83:情報
『彼女?』
『そう…あの子にね』
私は軽く後ろを向居てから前を向きなおす
『そんな事を言えるって事は』
『彼女の記憶しか蘇って無いけど』
『……都合いいねぇ~』
『その都合の良さが私でしょ!』
そう言って、私は氷の槍を射出装置を使って火山弾を排除する
後ろの方は兵士達が王族を囲んでおり、問題は無いだろう
私はただ撃ち落としていけばいい
それに、そっちの方が私にとって好都合でもあるのだ
彼女を守りたいが、見つかりたくはない
『何で見つかりたくないの?』
ナチュラルに彩が口を挟んでくる
『だってさぁ、私って急に消えたんだよ。私達って相当仲が良かったの。自意識過剰じゃなければ、ここ数回、表に現れなかった理由って…』
『あ~じゃあ余計あった方が…』
『後単純に今会えるような状態じゃないし……』
だってねぇ?
前の私は彼女と関われるような者だったのだろうけど、今はただの冒険者だよ?
そんなそんな…
まぁ、そんな言い訳をつらつらと並べたところで意味なんて無いから、此処までにしよう
うだうだ言っているうちに、噴火が収まったようだ
さて、帰るか
羽を生やして撤退撤退~
そして、私は飛び去った
『大丈夫でしょうか』
『ああ、問題ない』
お父様がそう答える声がする
どうやら噴火が収まったようだ
山からの轟音も、降ってくる火山弾が破壊される音も無くなった
『お待ちお!』
兵士の一名が声を上げる
思わず顔を上げると、空を飛ぶ少女の姿が見えた
見たことないような羽で、空を飛んでいた
彼女に見とれていると、兵士が話しかけてくる
『お嬢様。空を飛ぶ少女は見られましたか?』
『うん。見たことない羽で飛んでるよね…』
『そうなのですが、彼女の外見が…』p
『外見?』
『はい。色のついたメガネで瞳の色が確認できなかったり、大きなコートを羽織っていたのでスタイルも確認できませんでしたが、白髪で氷属性。身長は低め、目算だと140前半だと思われます…』
『………!』
あの羽、もしかして!
思いついた瞬間、足が動いていた
走りながら振り向き、みんなに声を掛ける
『ごめん、うち戻る!後、あの女の子を探して招待して!』
みんなの反応を見る間もなく、うちは屋敷に入った
そして、急いで部屋に戻る
部屋の扉を勢いよく上げて、机の上に置いてある箱に手を伸ばす
そこには、さっき見た羽のような色をした宝石がはめ込まれた指輪とイヤリングが入っていた
あれから数時間
日が傾き始めたころだ
私は、ホテルからようやく出て来た
理由は、とある事を確認するため
『ほら、これって想ちゃんでしょ?』
アンが指をさしながら、掲示板に張られている紙を差す
そこには探していますという文字と、写真が一枚
それは、昼間の私だった
『あぁ、そうだね……』
『でしょ~』
『そこのお嬢さん、ちょっといいかい』
『は、はい』
アンがそう返事をする
『そこの張り紙の少女、想という名前なのかい?』
『え…あ~~』
『うむ、質問を変えよう。この少女を知っているかい』
『ま、まぁ』
『…詳しい場所とかはあんまり』
『なるほど。情報提供感謝する。私はこれで』
そう言って男が去って行った
『……ねぇ、何でそこまで正直なの?』
『へ?そっちのほうがいいかな~って』
……これは、後々聞かれるんだろうなぁ~
はぁ、にしても透明化しておいて正解だった
さて、彼女が会おうとしていることは分かったけど…
会うかって言われたら会う気になれない
だってさぁ、急に姿消した奴がのけろっと顔見せれるわけないじゃん!
はぁ…
後悔しているか後悔していないか、どっちかって言うと、ギリギリ後悔かも…
でもなぁ、私が国から出ない限り、勝てるわけがない
相手は国だ、全体に情報を張り巡らせ、一回の目撃すら逃さない
国から出るというのも一つの手だが、問題がある
それは近々ある会議、主会議だ
そこでは、王族と親しい者、メイドや護衛の兵士、はたまた友などなど…
そんな会議がある
少なくとも、私が出席しないわけにはいかない
そして、その会議で彼女も現れるだろう
つまるところ、見つかるのは時間の問題という訳だ
…こうなったらのこのこと顔を出すしかないか……
『ねぇ、アン』
『どうしたの?』
『どうせ君は王宮に呼ばれることになるだろうから、その時全員で行こ?』
『分かったけど、想は見つかりたくないんじゃ…』
『時間の問題だってわかったからね。それに、私は素直に出る気はないよ』
『というと?』
『ふふ、それはねぇ…』
せっかく再開するんだ
元気な姿を見せないとね!
