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生き物達ノ中央世界  作者: 葉都
草龍国編
32/65

32:歪み

時刻は午前五時三十四分

目の前の奴が急に動きを止めた

『こちら想。奴が動きを止めた。そちらは?』

そう聞くと、名前を名乗りながら答えて行く

『アグ。同じく』

『アン。同じだよ』

『サンリ。同じだ』

『…ジェネ。同じくだ』

『彩は?』

『…報告してなかった事が一つあって…』

『えっと、何だ?』

『こいつら、増殖するのがめんどくさくて切り刻み続けてたら…』

『続けてたら?』

『気付いたら消滅してた』

『…は』

付けている通信機から、静寂が襲う

恐らくだが、みんな反応は同じだろう

まあ、伝説に記される程の物なのは理解していたけど、これまでとは思ってもいなかった

『あ、彩。…ナイス』

『想。…ありがと』

彼女のフォローをしつつ、この止まった空気を動かす為に努力するのであった



『あ~。うん。気を取り直して。まずは感謝を伝える、ありがとう。深夜から対応してもらったおかげで街にはそこまで被害が無い。全部皆のおかげだ』

その言葉に返す者は居なかった

『じゃあ。少し遠くにはなるが、これより作戦会議を開始する。異論がある奴は居るか?』

数秒の静寂の後、ベグーが口を開く

『異論無しだな。さあ、今回の魔物の見解を聞かせてくれ。話せる奴だけで良い』

『私、いいでしょうか?』

『ああ。どうぞアグ』

『どうも。これは推測の域は出ませんが、恐らく混沌を過度に与えるとあのような物になったと思います。魔物の誕生には混沌が必須ですが、今回の魔物は混沌を扱ってきました。この国の研究で混沌を過剰に与えた魔物は、回復能力が極端に高いことが報告されています。それに、限界量の混沌を与えても習得できなかった混沌を奴らは使用してきました。この二点、そして相手が混沌を使う者という事を聞くと…』

彼女の意見を聞いていると、少し疑問が出来た

『私も納得なんだが…一ついいか?』

『ああ』

『君達の技術力はどうなっている?確か混沌を扱う事は生き物には不可のレベルじゃ無かった?』

『それに関しては俺が答えよう。理由は簡単だ。創生と破壊の主に助けを求め、手伝ってもらったからな』

『なるほどね…そんな簡単に手伝ってもらえるんだ』

『ああ、意外と手伝ってもらえたぞ』

『ありがとう』

『解決して良かった。…他に何か意見がある奴はいるか?』

『いいか?』

『いいぞ』

『僕は相手から明確な殺意は感じなかった。黒幕は、我々を殺す為に仕向けた訳ではなさそうだと思う』

私はジェネに聞く

『耐久性が凄かったから、足止めって感じかな?』

『恐らくそうだろう。つまり我々が離れている間にどこか問題が発生しているかも知れないな』

『ボス。世界樹は?』

『はぁ…アグ』

『ボス呼びは今は別に良いでしょ?』

数秒の沈黙の後、諦めたようにベグーが答える

『…そうだな。世界樹どころか、この街全体で目立った被害は特に上げられていない。一様世界樹内の部屋は何も起きていない』

『そうか…ん?』

私は空を見上げると違和感を覚える

『どうしたんだ、想?』

『いや、空歪んでない?』

そう、空が渦を巻いているように引き延ばされている

『いや、私から見たら歪んで無いけど?みんなは』

『僕もだね』

『俺もだ』

『私も歪んでいるようには見えないけど…想にだけは見えてるって事?』

『恐らくそうだろう。俺にもそうは見えない』

私だけなのか?

『あたしは…見える。はっきりとは見えないけど』

その言葉に私は詳しく聞く

『どういう状況?』

『普通の空なんだけど。なんか薄っすらとほんとに薄っすらなんだけど引き延ばされているように見えるっていうか…』

『なるほどな。アンと想だけ見えるのか…』

どういう事だ?

私とアンの共通点、しかも視界に影響する出来事なんて何も思いつかないぞ

『私は特に思いつかないけど、アンは?』

『えっと、混沌だと思う』

『混沌?』

『想が取ってくれた混沌は、あたしの中にある物だけで身体に馴染んだ混沌は取り切れてなかったの』

『え!ごめん』

『いや、超微量の混沌だから問題無いし、混沌のおかげかは知らないけど、体力とか身体能力がちょっと上がったから』

『それなら良かった』

私は胸を撫で下ろす

『それで、あたしの体内にも混沌は存在している。想は混沌への耐性がある。そしてこの現象が例の黒幕ならより混沌だと言えると思う』

『俺もそう思うが、想はどうだ?』

『…想?』

つまり、あれは何か一般の者に隠さなくてはならない何かがあるって事か?

