26:三日目
さあ、時は過ぎて三日目
昨日、アンが口から漏らしていた通り、今日も私は動かなければならないらしい
何をするのかアンから問いただしても彼女は口を割らなかった
というより、彼女も知らなかった
おそらく、ベグーしか知らないのだろう
私は集まり群衆の中にいる
群衆とは言っても少将から大将だけ
この国は大将四名、大将にはそれぞれ二名の中将を部下に持つ
その中将も三名少将を部下に持つ為、三十六名
…果たして群衆と言える数なのか
その時、二回手を叩く音が聞こえる
前を向くとそこには重装備をしたベグーが居た
『今日は訓練最終日だ。大将、中将の皆は三日連続だが頑張ってくれ』
前置きをして、彼は少将、中将のに今日の訓練内容を話していく
どうやら大将はまた別にあるようだ
『それじゃあ、行動開始。現場には王女が待ってるからな』
その言葉と同時に、大体の者が森の奥へ移動を始める
影が消えたころ、ベグーは話し始める
『さあ大将だが、防御、回避を完璧に仕上げてくれ。今回の敵は混沌を使う事が分かっている。混沌は当たれば当たる度に混沌が蝕んでくる。大きな攻撃を一撃でも喰らったら終わりだ。細かい攻撃を複数喰らっても終わりだ。そこでだ。今回の訓練で急な攻撃を防御、回避してくれ。防御は身の危険を感じた瞬間に逃げろ。ざっとこんな感じだ。質問は』
彼のその言葉に誰も異論は唱えなかった
『じゃあ、想頼んだぞ』
『は?』
『敵役、頼んだぞ』
その言葉に思わずベグーの元に詰め寄る
『…前々から話しておいてって言ったよね、私』
『…ああ』
彼の声からは申し訳なさが込められていた
『はぁ』
あたしは詰められている元帥と怒っている想を見る
あの反応、そして昨日の問い詰め具合を考えると、本当に知らなかったのだろう
うちの元帥は本当に変なところ抜けているというか、何というか
目を瞑りながら額に手を当て想に同情していると、急に金属が何かにぶつかる鈍い音が響く
音の方向を見ると、元帥がハンマーを取り出していた
あたしの理解が追いつかない間に、想は目の前から消える
『アン、気抜いてるんじゃない?』
その声が後ろから、囁かれる
その声に驚き、あたしは振り向くと、そこには想が笑っていた
『ほら、やるよ。混沌は弾き返してもいいからね。柔軟に』
彼女が振り向くと思い出したように言葉を発する
『あっ!そうそう。ベグーもね!』
そう言うと彼女は直ぐに目の前から消える
あたしは周りを警戒していると、あたしが察知出来る範囲に想が居ない
おそらく、探知範囲外から攻撃を仕掛けてくるのだろう
みんなはそれぞれ武器を取り出し、互いに背を合わせて真ん中に集まっている
直ぐに、あたしに向けて魔力のみの球、魔球が飛んでくる
爪で弾き返すと速度をまして、魔球は戻っていく
だが直ぐにまた速度をまして飛んできたが、それも弾き返すと
大きい魔力を感じて、みんなに声を掛ける
『回避して!』
その言葉と同時にあたし達は軽く飛ぶ
すると、さっきまで居た場所に相当な太さの光線が飛んできた
弾き返すと相当な力が必要な魔力量
長く戦闘するには回避の方が楽だ
あたし達が飛行し空へと逃げると、遠くから木々から飛び出す音が聞こえる
魔法で確認すると、それは紛れもなく想だった
ただ、知っている想では無い
とてつもない速度で彼女は動く
龍種や機械人のような動体視力が無ければ追いつけないような速度でこちらに近づいてきていた
そもそも、何故飛行?浮遊?出来ているのか不明なのだが、この際それはどうでもいい
彼女は少し距離を取って止まり、こちらに話しかけてくる
『そういえば、君達は飛べたね。空中戦の方が面白いよね。全力で行くよ!』
彼女が叫ぶと奥に飛んで行く
すると、直ぐに空全体が複数の魔法陣で覆われる
それが何か、思いつくまでに時間はかからなかった
一つの魔法陣から一本の光が飛んでくる
それはさっき回避した光線だった
つまり、無数に浮いている空の魔法陣は全て、あの光線が発射される
さっきは森で隠れていたからこその難しさがあった
でもこれは、どこからいつ来るかにプラスして、攻撃の数を確認出来る為、場所は分かるが量の恐怖を感じる
意地でも回避しなければならない
