33:気づき
目の前の扉が私に反応し自動で開く
『想。来た…か…』
待っていたベグーは私の奥
私の後ろにいる行方不明だった執事であるソヌルが居たのだから
『…お久しぶりです。旦那様』
『今まで…何をしていた…』
彼は再会を喜ぶことも無く、消えるような声で問いただす
今の現状を考えてみると、元帥としては妥当な判断だ
『まあまあ、そう警戒しないで。私が保証しよう』
『それは、何故だ?想とソヌルは関わりが無いだろう。何故そう言い切れる』
『私が欲しい情報を話してくれたからね。私は信用する』
『その情報は?』
彼に追及される
そりゃそうだ、軍の最高責任者ともなれば警戒しなければならない
自分の感情より、仲間を守らなければならないのだ
『…言わなきゃ駄目?』
『出来れば頼む』
出来れば巻き込みたくないが、信用を選ぶしかない
『…混沌の権化についてだ』
『それで?』
『奴の手には混沌の権化が存在しているそうだ。予言通りに行けb』
『待て想!』
彼からは聞いたことない程大きい声に少し驚く
周りも相当驚いているようで、彼が大きい声を出すことが珍しい事だと伺える
『…どうしたのさ。そこまd』
『あら、大きい声が聞こえて来たから急いで来てみたのだけれど…』
私の横から寝る前に聞いていた声が聞こえて来た
『…!奥様』
そうソヌルが呟くと彼女に跪く
周りのみんなも驚いてはいるが、ベグーはそこまで驚いていないどころか、どこか焦っているような様子だった
『…ダーリン?』
彼女は落ち着いた声で彼に話しかけながらもゆっくり近づく
彼らは小さな声で話し合っているようだった
止められた話題は予言の話だ
そこまで重要な話でも無いはずなんだがなぁ…
そんな適当な事を考えていると、彼らの話がまとまったっぽくこちらを向いて話しかけてくる
『想ちゃん。昨日のお昼頃、どこで何をしていたの?』
彼女の言葉には圧力を感じる
それほど重要な問題なのか?
『昨日はアンと一緒に出かけてたよ。ねぇアン』
そのままアンに話を振る
『そうですね、女王様。あたしは昨日、想と一緒に街に出かけました』
『…そう。こちらには来てないのね?』
私はその言葉に首を縦に振り、答える
『ああ。世界樹に帰ったのは日が傾いてきた頃だった』
『なるほどね…想ちゃん』
『どうした?』
『予言の話は、一般の者には話は知られてないの』
『は?』
じゃあ何で私が知っているんだ?
『その予言の話は各種族、根源の主達にのみ話されているの。それを話すのは自由なのだけれど、今ではそこまで活躍しないから、話していない話。とは言われているものの、各種族の主達は混乱する事を恐れて身内や信じられる者にしか話していない。そしてわらわも彼に最近ようやく話したの』
『えっと…つまり私が知っているのはおかしいというか違和感って感じかな?』
『そうね。想ちゃん、出身は?』
何度も聞かれた質問にしっかりいつものように答える
『さあね。知らない』
『記憶喪失かしら?』
『そういう感じだと思うよ』
『なら、尚更よくわからないわ。一国の王族、もしくは関係が行方不明となれば、直ぐに捜索が始まると思うのだけれど』
『それは実際そうでしょ』
『…よくわからないわね』
『そだね~』
私が適当に返すと彩が話しかけてくる
『想、相変わらず自分の事興味ないの?』
『そりゃそうだよ。今は他の問題があるからね』
『…少なくとも前聞いた時はそんなことなかったと思うのだけれども?』
『そうだっけ~』
そうやって彼女と軽口を叩いていると、二回の手を叩く音が聞こえる
『せっかくなら、話してしまいましょうか。どうせこの予言の今日の事件でただの文章になり替わりますから』
そうして彼女はゆっくりと話し始める
その内容は私が知っている物と一言一句変わら無かった
聞き終わると、直ぐにジェネが口を開く
『つまり今回の奴は…』
『そう。混沌の権化を奪い取った者だと思う。ソヌル、黒幕は権化をどうしようとしていたの?』
『そうですねぇ…戦闘中に胸に装着した機械の中に入れ、話してくれました。『これを使いこなし、この国を亡ぼし、この国の知識を蓄えて世界を征服する』と』
『随分と飛躍した発想だね…』