朝、予想通りアンが元へ王宮へ招待された
予定通り、彩を一名と数えて、全員で行く
だがしかし、私は透明化して行こうと思う
まぁ、少しばかりの悪あがきということで
そんなこんなで、気付けばもう見たことある景色
そして、見たことある姿が出迎える
『ようこそお越しくださいました。皆様………』
『…!ギアナお嬢様?』
二名の女性が目を見開いている
とりあえず、初めはそこだろう
他の者は軍だが、彼女は王族
顔も知れているし、そりゃ速攻で気付かれる
『どうも』
『どうもって…』
『モスア。とりあえず上がってもらいましょう?』
『そうですね、お姉様。どうぞこちらへ』
『じゃあ、ありがたく!』
アンがそう言うと、大きな扉が開かれた
みんながぞろぞろと入って言っている中、私もこっそり入り込む
案内された場所は、彼女の部屋だった
入るのは一名ずつでそれ以外の者達は彼女の姉とお話だそうだ
私は勿論、ずっと彼女の部屋に居るつもりだ
初めに入るのはアンのようだ
アンが入る隙に私も入り込む
私は床に座り込む
さて、後は彼女たちの話を聞いていればいいだけ~
そんなことを考えていると、彼女が話し始めた
『それでは、改めまして。私の名前はモスア・トアガサンと申します。炎龍の国、フィラディトの第四王女です。この度は急なお誘いにお越しいただき…』
『えっと…そこまで硬くなくても大丈夫だよ?』
『……いいの?』
『勿論!私だってただの元兵士だからね!』
『何言ってるのですか。こっちは出来る限り調べております。イリスの大将、メラツェの王族直属隠密部隊隊長、ノーラスの第一聖女様、フボディーナの四天王が右腕……彩さんは分からず、想さんは名前すら出てきませんでしたが、それ以外の方々は調べておりますから』
『ふふ。じゃあその名前をどこでお知りに?』
『国境検問の時です。そこで情報が無ければ存在自体認識できませんでした』
…そこまで私の存在って消されてるの?
いや、確かに強い能力だったり、力とかいろいろあるけどさぁ…
『へ~~。そんなに極秘なんだ~』
『はい。それで、本題に入りたいんだけど…』
『勿論!何から聞く?』
『じゃあ…単刀直入に聞く。彼女は…』
モスアは、覚悟を決めたような表情で口を開いた
『華寒なのですか?』
『は?』
そりゃそんな反応になるだろう
一応、私も記憶にはある
華寒とは呼び名で、本名は別にあったはず…
『その反応、違うのでしょうか…いや、確か本名はミー』
『ストップ!』
彼女が言いかけたところで、アンが口を挟む
『モスアが考えている…華寒が想だとしても、私は気づきようがない』
『…えっと、簡単に言うと…』
『簡単に言うと、想は記憶喪失でね…』
『記憶喪失……』
『だから、彼女とあっても、彼女は分からないかもしれない』
『……!そ、そうですか…』
とっても寂しそうな顔をしている
もしも華寒だとしても、自分の事を覚えていない寂しさ
それは、とてもとても恐ろしいことだろう
幸い、私は彼女との記憶だけは蘇ったので最悪はありえないんだけど……
…みんなに話してなかったね……
『……えっと、記憶喪失ということは、皆さんがこれ以上話すことは…』
『そうだね…』
『………申し訳ございません。こんなことで…』
『問題ないよ。それじゃあ…』
『待って!その、想さんはどこなの?』
『あ~~~』
アンが言葉に迷ったその瞬間、この部屋にノックの音が響いた
『…!どうぞ』
扉が開かれ、そこには彩がいた
『あ、彩?』
『ごめん。ちょっとアンを借りても?』
『どうぞ』
モスアがそう言うと、アンは外に出て扉を閉めようとする
さて、私も出ようか―
『想はそのままで』
そんな声が脳内に響いた
……何企んでるんだか
部屋には沈黙が訪れた
数分後、彩の声がまたも脳内に響いた
『想、もう明かしちゃったら?』
『…なるほど、それで打ち合わせに…』
『そう言う事。で、どう?』
『………分かった。しかし、この部屋に近づかないでね』
『…?』
『いいから』
『……分かった』
彼女の声が聞こえなくなったことを確認して、私は立ち上がり、彼女の机の上にある箱を持ち上げた――
どうもどうも
私は明日、朝早くから用事があるんですね?
ということで、今回は無いようなくここを〆ます
偶にはこういうこともいいという事で!
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました
今後も、‘‘できれば‘‘お付き合いください!
お相手は八月四日の私、葉都でした
ということで、ではでは~