ここまで来たら、跳ね返すのに慣れろと言われている気もするが、出来る限り回避したほうがいい。
何なら、魔法陣を破壊してもいいかもしれない
『皆離れよう!固まっていたら、回避に支障をきたす』
そう聞いてみんなは離れていく
そうして想とみんなの戦いが始まった
『っ!』
アンは声にならない声を上げる
それもそのはずだ
さっきまで攻撃を仕掛けて来ていた者が、物凄い速度で近づいてきたからだ
私は、減速して彼女達に話しかける
『お昼でしょ!いったん休憩だ』
そう言って、急降下を始める
まあ勿論無傷で着地だよね、何故か
私は一息ついて伸びをする
直ぐに後ろから複数の着地した音が聞こえる
『つっかれた~!』
『皆、大丈夫か?』
『サンリ、お前受けきれずに喰らってただろ。そんな調子じゃ勝てねえぞ~』
ジェネがからかうように話しかけている
『そういうお前こそ、回避しきれてなかったろ。俺の事言えねえんじゃねえの?』
『二名共、想さんが居る前で争いは止めて、ね?』
彼らの会話を聞いていると一触即発のような会話だが、そんな雰囲気は漂っていない
なんなら心地いいレベルだ
このような関係性だからこそ、あれほど回避できたのだろう
遠くからであまり聞こえなかったが、互いに情報を共有しているように見えた
実力もあるだろうが、協力も彼ら彼女らの強さの鍵となっているのだろう
始めの方は回避がギリギリだったが、途中からは様々な気づきがあったのか、回避も相当慣れている様子だった
実際、少し法則性を持たせてみたり魔法陣を光らせたりとか、いろんな特徴を与えておいた
どんな攻撃も穴があったり、何か特徴があるはずだ
些細な変化にも気づき、それに対応する
私なりに一応考えたつもりではある
まあ、確証は無いから怖いものだよね
私達は歩みを止めずに出口に向かっていると、途中で別れていた少将、中将、そして二名のお姫様達と合流して上の食堂へ向かった
『それにしても空のあの様子、どのような訓練をされていたのですか?』
『え?話していいの?』
今は食後の休憩時間、合流したランと話している
非常時には動けるが、普段は食後四十五分程休憩を取っている
自由時間もかねてらしい
詳しくは知らない
『話してもいいのでは?私は…ゲフンゲフン』
『どうしたのさ、急に』
『いえ、ベグー様はこれ以上目立つのは嫌過ぎて、一応王と自称し名前まで公表していません。それに名乗るときは名のみです。意地でも姓は名乗らず、登録も旧姓です。ですから、この場でその…』
『詳しく言わなくてもわかったよ。でも、なるほど…』
私が初めて出会った時もあいつは名前しか名乗らなかった
少しばかり不思議だったが、今納得がいった
『まあ、怒られるとしたら私だしいっか。簡単な話、回避させてた』
『回避であの量ですか。よくあの量を出せますね』
『まあ、いろいろ頑張ったさ。量を増やして場所を分からなくして飛行できる種族なせいで、こっちも飛行しなきゃいけないし、高さも考えなければならない。当たるように五名分同時に狙いながら、動く先を読まなければならないし、時折回避不可能の攻撃で防御は跳ね返しも鍛えつつ、何か法則性を持たせる。はぁ、あいつらも慣れてきたようだったし、何か別の手を考えないと…』
『そうですね…数を増やすのは厳しいのですか?』
『いや、別に増やせはするよ?あの光線はだいぶ簡略化して消費魔力もだいぶ減らしたから、どんな者でも数千規模ぐらいだったら出せるんじゃない?』
『そこまでですか。一体どんな事をしたら、あの威力でそこまでコストを減らせるのですか』
『能力かな?』
『…便利すぎません?その能力』
どうもどうも
話の中で出なかった物があります
皆さん、あの機械人の国の街の名前、知ってますか?機械人の国の名前、知ってますか?
知らないですよね、出し忘れました
というわけで供養です
国の名前は【マキ】、首都名は【ルスマナ】
国名の由来はラテン語で機械、マキナですね
先ほど話した通りにこの作品は国ごとに言語を変えて名づけをしています
こんな感じで作品の内容については話しませんが、なんか出すところを渋るようなメタい話だけここで供養させてください
長くなりましたがこれで終わりです
ではでは~