すると、私の言葉に同調した彩が話す
『はぁ、聖剣奪った方が早そうなんだけどぁ…』
『まあ、実際そうだろうな。混沌の権化のみでも確かに強いけども、秩序は混沌を無効化できる。絶対に効く聖剣の方が早いだろう』
私は彼らの議論を聴きながら、ベグーの言葉に引っかかる
秩序は混沌を無力化できる…
少しだが、私と同じものを感じる
だが、完全に同じとは違う
私の場合は混沌を無力化ではなく、混沌を吸収できる
ちょっと違うが、似た物ではある
…いや、今は他の事を考えよう
『ベグー、レヌー。秩序の権化を持っている奴に目途は?』
『一切分かっていないわ。ここ数百年間主達が必死に調べたけれど、見つかっていないわ』
『…どうすんの、これ?』
すると、ベグーが言いにくそうに口を開く
『えっと、願うしか…』
『ははは。終わってる』
そして沈黙がやって来る
周りを見れば、みんな考えている様子だった
しばらく経った後、ソヌルが口を開く
『予言通りであれば、奴は誰かから混沌の権化を奪った事になります。何故国が必死に探していた者を奴のみで探し出せたのでしょうか』
『恐らく、予言の影響でしょう。この予言は創造の主が話した物。彼女にとっての予言は運命を確定させるもの。どんな事が起きようと混沌が奪われ、誰かが主になろうとした瞬間、元の主の中にある秩序によって結局、力はまとまり新たな力に変わる。それがこの予言の正体なの』
『なるほど。奴は機械人の国で奪ってきたと思われます。つまり、機械人の国の中に予言の方がいらっしゃると思われます』
ソヌルはそう話した
ちょっと前に彼から聞いた話だと、奴は混沌の権化を奪ってきたのは二週間前に機械人の国から帰ってきたと言っていた
私の聞いていた研究所から流れてくる水に混沌が混ざり始めた時期と同じだ
彼の考えは合っているだろう
私が考えていると、ベグーが話始める
『二週間前か。どこの街に行っていた?』
『それは、分かっていません』
『そうか…』
すると、アグがタブレットを浮かせ、声を上げる
『待ってください。直ぐに分かります』
そういいながら、端末を操作する
『ありました。インティウに行っていたようです』
『インティウか...今から行くのには少し遠いな』
…インティウってどこだ?
そもそも自分の居たあの街の名前すら知らないしな…
『あ、あの…』
『どうしたの、想?』
優しくアンが聞いてくれる
『…インティウってどこ?』
そんな事を聞いた時、ベグーが驚いた声を発する
『おい、自分の所属してるパーティ名にはとどまらず、自分が数日過ごした街の名前まで知らなかったのか?』
『へ、あそこなの?』
『ああ。そうだ』
まじか、まさか知っている場所だったとは思わなかったな…ん?
待てよ、二週間前に来て混沌の権化を奪っていった
私の二週間前って記憶失って直ぐなはずだよな
しかも目覚めたときは街近くの森にある砦で目覚めた
…あれ
いや、自信過剰とかじゃなく、予言の主って私じゃね
よくよく考えてみれば混沌を吸収できるし、ちょうどよく空いている隙間に入って心地いいみたいな事考えてたけど、もともと混沌入っていた場所なら当たり前だし、隣の封印されている力も秩序だとすれば封印されていても納得、というかそりゃそうというか…
でも、確証無いんだよな
これで違いましたとかだったら恥ずかしさでもだえる未来が見える
…どうしよ
するとアンが話しかけてくる
『想?何か分かった?』
『へ?ど、どうして』
『いや、なんか謎が解けて爽快みたいな顔してたから。その様子だと気のせいかな?』
『い、いや。何もないよ』
私は誤魔化すのだが、ベグー追求してくる
『想。何か分かった事があれば言ってくれ』
『ええ…はぁ。分かったよ。私はただ』
そう話し始めた瞬間、轟音が響く
どうやら、戦いが始まるようだ
どうもどうも
あの~この草龍国編も半分過ぎているんですが、衝撃的な物を見つけました
機械人国編から出ている草龍の国の元帥であるベグーなのですが…ベクーでした
グと勘違いしてたんですけどクだったみたいです
まあ私が作者、私が法なのでグに統一ということで
裏話でした!
ではでは~




