88:クッキー
『という訳で、おそらく解決した』
『ありがとうね。私の方から、お父様や民の皆さんに説明するね』
『わかった。ありがと~』
現在、モスアの姉である第二王女のセラシウに報告していた
『にしても、まさか本当に解決してきちゃうなんてね…』
『まぁ、解決したと言っても、モスアが居なければ解決していないんだけどね……』
『そうだったの?具体的に何があったか教えてくれる?』
『勿論!』
私は、紅茶を一口飲んでから話し始める
『えっと、簡単に言えば一切攻撃が効かなかったんだけど、モスアの能力で何とかなった』
『…魔物だったの?』
『ああ。そう言えばそこから話してないね。正体は、マグマで出来た竜が入ったコアの無いゴーレム?』
改めて言葉に表してみると、余りにも複雑だと実感する
『何というか、情報多いね。えっと、結局本体はその竜の方で合ってる?』
『……多分?』
『華寒も分かってないの?』
『そうだね。結局コアがない理由も、なんであそこに空間があったかも、マグマで出来た竜が居たのかも、全てが理解できていない。理解できている事と言えば、あいつは生物だったという事…』
『研究できそうな素材は?』
『ゴーレムの方は、竜が抜けたときに塵になっちゃったし、竜の方は原形をとどめない程還付なきに砕いちゃったから……』
『…砕いたって何?冷やして石にしてから砕いたの?』
『もしかしたら石になってかもしれないけど、凍らせたね』
『なるほどねぇ…』
彼女はとても深く考え込んでいる
私は、クッキーに手を伸ばす
軽くて、サクサクして、程よい甘さ
私好みのクッキーだった
思わずクッキーに手を伸ばし、口に運ぶ
そんな行動を三、四回程繰り返した時、セラシウが口を開いた
『これは私の仮説なんだけれども……もしかしたら、その竜がコアを飲み込んでいたんじゃないの?』
『コアを飲み込む?』
『これは仮説でしかないから信用しなくてもいいんだけど、物理的な体内じゃなくて、精神的な体内に入れていたんじゃないかな?』
彼女は説明を続ける
『まず、竜がゴーレムのコアを体内に飲み込む。それと同時にゴーレムが体内に入っておけば、コアを失ったことにはならずに、コアの無いゴーレムが生まれる。どう?』
『…ありえなくはないね』
えっと、一様現実の体内と精神の体内について振り返っておこう
まず、現実の体内
これは単純で内臓や神経などなど、様々な物がある
ただ、ここで魔力が発生しているわけでは無い
それが、もう片方の体内
精神の体内は魔力機関や属性機関、私で言えば均衡の力も裁断の力も…
まぁそういう物が作られるのが精神の体内
そして、名前に精神と付くだけあり、精神が大きく関係している
具体的に言えば、装飾だ
心優しい者は森、怒りっぽかったら火山や地獄、クールな者は海や雪山などなど…
その種類は生き物の数だけあると言われている
ちなみに、鎖につながれたアンがいた空間が精神の体内
あの時は理性という物を失い、魔物に近い状況になっていたから真っ黒だったわけだ
そんな感じで、体内と言っても現実と精神が存在しているのだ
ちなみに、精神の空間に入る為には、不意を衝くか、信用されるかだ
だからこそ、そこまで悪用されていない
まぁ、あくまで’’そこまで’’なんだけどね…
実際、昔は改造が行われていたという記録があるらしい
現在では一部例外を除き、処刑以外の罰し方がない程禁忌とされている
同じ程の罪だと、国家転覆や秩序、混沌の無断使用による殺しの二つだけとされている
まぁ、国によって違ったりするんだけど、だいたいそんな感じ
『まぁ、結果がどうであれ問題は解決された。今はただ詳しくは考えずにのんびりと過ごしてね…』
『お言葉に甘えさせてもらおう。それじゃあ』
『あれ、もう行っちゃう?用事?』
『特に無いけど、君の時間をそこまで奪うような事は……』
『いいのいいの!私は確かに第二王女だけど、そこまで忙しいわけでもないですし…強いて言うなら、モスアも呼ぶ?』
『そうだね。それじゃあ、私が』
そう言って立ち上がろうとした瞬間、セラシウに止められる
『まぁまぁ。お客さんはゆっくりしなされ』
そう言うと、彼女は立ち上がる
止める間もなく、ベランダから出て行ってしまった
私はクッキーに手を伸ばし、口に運ぶ
………やっぱり美味しい
このクッキーってどこで買えるんだろう……
もしくは作るとか?
生地が関係するとは思うんだけど………
レシピ教えてくれないかなぁ
そんな事を考え続けつつ、次へ次へとクッキーを口に入れては咀嚼し飲み込む
気付くと、クッキーは無くなっていた
………無くなっていた!!
やばい、食べ過ぎた…
セラシウって何枚食べてたっけ…
モスアに関しては食べてないし……
こ、これはやらかした…
謝るしかないかぁ……
はぁ………やっちゃったぁ…
『そんなにおいしかったの?』
私が後悔していると、後ろから声がした
上を向くと、モスアがこちらを見ている
『あ、うん。オイシカッタヨ……』
『そこまで焦らなくてもいいんですよ?』
そんなセラシウの声が聞こえる
彼女はクッキーが山盛りに入っている器を持っていた
私は心からホッとする
多分作っているのだろう
後でレシピを教えてもらうことを決意した
『ほら、華寒。あ~~~ん』
彼女はそう言いながらクッキーを差し出す
私は勢いよくかじりついた……つもりだった
だが、私の口は空を切った
『へ?』
思わずそんな声が漏れてしまう
私は目を開く
するとそこに居たのはクッキーを手に持つモスアの姿だった
『残念!このクッキーはうちの~』
そう言って彼女はクッキーを口に放り込み、自慢げな顔でこちらを見てくる
『あぁ……』
私がそんな声を上げると、彼女は焦ったようにクッキーを取ってくる
そして、私に差し出した
そのクッキーを、大人しくかじる
すると、今回はサクッという音が響いた
口にはほんのり甘い味と香ばしい匂いが響いた
私はクッキーをしっかりと味わう
にしても、なんでそこまで焦って私にクッキーを出したんだろう?
まぁいっか
私は餌付けされながらお茶会を続けた
どうもどうも
という訳で、作品の話をします
今回の想改め華寒は少し幼げでしたね
モスアがなぜ焦ったのか、それは次回わかるでしょう!
ちなみに、華寒は本名ではございません
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました
今後も、‘‘できれば‘‘お付き合いください!
お相手は八月十四日の私、葉都でした
ということで、ではでは~




