84:とても可愛い死神様
彼女は驚き目を見開く
『………!それから手を放せ!』
彼女は勢いよく立ち上がった
驚きの後、怒りがやってくる
そこまで大切な者だったということを、何となく安心感がある
私は、彼女の忠告を無視して、箱を開ける
中には、綺麗な宝石が付いた指輪とイヤリングだった
片方はエメラルドの様な物が、片方はアメジストの様な物がついている
たしか、この二つのアクセサリーは、その昔モスアともう一名が私にプレゼントしてくれた物で、均衡を使えなかった時に均衡を抑え込む物として渡された
今考えてみると、この二つの宝石は秩序と混沌なのだろうが…
一体全体、どうやって作ったのか
まぁ、今は別に気にすることでもない
私は指輪とイヤリングを身に着け、彼女の方向に振り向きながら透明化を解除した
『やあやあ、久しぶりだね?』
『へ……』
彼女は気の抜けた声と共に椅子に座り込む
『………え?』
座り込んだ後、私を見つめている
『えっと……』
『華寒、なの?』
『そうだよ?』
『……き、記憶は…』
『君見て復活した』
『…じゃあ、想というのは……』
『適当に付けた私の名前』
『じゃ、じゃあ……』
『ちょっと待って!…座らせて?』
『確かに。いいよ、いつものように座って?』
『じゃあお構いなく』
彼女に了承を得て、私は彼女のベッドに座り込み、伸びをする
『……』
『え、どうかした?』
彼女は私の顔を見続けていた
『いや、幸せそうで良かったなって…』
『へ?前の私は幸せじゃなかったと?』
『そうだったんだろうね。ここ数十年、笑った姿なんて見たことなかった。今の華寒、いや想はとっても生き生きしている』
『へ~~。ところでさ、能力増えたって話する?』
『……は?』
『いや、君にとっての私の能力って…』
『えっと、氷龍化でしょ?』
『ああ、やっぱりそうだよね』
現在、私は二つの能力が使える状態になっている
一つ目は構築
これに関しては散々使いつくしていたので理解している
もう一つは、さっき彼女が言った氷龍化である
おそらくだが、ルスの能力である天聖化と似たような物なのだろう
ルスの能力は、天使の羽と輪が現れるという物
つまり、私のこの能力は名前の通り、氷龍の様になるのだろう
まぁ、詳しくは後々考えるか
今はただ、何故能力が増えた…
いや、帰って来たのか
そして、何故あの時私の能力が増えたのか……
共通点は……
分からないや
今はただ、再開を喜べばいいか!
『ところで、なんであんな面々連れて旅してるの?国家転覆でもするつもり?』
『国家転覆だけ考えるんだったら私だけで十分だよ?』
『へ?そんなに強くなったの?』
『まぁそうだね。聞いてよ~私の封印されていた力を使いこなせるようになったんだよ!』
『ええ!っていうことは…』
『そう。主になりました!』
『おめでとう!どんなことが出来るようになったの?』
『えっとねぇ、魔物を生み出せるし、多分新たな生き物も生み出せられる』
『…へ?』
『後は、不安定にさせて大爆発引き起こせたり、羽として使えたり……』
『…あまりにも便利じゃ……』
『と思うじゃん!実際はオーバースペックすぎてあんまり使えないんだよ……』
『そうなんだ…ところでさ彩さんって何者なの?』
『へ?』
『いや、華寒は主だからとか、単純に出ている情報が少ないっていうのは分かるんだけど、彩さんは本当に理解できなくて…』
『えっと、彩って私が付けた名前でね…』
『うんうん』
『本当はあれ、裁断のバトルアックスっていうの…』
『……ん?また?』
また?
『まるで私が聖剣を前にも持っていたみたいな発言だねぇ~』
『え?それは覚えていないの?』
ん?
…冗談だったんだけど
『……もしかして、まだ見つかって無いやつ?』
『そうだよ?本当に覚えてないの?』
私は記憶をさかのぼる
すると、彩と会った時に言っていたことを思い出した
確かあの時、確かすでに契約済み?みたいな話をしていた
それに、何かスナイパーライフルが脳内に現れたんだよなぁ~
『………もしかしてスナイパーライフル?』
『な~んだ。記憶あるじゃん!』
『あ。あれか…』
彩と会った時とか、ギアナに九本の聖剣の話をされたときに現れた違和感
その答え合わせが経った今行われた
あのスナイパーライフルは、見つかっていない聖剣の一本だったのか…
『ところで、そのスナイパーライフルは……』
『ん?ベティのとこだけど…』
…え?
