69:彼女の過去
『さて、改めて自己紹介させてもらおう。我が名はラノス・シバレス。この国の王を務めている者だ』
現在、この部屋には王と私のみである
ご飯を食べ終えた私達は、ギアナとは別れて彼女の母親である女王様に連れられて、言われるがままこの部屋に入り座って待っていた
すると、少し後に王が入ってきたのだ
…えぇ
『えっと、お会いできて光栄です?』
『そう硬くならないでくれ。今回はゆっくり君と話がしたかっただけだからな。自己紹介ばかりは大げさにしたが、ここからは敬語も不要だ』
『…本当に?』
『勿論だ。それに、君は娘の主になるのだろう?』
『あぁ……私としては一緒に旅するだけの認識だったんですけどねぇ~』
『なるほどな。まぁ、主を名乗る事は相当度胸があると思っていたが、それなら納得だ』
『いや、別に主は名乗れるよ?』
『…はぁ?』
まぁそうなるのが当たり前か
本来、そう言うのは絶対に共有されるような事だろう
『えっと、それはどういう事で』
『じゃあ私も改めて。均衡の主である想だ。一応、レヌーは知っているから、それで伝わってないって事は…』
『彼女なりに、何か考えていることがありそうだな。この事は黙っておこう』
『感謝する』
やはり、主となっている者は理解が早くて助かる
『にしても、均衡か……』
『…何か?』
『いや、予言通りになったか?』
『不服にもね』
…あれ?
確か予言の話は知っている者が限られている
なんで私が知っていることを知っている前提で話してきたんだ?
『えっと…』
『君が予言の内容を知っている前提で話を振ったことか?』
『ああ』
『彼女が君に話していると思っていたが…その様子だと、違いそうだな?』
『ああ。予言は記憶を失う前から知識として存在していた。そして、その予言は王族に近しい者出ないと知らないという事を教えられた』
『なるほどなぁ。他の事は?』
『特にだな。ただ…』
『ただ?』
『少しばかり慈悲…エレノと、美玖の事を知っているような気がする』
私がそう言うと、ラノスは真剣な顔で更に聞いてくる
『他は?』
『特に、何も』
『………はぁ。よかったよ』
先ほどとは打って変わって彼の表情は穏やかな顔に変わっていた
『えっと、その感じ的に、過去の私は…』
『それ以上は口にしないほうがいい。何かの拍子で思い出したら面倒だぞ?』
『…分かった』
大人しく従っておいた方が得だろう
『そうだ。酒は飲んでないだろうな?葉巻や煙草もだが…』
『特にしてないよ。周りが止めてくるからしようにも出来ない』
『それはよかった。お前、ナギと二歳差だからな』
『は?』
それって、ほぼ同じじゃないか?
というか彼女の年齢は公表されているし、記憶しているんだけど
彼女って確か、144歳だよなぁ…
142歳か146歳………
あんま変わんねぇし、若ぇ
昔の私は何やってんだ?