それは非常に興味がある

私は魔力で槍を構築する

それを、渦の中心に投げる

もし、そこまで重要な物なら打ち落とされるはず

もし吸収されてもいいように、最低限、自爆付きの槍にした

さあ、結果は…

槍は歪みの中心を通り抜けるように消えた

…え?

打ち落とされないとかザルじゃね

『ちょっと想!何やってるの?』

『ごめんごめん。ちょっと気になったんだよ。そこまで重要なら打ち落とされるかなって』

『はぁ、相談ぐらいしてくれ』

『ははは。ごめんて』

彼らが多少なりとも呆れているのが分かる

私は笑いつつ、空を集中して見続ける

すると、何か黒い物が落ちて来た

『ねえ、今空見てる?』

『見てるけど、どうしたの?想さん』

『他は』

『僕もですね』

『俺もだが…』

『どうしたんだ想?』

その質問に答えず羽を構築し、落ちて来た物の元に飛ぶ

あれは物なんかじゃない

あれは生き物だ

私自身の最高速度を出してあれを回収する

私は、右腕を掴んで落下を止める

それは血まみれの老人だった

右腕を掴むとこちらを向き、掠れた声で聞いてくる

『…君は?』

『想だ。貴方は?』

『わたくしはソヌルと申します』

ソヌル、どこかで聞いた気が…

あっ!

『貴方は第一王女の執事で合ってる?』

『ええ、そうですが…』

『良かった…貴方今行方不明扱いだよ』

『そう…なるでしょう。今国はどうなってますか?』

『どうなってるって。何も?』

『良かった。奴の行動は無駄に終わってるんですね』

『待て、何を知ってる』

私は彼を鋭い目つきで見る

『そこまで警戒しなくてもいいでしょう。奴は旧友です。そして奴の目論見を阻止しようと単独で活動しましたが、結果はこの様です』

『なるほどな』

私は彼の体にある混沌を吸収する

混沌という物は普通、生き物の体には害だからな

『ありがとうございます』

『とりあえず降りよう』

『はい』

そうして降り始めながら通信機に耳を傾ける

『ああ。消えた』

『何が?』

『おお、想。無事だったか』

『え?彩は私の生存分かるよね?何で?』

『それはね、想の後ろにいるからだよ』

『…!びっくりした…』

『へへ。はいこれ』

彼女は通信機を渡してくる

『へ?この後も何かに使えるだろうから持っておいてもらうよ?』

『そうなの!じゃあわざわざ返しにこなかったのに…』

『はいはい』

私は彼女の話を置いておき、通信機に向かって話す

『それで、何の話してたの?』

すると、ベグーが話し始める

『それはな。戦っていた魔物の体が塵となり消滅したんだ』

『つまり、一旦魔物の復活は気にしなくていいって事?ちょうどいいかも』

『…どういうことだ?』

『話は集まってから。っていう事で、みんな世界樹内の指令室集合で』

『『『『了解』』』』

大将達のそんな声が聞こえた

『さてと、ソヌルさん。この場所で聞きたい事があるんだが、良いか?』

『ええ。いいですよ』

『奴は、混沌の権化を持っているか?』

『…ええ。彼は主になろうとしてます』

『それを手に入れた時期は分かるか?』

『詳しくは分かりませんが、ニ週間前に機械人(マシーン)の国から帰って来た後、珍しく機嫌が良かったと、彼の所属している同じ研究員が話してました。恐らくその時に取ってきたのでしょう。どこからあんな危険な物取ってきたっていうんでしょうね』

『…ありがとう』

『想?』

『どうした』

『…何か知ってるの?』

私は返答に悩みながらこう返す

『…さあね』

確証を持てない物を伝えるのは良くないだろう

それが危ない物なら尚更

『行こ!』

『ちょ、ちょっと』

彼を彩に任せて、彼女の追及を避ける為に急降下をして世界樹に向かった


どうもどうも

こっちは何とか話を伸ばそうと必死です

これでも前回から一話だけ伸びるだけなんですよ

やっぱり場所を変えないと難しいですね

まあ、次回は二転三転して読みにくそうですが…

ではでは~

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