『……嘘!そっちは記憶無いの?』
『そうだね。実際キミの記憶がよみがえったのも、君を見てからだし……』
でもたぶん、モスアとの出来事を思い浮かべた時、もう一名誰かいた気がする
でも、その程度だ
『そっか……とりあえず、記憶が復活することを祈っておくよ』
『ありがと』
私は彼女に感謝を伝え、ベットから立ち上がる
『それじゃあ、みんなの方に』
『待って』
そう言った瞬間、彼女が私の手を掴んできた
『…この後も、旅を続けるの?』
『まぁ、私の正体に関しては分かって無いし?少なくとも奇血には行くつもりだけど…』
『……本当に行っちゃうの?』
『…え?行ってほしくない?』
『い、いや、そう言う訳じゃないんだけど…』
『まぁまぁ、私が死ぬことなんてありえなくなったんだし…早々消える事は無いよ』
『そう言う事じゃないの!………せっかく再開したんだし、一緒に居ようよぉ…』
『う~~~ん』
ずるいと思う
だって、とても仲のいい可愛い子から頼まれるんだよ?
中々に断りにく過ぎるんだけど…
『えっと………これを戻しに行かなきゃだから』
そう言って、私の部屋に置いてあった国宝を持ってくる
『…これって、奇血の国宝!無くなったとは聞いていたけど……まさか!』
『私は盗んでないよ!?ただ、たまたま敵対した奴がこれを持っていただけで…』
『……どんな奴と戦ってきたの?』
『…いろんな奴としか言えないなぁ~』
一言にまとめるにしては余りにも個性豊か過ぎる
『……旅はまだまだ続けるつもり?』
『そうだね。私の生まれ育った国でも探してこようかな~とは思いつつ、気ままにのんびりと旅しようとしてるけど…』
『……じゃあ、うちも連れてって!』
『…………へ?』
『…駄目?』
少しばかり目を潤わせながら聞いてくる
あぁ……ずるいねぇ~
『でも君、この国の王女様だよね?』
『でも、ギアナさんだって一緒についてきてるよね?じゃあうちもいいでしょ?』
『いやいやいや。単純に言ったら、説得しないといけないから面倒くさい……』
『華寒だったら説得なんていらないでしょ?』
『……のんびりって言ったけど、結構危険な旅だよ?』
『そんなの、うちには関係ないもん!』
……モスアって、こんな幼い子だったっけな
『…わかったよぉ。君も心配なんだもね』
『そうだよ!』
はぁ……
私は彼女の実力を知っている
彼女は余りにも強すぎる
彼女が裏で呼ばれていた名前を知らないわけがない
【死神】それがモスアの呼び名だった
彼女の能力は天秤、武器は大鎌
能力は、生死に関係する者ではない
ただ、彼女の一存で主と勘違いする程の力が手に入ったり、反対に山を背負わされているような圧力を常に感じ続ける可能性もある
さらに言えば、少しづつだがダメージも入る
それが、彼女の能力なのだ
武器に関しては普通の鎌だ
ただ、魔力を込めると灼熱の炎が舞い上がるだけだ
しいて言えば、この力は炎属性岩ではなく、別の特殊な鉱石らしい
さらに言えば、彼女の属性は風
風は刃
当たればかすり傷では済まない程の傷が出来る
これ以上実力者を集めて何をしようというのか
それこそ、国家転覆どころか世界の均衡を無い物とするだろう
……まぁでも、連れて行きたい者連れて行けばいいかぁ
私は考えるのをやめた
どうもどうも
どこのラノベのタイトルですか?
そう言いたくなるようなタイトルですねぇ~
咄嗟に思いついたタイトルがこれでした
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました
今後も、‘‘できれば‘‘お付き合いください!
お相手は八月六日の私、葉都でした
ということで、ではでは~