『そうだ!ギアナとの旅は…』
『ああ。全然いいぞ?』
『えぇ。愛娘ですよね?なんでそんな軽く?』
『まあな。君も力も持っているし、ギアナも守られてばかりの娘じゃあ無いしな。それに、ギアナにはちと早い気がするが、世界を見て回ってほしい。今のうちに王族として、世界を知ってほしいんだ』
『なるほどね。じゃあ…』
『ああ、後、君の背中の者。少しばかり借りてもいいか?うち【強奪】のが話したがっていてな』
『それなら全然』
『それじゃあ、ギアナを呼んできてくれ。俺も少し話したい』
『…わかった』
私はそうして、立ち上がり、彩を置く
『それじゃあ、呼んでくる』
そう言い残して、扉を開けて、この部屋を後にする
そして、彼女の部屋に向かって歩き始めた
『ありがとうございました、お父様』
『旅立ちの時は見送りに行くよ。それじゃあ、俺も準備をしてくるね』
そう言ってお父様はこの部屋を後にする
わたくしは、しばらく立ち上がれそうに無い
…彼女、想の昔話
彼女の呼び名、種族、年齢、立場、そして……
…噂では聞いたことがあった話
まさかそれが、彼女だとは思ってもみなかった
この旅で、彼女は自身の事を知るだろう
その時、彼女は受け止められるのか…
その時になったら、わたくしは彼女を支える
そんな決意をするほどの話だった
…はぁ
ここで止まっても、進まない
そう思い立ち上がった直後、扉が開き、彩が顔をのぞかせた
『あら。どうされましたか?』
『いや、想が呼んできてって言ってたのと、その前に想の昔話を受け取れきれてないかなぁ~って』
『えっと、ご存じで?』
『ううん。私もさっき知ったばかり』
『さっき知ったばかりで、それ?』
『そうだね。何となく察してはいたから』
『なるほど…この話はみんなに話す予定で?』
『…いや、アンとか聞いたら意識しすぎると思うから言わない。それに、もしかしたらもう気が付いてる奴もいるんじゃない?レファとか』
『…ありえなくはないですね』
『まぁさ、諸々確認する為にも、まずはホンディメに戻ってからじゃない?』
『そうですね』
そう言って、わたくしは立ち上がる
『それでは行きましょうか』
彩によって開かれた扉をくぐり、彩とともに廊下を歩き想の元へ向かう
その間もわたくしは彼女の事を考えてしまう
主に本名の事なのだが…
というか、本名を一度も聞いた事が無い
ニュースや書類などで見たことある名前だったが、どうやら本名は違うそう…
関わりを持っていたお父様ですら知らないらしい
彼女の名前は何なのだろうか…
『お疲れ様です。想』
『…君ってずっと敬語じゃない?』
『まぁ、そうですね』
『アシャにはため口だよね?』
『昔からの関係ですからね。それこそ、わたくしが礼儀を学ぶ前からの関係性です』
『なるほどぉ。それなら、無理にため口にしないほうがいいね。敬語も君らしさな気がするし』
『わたくしとしても、そちらの方が話しやすいです』
『そっかそっか』
そんな雑談を繰り広げていると、彼女の後ろにいる彩が話しかけてくる
『ちょっと、準備するんじゃなかったの?』
『私はもう終わっているから』
そう言って、椅子から立ち上がり扉をくぐってから振り返り、彼女達に話しかける
『それじゃ。庭で待ってるね!』
『ちょっと!』
彼女のそんな声を無視して、玄関に向けて走る
扉を開き、私は庭に出た
先ほどは、考え事のせいで詳しく見て回れなかった庭
私だって庭………と言えるかどうかは分からないが、持っているのだ
今、あの空間にあるのは大きな家とちょっとした庭のみ
その庭は現在、ただのだだっ広い草原に、少しばかりお洒落な椅子と机、柵のみだ
花とか木とか、様々な物を自由に生やせるのだから、ここで勉強をして庭に花をもたらしてアンと彩を驚かせたいのだ!
『ふふ。子供っぽくて可愛いねぇ』
『あ?うるせぇ』
前言撤回だ
彩には絶対にバレる為、驚かせない
っていうかなんだよ子供っぽくて可愛いって
子供っぽいも可愛いも真反対な存在だろ
ったくよ~
いかんいかん、彼女気を取られている間にここを離れることになるなんて勿体ない
さぁ、この広大な庭を隅々まで確認しよう
タイムリミットは数十分、いや数分のみだろう
だが、その程度で問題ない
適度に歩き回りながら配置や細かいところを確認できるだけで十分なのだ!
そうして、歩き始める
時々、手入れされている場所を詳しく見たり、木に触ってみたり、花の種類を詳しく見てみたり……
…まあそこそこ満喫している
偶にお茶会会場の様な机と椅子を発見して参考にする
そんな事をしていると、気が付いたら十七分程経っていた
…やっべ
多分だけど待たせてるわ
そうして、私は急いで来た道を戻ったのであった
どうもどうも
実はこの話、全然細かい設定が出来てないんですよ
三か国の事を考えていない程で来ていないんですけど
この前ですね、衝撃的な事を知ったんです
主人公の本名、考えていなかった…
えっと、考えましたよ、ちゃんと
これ以上抜けているところは無いでしょう!
きっとね………
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました
今後も、‘‘できれば‘‘お付き合いください!
お相手は七月七日の私、葉都でした
ということで、ではでは~




