29:焦り
『おはよう。急に集まってもらって感謝する』
あの私が酔った日から二日後である今日、作戦会議の為に朝から集まっている
円形の机にはこの都市が映っている
そんな机を囲んでいるのは、元帥、大将四名、中将一名、冒険者月光の剣全員だ
『早速だが、これより混沌を使用する者を特定する為の会議を始めたいが、良いか?』
すると、全員をみると、ゆっくり頷く者もいれば激しく何回も頷いている者もいる
『感謝する。…これより、暴走事件に対する会議を開始する』
その言葉で、何名か背筋を正していた
『まず、二週間前から都市内で発生していた魔物出現事件。アンの混沌による暴走事件。両方の共通点は混沌だ。魔物発生には混沌が必要だ。そしてアンの暴走は混沌による物。つまり混沌が鍵となっているわけだ。他に何か事件を知っている奴は?』
するとアグが手を上げた
『よろしいでしょうか?』
『ああ。頼む』
彼女は立ち上がり、話し始める
『では、これもおそらく二週間前からです。深夜二時から三十分以内に属性研究所から流れてくる水の様子がおかしく、検査した所、少しの混沌が含まれていたそうです』
『感謝する。他に何かある者は居るか?』
その言葉に私は手を上げた
『想。いいぞ』
『分かった。私がこの都市に入った日。アンから回収し体の中に収納したはずの混沌が跡形もなく消えていた』
『なるほど。感謝する』
『他は?』
周りを見るが誰も手を上げていなかった
『アン。どうした?』
『へ?い、いえ何も…』
『ちょっとした変化でも別に良いぞ?』
『うーーん。関係あるかは分かりませんが…あれから、ソヌルさんを見ていません。姫様からも相談されていまして…』
『…こちらも相談は受けている。捜索中だが分かっていない。ありがとう、話してくれて』
『はい』
そう言って彼女は座った
『他は……無いか。アグの話からすると混沌の発生源は属性研究所にありそうだな。調べるとしようか。想の混沌消滅もおそらく研究所だろう。解散だ。』
『えっ。もう?』
『ああ、もう出来ることがないからな。混沌を何に使おうとしているかなんて想像出来ない。だから、今はただ情報さえ集まれば良かったんだ。ありがとう』
『それじゃ私はちょっとやることがあるからお先に失礼しますね』
『おう。気負付けてけよ想』
『分かってるよ』
そう言って私は扉をくぐった
私は少し焦っている
もう五日たった
ギアナとアシャの国は少しずつ動いているのが確認できた
以前よりかは少し落ち着きを取り戻しているそうだ
そうなると約束だ
行きたいのは山々なのだが、こちらの事件も何とかしなくてはならない
みんなも忙しそうで私だけ暇だ
どうしたものか…
『はぁ』
『どうしたの?想』
『いや、何でもないよアン…』
『いやいや、分かりやすいよ?最近悩んでそう。っていうか、焦ってる?』
『あーーー…まあね』
私がそう返すと彼女は心配そうに聞いてくる
『何かあるの?』
『うん。ちょっとね?』
『話しちゃ行けないやつ?』
彼女は優しく聞いてくる
『ふふ』
『へ?』
『いや、君は優しいねって』
『そ、そう!照れるな…』
『ふふ。ふぅ。相談、乗ってくれる?』
『それは勿論!』
『…ありがと。あのね、別の国の子と約束していることがあるの』
『それは機械人の国?』
『違うよ。天王国と魔王国に居る』
『えっ。確か今、仲悪かったよね』
『そうだね。私は仲を復活させたい者達に手伝うって約束しているの』
『そんなに大切な者なの?』
『そうだね。彼女らが居なかったら、ルスとここまで仲良くなれてなかったし、ロアの事を詳しく知ることも無かった。この裁断のバトルアックスを手に入れることも無かった。私にとって、パーティメンバーと同等な仲だよ』
『そこまで大切なんだ…それは直ぐにでも行きたいよね…』
『うん。でも、この国の問題を解決しないと行けないし、自分自身もこのまま去るのは嫌だ』
『そうなの?』
『だって、私的にはアンも同等レベルの仲だと思ってるよ?』
『え?ほ、他の者達は?』
『少なくともこの国に入ってから、一番話してるのはアンだと思う。それ以外の者は忙しそうで、話せる余裕もないんだよ。姫様達も仲は良いけど、そこまで深く関われてないからね…』
『そ、そっか…』
『私は、仲の良い者は手の届く限り守りたい。この国の問題を出来るだけ早く解決して、あの者達に合流したい…』
『でも、全然黒幕が出てこないってことね』
『そういうこと。この調子で、研究所を調べて何も出てこなかったらって考えるとね…』
『猶予は?』
『一週間ぐらいかな?向こうが動く前には国に入国しておきたい』
『そっか、どうしよう…』
『かと言って、私に出来ることは無い』
アンは黙って考え込んでいる
なんとか気を落ち着かせようと私は空を見上げながら伸びをして、深呼吸する
『想、ところでなんだけど。今、二国間の行き来は禁止だよ?一名でどうするの?』
『…あ』
『え…もしかして…』
『考えてなかったわ。どうしよ』
『えぇ…なんかそういう所抜けてるというかなんというか…』
『ぐうの音も出ない』
そんな返答をしながらも、真剣に考える
手伝いに行くって言ってもどうすればいいんだ?
