配布
私は一人ひとりに聖水を手渡す。
(ちゃんと、届きますように)
貴族も平民も、身分の差なく直接手渡す。
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▶ システム
《聖水の信頼度:最大》
《偽聖女疑惑:発生せず》
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◆ 建国祭 当日 ― 夜 ―
王宮・祝宴の間
音楽、笑い声、燭台の光。
私は少し緊張しながら壁際でグラスを持っていた。
平民として育ったためにいまだにこの空気に上手く馴染めない。
(……華やかだなぁ)
そのとき。
「――よろしいかしら」
場の空気を切り裂く声。
セレスティーヌ・ド・ロシュフォール公爵令嬢、その人だった。
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◆ 強制イベント:断罪開始
「この女は…偽聖女ですわ」
一瞬、音が消えた。
私は目を丸くする。
「え?」
「本日の祈祷もインチキ。そして配布されたあの聖水」
セレスティーヌは高らかに言い放つ。
「すべて偽物。これは民を欺き、神への冒涜行為です!」
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▶ 選択肢
A:否定せず、事実のみを述べる
B:慌てて弁明する
C:沈黙する
> A を選びました
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「……私はいつも通り祈っただけです」
震える声で続ける。
「嘘をついた覚えはありません」
それだけを述べてぎゅっと手を握る。
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◆ セレスティーヌ
「ではなぜ!」
声が鋭くなる。
「貴族の中にはあの聖水は特になんかの効果を感じなかった者もいる!」
ざわり。
「代々伝わる聖水と比べて、あまりにも――」
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だが。
「……それは言いがかりですね」
別の貴族が、低く言った。
「我が家で使っている聖水には何も問題を感じなかった。むしろあれがないと落ち着かないくらいなのだ。」
「我が領でもだ」
「効き目に差などない」
視線がセレスティーヌに集まる。
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▶ システム
《偽聖女告発:失敗》
《貴族信頼度:セレスティーヌ −−》
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「……っ」
それでも、彼女は止まらない。
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◆ 第二の断罪:王太子
「では、殿下についてはどうですの!」
矛先がエドワードに向く。
「遊興ばかりで執務を怠っている!」
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▶ 選択肢
A:エドワードを庇わない
B:事実を補足する
C:視線を伏せる
> B を選びました
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「殿下は……」
私は少し迷ってから、言った。
「毎晩、執務室の灯りが消えるの、王宮で一番最後です。」
嘘じゃない。
彼はいつも最後まで執務室にいるのだ。
そばで仕事を手伝っていたし、間違いない。
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「……加えて」
聖女の反応を無視したままに、セレスティーヌがさらに叫ぶ。
「側近ロレンツ!金銭の流れがおかしいと聞いています!」
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◆ ロレンツ
「……その件ですが」
ロレンツが静かに一歩前へと進み出る。
「すでに王妃殿下と監査済みです。不正は、一切ありません」
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▶ システム
《告発:全項目棄却》
《セレスティーヌ精神安定度:崩壊》
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◆ セレスティーヌ(完全崩壊)
「……嘘……嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ…!」
虚な目でぶつぶつと呟く。
「全部、全部……奪われた……!」
声が震え、理性が明確に切れた。
「平民上がりの聖女ごときが!私の立場を!未来を!」
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◆ 判決イベント
「――十分だ」
静まり返った王宮内に響く王妃の声。
「公の場での虚偽告発、王族への侮辱、聖なる儀式の冒涜。」
「そして、聖女への明確な悪意」
静かに冷たく淡々と告げる。
「セレスティーヌ・ド・ロシュフォール。あなたは、越えてはならない一線を越えました」
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▶ 最終選択肢
A:助命を願う
B:沈黙する
C:涙をこらえて見守る
> A を選びました
◆ 王宮・祝宴の間(続き)
私は一歩前に出た。足が少し震えていたけれど、止まらなかった。
「……待ってください」
静かな声。
でも、確かに響いた。
「セレスティーヌ様は、確かに間違ったことを言いました。私を傷つけようともしました」
一度、言葉を区切る。
「……でも」
私は、彼女を見る。
崩れ落ちたままもはや何も取り繕えないセレスティーヌを。
