44:出発
彼らを見送ってから翌日
私達も出発の時間がやってきた
二名で歩くのもいいが、やはり疲れる
よって私は、移動手段を一日かけて作り出した
彼らのよりかは小さく、そして目立たず速度も速い
乗り心地もよく、操作も簡単
そんな機械を作り出した
そこそこ疲れた為、二度とやりたくないが、どうせやることになるのだろう
今回の件で、一名だけの旅というのも悪くも無いが、仲間は居たほうが良いという事が分かった
流石に仲間と言っても一名だけは流石に少ない……と思う
いや、私から誘おうなんて今は考えていないから、増えるかどうかなんて分からない
だが、もし増えるのなら増設しなくてはならない
今回の物は増設を考えていない為、一から考えることになるだろう
はぁ…考えただけでも憂鬱だ
…話を戻そう
私はしっかりと準備して世界樹を出た所だ
『お~い!想ちゃん!』
その瞬間、遠くから大きく手を振っているアンがいた
彼女の周りには沢山の者がいる
私の知っている顔もいれば、知らない顔もいる
元帥や女王、姫様達や大将達、アンの兄であるアルロやその恋人であるパルさん、それに執事のソヌルと言った知っている者から、この短い間で私が関われなかった兵士達や近所に住まう国民まで、それはもう沢山の者達が門出を見守っている
彼女がどれだけの者に愛されている事が分かる
そんな彼女を引き抜いてしまうなんて、少々申し訳無く思う
時間に追われていない
しばらく眺めているのもいいものだ
そうして、立ち止まろうとした
だが、アンがそれを許さなかった
私の目も前まで駆け寄り、私の手首を掴む
『想ちゃん。眺めてないでいくよ!』
彼女の元気な声で現実に戻されつつ、彼女へ返事を返す
『…分かった』
その返事を聞いた彼女は笑みを浮かべる
その瞬間私の右腕は、強い力に引っ張られる感覚がした
その勢いに転びそうになるが、何とか体勢を立て直す
彼女は私を引っ張るが、直ぐにその力は感じなくなる
周囲を見渡すと、様々な者に囲まれていた
私が困惑していると、ベグーがこちらに歩いてくる
彼は私の肩に手を置き、言葉を発する
『想、アンが迷惑掛けると思うが、よろしくな』
『任せてよ』
『ちょっと!あたしはそんなに迷惑掛けないよ!』
『どうだか』
彼は疑うように返す
『あたしは!』
彼女のそんな言葉を横から差すように第一王女のシオが口を挟む
『まあ、アンと二名で旅ってなったらいろいろ大変そうだよね~』
『シオ様まで!』
そんな会話に思わず笑いが漏れる
『想ちゃん!』
『ご、ごめんごめん。ちょっと、面白くって…』
『面白くって何さ!』
『ふ、ふふ…は、ははは……』
駄目だ、笑いが止まらない
私はしばらく笑いつつ、彼ら彼女らの会話を聞き、楽しんでいた
そうして、楽しい時間はあっという間だ
一時間半程余裕を持ったにも関わらず、そんな時間もほぼ消えてしまっていた
まあ、今日中に出ればいいし、楽しければもっといいのだ
私がそんな事を考えていると、アンが話しかけてくる
『そろそろ出発の時間でしょ?』
『まあそうだけど…話したい事があれば話しておいで』
『いや、もう大丈夫だよ。行こう!』
『…分かった』
私は深く頷き、歩き始める
少し歩いたところで振り返ると、彼女がしっかりと付いてきており、他の者達も少し遠くから付いてきていた
ゆっくりと歩きながら風景を楽しむ
此処は大きな研究所
初めにそんな事を考えていた
ここで数日過ごしてみて、それは間違いではない事が分かった
確かにここには沢山の者が生きている
中には研究とは無縁の者もいるだろう
そんな者でも、楽しく生きられる…そんな場所だった
旅でここに戻ってくることは今のところ考えていない
次にこの国に来るのは、旅が終わった時だろう
何なら、旅が終わった時にでも旅で行った思い出の地を回るっていうのも面白そうだ
そんな事を考えていると、もう第三の門を越えていた
後ろを振り返ると、門の内側にみんながいる
アンはもう門を越えていた
彼女も振り返り、みんなに向けて大きな声で声を掛ける
『いってきます!』
彼女の目には輝きが宿っていた
『いってらっしゃい!』
そんな大勢の声が響く
彼女は笑顔で大きく手を振っている
さあ、こちらも準備しないとね
そうして、私は能力を発動する
小型には見えない、円盤状の金属の塊
一様これでも小型化したのだ
機体は黒に塗装し、ステルス、武装、速度も相当
そしてこの乗り物内部のの後方
そこには見知ったガラス玉がある
それに触れると私が認めた者のみが行ける空間が存在している
空間の拡張は自由自在
めんどくさもなく楽しめるだろう
円盤の中は最大五席座れる
これ以上増えるのであれば初めから作り直しだ
私は、中央の座席へ座る
その座席は起動用兼私の椅子だ
起動には秩序と混沌の両方が必要だ