ていうかどちらかに行けば、もう片方の方は絶対に行きにくいよな…
『…想。あたしも調べてみる』
『え?いやいや。君にはこの国の問題があるんじゃ?』
『書類、現場指揮、検査が今の主な仕事なんだよ。正直言っちゃうと、あたしもやる事ないんだよね~』
『それでいいのか…いや、てか探せばなんかあるんじゃ…』
『あたし、一回混沌に飲まれたせいで参加できなさそうな雰囲気なんだよね。いや意地でも魔物討伐は参加するけど、混沌に関する物ってなるとみんな慎重になるというか…』
『なるほどね。まあ、混沌は分かってない事も多い。慎重になるのも無理がない。というかリスクを考えたときに、ね?』
『…そう説明されたら納得せざるを得ないじゃん』
『分かればいいのだ』
『わかった。…うん?』
彼女は多少俯いた後、思い出したかのようにこちらを向いてくる
『話が変わりすぎて一瞬忘れてたけど元はといえば、あたしが想の為に天王国、魔王国の情報を集めるって話だったよね?』
『あ~。そういやそんなんだったね』
『想、調べさせて?』
『ふふ、頼んだ』
すると、彼女の目が光輝いた
『ありがとう、想!』
そう言うと彼女が私を抱きしめてくる
『ふふ、なんでそっちが感謝するのさ。こちらこそ、ありがとね』
『うん!』
元気よく返事をすると、離れて行く
『じゃあ、調べ始めるから!』
彼女は手を振り、私の部屋についているベランダを後にする
私は彼女が見えなくなるまで手を振り返す、立ち上がり都市を眺める
沢山の者が変わらない日常を過ごしている
どこを見ても大体生き物がおり、街は活気にあふれている
犯人が何をしたいかなんて分からない
ただ、今私が見ている者の多くに危険が及ぶだろう
混沌とはそれほど恐ろしく、それほど強大な力なのだ
その力は研究しようにも簡単に壊れてしまい、莫大なエネルギーを放出し大爆発を引き起こす
世界は研究をやめ、今もなお秘密が残り続けている力だ
時間、空間、生、死、記憶、感情、創造、破壊、秩序、混沌
この十個の力にはそれぞれ王の玉座が存在しているそうだ
そのうち、八つは席は埋まっているという
残るは秩序と混沌
そして今、この国では混沌が大量に使われた事が発生し続けている
万が一この街に混沌の主が目覚めるとしたら、この地は大量の魔物で埋め尽くされるだろう
だが、あり得ない
今までの主は予言通りだ
初めに創造の主と破壊の主が現れる
次は時間と空間
北東の島、北西の砂漠にて生まれる
己を磨き、世界の頂点に立った時に覚醒するだろう
次は生と死
世界の中央で双者として生まれる
お互いを認め合い、愛し合うと覚醒するだろう
次は記憶
水の底にて生まれる
あらゆる知識を蓄えた時、覚醒するだろう
次は感情
真皮に包まれた森にて生まれる
様々な者の話を聞いた時、覚醒するだろう
最後は秩序と混沌
力は集中し生まれる
他者が奪い行使した時に覚醒するだろう
奪われた源を奪い返した時に一つになるだろう
つまり、ここで混沌の主が生まれるのなら、同時に秩序が目覚めるのだ
混沌が目覚めると秩序が対抗して魔物を蹂躙する
どうなるかは分からない
だが、最悪の想定は常にしておくべきだと思う
どうなるかな…
どうもどうも
投稿時間が大変だ
多分なんですけど投稿時間がバラバラ過ぎて、見る人が減ってるんですね
迷走を繰り返しながらこの作品は続きます
まぁ人が数人でも見てくれる内はのびのびやっていきますよ
0になったら…ね
ではでは~