「それでも…命まで奪われるべきだとは、思いません」
息を吸って、続ける。
「聖女の力は裁くためのものじゃありません」
「光は誰かを完全に切り捨てるためにあるものではないと……私は、そう信じています。だから今こそ、聖女として彼女の処刑には反対です。」
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◆ 静寂
王宮の祝宴の間が、
完全に沈黙する。
誰も、すぐには言葉を発せなかった。
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◆ 助命嘆願後 ― セレスティーヌ暴走
エルシャの言葉が、祝宴の間に落ちた。
「……は?」
セレスティーヌが笑った。それはもはや貴族の微笑ではない。
「助命……?」
「私を、哀れんでいるつもり?」
声が次第に裏返っていく。
「黙りなさいよ!」
「平民の分際で! 聖女だか何だか知らないけど!」
理性が完全に切れて、淑女としてあり得ないくらいに荒れていた。
「私が! 私が正しかったのよ!」
「この国は、王太子妃の座は、私のものだった!」
彼女は前に出ようとし、次の瞬間騎士に取り押さえられる。
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◆ 王妃、激怒
「――もう十分です」
王妃の声が落ちた瞬間、場の温度がはっきりと下がった。
「聖女の嘆願は理性ある者に向けられるべき慈悲」
冷たい視線がセレスティーヌを射抜く。
「あなたはそれを受け取れる段階を越えました」
司法を司る王弟が一歩前に出る。
「陛下、彼女は公爵令嬢です。法に則った判断を下すべきで」
「黙りなさい」
短く鋭い一喝に、王弟はそれ以上言葉を継げなかった。
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◆ 判決
「セレスティーヌ・ド・ロシュフォール」
王妃は、感情を一切乗せずに告げる。
「あなたは虚偽の断罪、王権への反逆、建国祭の冒涜、そして、この場での暴挙」
「そのすべてをもって王国の敵と認定します」
間を置かず続ける。
「死罪に値する」
息をのむ気配が走る。
「ただし。」
王妃は、一度だけエルシャを見た。
「聖女の嘆願を完全には無視しません」
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◆ 処罰内容
•貴族籍:即時剥奪
•名字・称号・家系記録:すべて抹消
•王都地下牢への永久収監
•名を呼ばれることも顔を認識されることも許されない
•存在そのものを社会から消す刑
控えていた書記官が処罰内容を書き留めると同時に、王妃は告げる。
「処刑は三年後」
「その間、自分が失ったものを毎日思い出しなさい」
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◆ セレスティーヌ
「……は?」
声が震えた。
「三年……?」
「平民になるなんて嫌よ!!!今すぐ殺して……!」
「それは、あなたの望みでしょう?」
王妃は冷酷に言い切る。
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◆ エルシャ
エルシャは、言葉を失っていた。
助命を願った。
それでも。
(……止められなかった)
エルシャは、わずかに肩を落としていた。
助命を願ったという事実だけが胸に残っている。
静かに影が寄り添う。
「……もう、見なくていい」
エドワードだった。
王太子はためらいなくエルシャの前に立ち、彼女の視界をそっと遮る。
「君はやるべきことをやった。これ以上、背負う必要はない」
エルシャが顔を上げるとエドワードは少しだけ眉を下げて、柔らかく笑う。
「建国祭は終わった。……あとは、私が引き受ける」
その言葉にエルシャの張り詰めていたものがようやくほどけた。
その光景が。
セレスティーヌにははっきりと、見える位置にあった。
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「……っ、離しなさいよ!」
甲高い声が、床に落ちる。
セレスティーヌは、もう令嬢ではなかった。
名前も称号も、未来だって剥がされたあと。
乱れた呼吸のまま後ろから髪を強く掴まれ、体勢を崩す。
「やめ……っ、やめなさい……!」
足がもつれ、床に膝が当たる。
だが、止まらない。
引きずられるたびに髪が引っ張られ、首が後ろに反る。
視界が揺れる。その先にエドワードの背中が見えた。
エルシャを庇うように立ち、優しく声をかけているその姿。
「……っ……」
口を開こうとして声が出ない。
叫べばいい。
罵ればいい。
けれど、もう届く立場ではないと本能が理解してしまった。
視線が、床に落ちる。
さきほどまで自分が立っていた場所。
拍手と称賛が集まるはずだった場所。
そこに今いるのは…選ばれた聖女と、王太子。
そして自分は、名前も呼ばれず説明も与えられず、ただ処理される側。
「いや……」
掠れた声が床に吸われる。
髪を掴む手に引かれ、セレスティーヌはそのまま光の届かない方向へ連れていかれた。
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エルシャは、背後の音に振り返らなかった。
エドワードが静かに言う。
「見なくていい」
その言葉に彼女は小さく頷いた。
選ばれた者は前を向く。
選ばれなかった者は誰にも見られないまま、消えていく。
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◆ システム表示
【エンディング分岐】
•慈悲選択:成功
•完全救済:失敗(相手が拒絶)
•セレスティーヌ:社会的・精神的破滅ルート確定
いままでありがとうございました。
こんな長期間にわたる連載は初めてだったので、よければ感想を書いてくれると励みになります。
絵文字での反応や、★の評価も嬉しいです!!