私は左右にあるレバーを手で包み込む
そして、勢いよくレバーを傾けた
すると室内に光が灯る
壁は全方位透明化して、周りを見渡せる
だがこれは、室内からだけだ
外から見るとそこまで変わった様子は無いだろう
せいぜい浮上しただけだ
だが、室内はここまで変わっている
はぁ、徹夜したかいがあった甲斐があった
私は余韻に浸りつつ、出入り口から飛び出す
すると、みんなが目を見開いてこちらを見ている
まあそりゃそうか
そんな事考えて振り返ると、そこにはただの外装があった
少なくとも出入り口には見えないだろう
見えてもいいのだが、見た目を綺麗にし過ぎて機能をつけ忘れてしまったのだ
『準備は出来た?』
私はアンに聞く
『…もちろん!』
彼女は元気に返事をして、こちらに駆け寄ってくる
そういえば私が言い忘れていたことがあることを思い出し、みんなに大きな声で伝える
『では、アンを少しばかり借りるね!』
『おお!行ってこい!』
ベグーの返事に思わず笑みがこぼれる
ルドやベグーの様な頼りがいがあり、面倒見がいい者と常に旅をし続けていた
だか、今回からは居ない
でも次の国でも同じような者に会えるだろう
ああいうタイプがいると、特に難しい事考えずに暴れられるから楽しいのだ
さあ、思い耽るのもここまでだ
私は乗り込み、腕を外に出す
すると彼女は私の手を取り、乗り込んだ
『ほぇ~思ってた百倍凄いね~』
『そりゃどうも』
彼女は鉛の様な色の光を放つ席に手を置いてた
『ここがあたしの席?』
彼女の質問に、扉を閉じながら答える
『そうだよ。一様分かりやすいように磁属性の色を要所要所に用意したけど、どう?』
『うん、気に入った!』
そう言うと席を回し、自分の方向へ向けた後勢いよく座り、席を正面方向に向けた
『後ろ開けれるけど、挨拶とかしなくていい?』
『うん。しっかり済ませて来たから』
『…そ。開けておくから手ぐらいは振りなよ』
『分かった』
そう言って私は均衡を使い、走らせ始める
後でもいいから名前考えないとな…
そんな事を考えながら彼女に話しかける
『どんな時でも立っていいからね?』
『わかった』
そんな返事と主に立ち上がり、後ろ側へ向かう
それを確認して一部解放した
解放することによって、ようやく外側から見れるし聞こえるのだ
『いってきま~す!』
笑顔で大きく手を振る
それを確認して加速を始める
雰囲気を台無しにしないぐらいの速度で走る
せめてお互い認識できるぐらいの距離はそこそこな速度に調整する
やがて、道を曲がり森に突入した
ここからは自動で向かってもらおう
そうして立ち上がると、アンがこちらをぼーっと眺めていた
私はとりあえず後ろを閉鎖し、彼女に話しかける
『…えっと、どうした?』
『ああ、改めて自己紹介しよっかなって!』
『まあ確かに、名前と属性、武器ぐらいしか知らないかも…』
『そうでしょ!じゃあ改めて』
そういうと彼女は、胸を張り、胸に手を当てて言葉を発する
『あたしの名前はアン・オルア。種族は草龍で、属性は毒と磁。武器のタイプは爪で、所属は草龍国の軍隊…国軍の特殊国軍に所属することになった。年は212歳で能力は【検知】っていう。これぐらいかな!』
『えっと…いろいろツッコミたい所はあるんだけど……』
『へ?どこから…』
『じゃあ、順番に突っ込んでいくね。まず属性。君二個あったの!?』
『え…まあ、うん』
『そして、毒の種類何?』
『出血だよ』
『なるほどね』
ここで、毒の種類について思い出そう
毒の種類は五つに分かれており、神経、破壊、出血、幻覚、溶解に分かれている
効果は名前の通り、神経麻痺、体内の破壊、出血させる、幻覚を見させる、溶かすって感じ
まあまあ凶悪ではあるのだが、均衡の前には無力だろう
『次ね。特殊国軍って何?』
『えっとね。今回新たに設立された少将以上がやめる時、戻るという判断が出来るように出来た軍隊だね。バックアップって感じかな?』
『なるほどね。最後、能力の概要を教えて』
『ああ、伝え忘れてたね。生き物を検知出来る力で、魔物は無理。関係が親密であればあるほど、特定もしやすい。後は、同じ血筋とかでもわかるかな?』
『なるほど。戦闘用というより、日常的に使える物だね』
『そういう事!』
え?
って事は単純な実力だけで大将まで上り詰めたのか!?
しかもで、212歳!?
これは、相当な実力者を引き抜いてしまったかもしれない…
どうもどうも
いや~長かった?草龍国編も終わりですね
っというとでも思いました?
あと一話、雑談会が挟まります
一様、草龍国編と分類分けしております
これ以降は次の国の話になるのでよろしくお願いいたしますね!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
ではでは~




