21:世界樹
忘れてましたね…
私は揺られながら景色を堪能する…なんてことはなかった
馬車や魔動車ように、地に接して動くものではなく、ある程度の高さを浮いて進む物だ
揺れる原因なんて、何かぶつかってくるしかないのだ
快適ではあるが、ロマンは無い
…いや、高機能の物だから逆にロマンがあるっちゃあ、あるか
外は既に日が傾いているが、到着予定時刻はまだ先だ、焦る事も無い
それに前にはここからでも分かるほどの大きさをしている木が見えている
あの木の名前は世界樹
この世で最も美しい木と呼ばれており、素材としても最高峰だ
どんな冒険者も鍛冶師さえも喉から手が出る程の一品
世界には階級で分けられている物が多くある
素材などの素材は二十から零まで
武器は十から零
武器に使える素材は十級からだ
そしてこの世界樹は、上に向かうに連れて階級が上がっており、階級ごとに名前が付いている
下から、三級の【頭脳】二級の【思考】一級の【賢者】
そして最上級の【知恵】零級だ
零級は認められている者も少なく、世界に三名しかいない
世界樹の木の加工は女王自らが認めた鍛冶師のみ
まあ、【知恵】を使ったものなんてこの世に数本存在するかしないか程だ
なにせ零級の武具をそんな簡単にポンポン作られてしまったら、世界の均衡が簡単に崩れてしまうからな
まあ、この社内には零級の武器が二つ存在しているけども…
私とルスが持っている伝説の武器は零級だ
うん!恐ろしいね!
…はぁ、話を戻そう
草龍の国の首都、サジェブル
そこは世界樹を中心として出来た都市だ
この都市を一言で表すなら巨大な研究所だ
至る所に学者がおり、様々な国から学びに来る者が多くいる
自然も機械も溢れる場所となっているらしく、空気も綺麗らしい
だが、禁忌となった本、書類、実験…
様々な物が国によって保管されている為、外部に漏れないように防衛もしっかりと力を入れているようで、都市の周りには三重の門が存在しており、そこを通らないと通行は不可能になっている
門と行っても門の形はしておらず、半透明の緑で出来た円形のバリアのような物だ
どうやら通行可能、不可能を自由に制御出来るらしい
正直、三つもいらないと思うが、念には念を入れてという事なのだろうか
そして、今三つ目の門を通り抜けた
私は左目だけで風景を眺める
右目は一旦眼帯を付けている
なくなった右目、改め私自身が消した右目のまま放置している為、見た目が相当グロテスクな状態だ。常に瞑っているのだが右目をずっと瞑り続けるのがめんどくさいので眼帯を付けている
後々改造するつもりだが、今は出来る時間がない
私は、このまま宿に到着するまで風景を眺めた
『……ふぅ』
私はホバーカーから降りて伸びをする
私は振り返り、今回泊まる宿を見たのだが衝撃で声が出ない
そこには、世界樹があった
『えっと…どういうこと?ルド』
ルスが口を開く
私も彼の方を見て回答を待つ
ルドはホバーカーを収納して口を開く
『どうやらここで待っていたらいいらしい』
どうやら、ルドもこれ以上の情報は無いらしい
私達が困惑していると世界樹の方から音がした
そちらを見ると、魔法で出来た扉だった
周りは騒がしくなっており珍しい出来事だということを物語っていた
扉はゆっくりと開かれ、その先には大きな男が見えた
私自身は知っている顔だから少し気が抜ける
直ぐに男は私を見て笑い、声を掛けてくる
『サジェブルへようこそ。想殿』
その男は、この国の元帥であるベグーだった
『長旅ご苦労さんだ。パーティメンバーの方々も疲れているだろう。部屋へ案内する、来てくれ』
そう言うとベグーは扉へ入って行った
私も進もうとするが、少し違和感を持ち後ろを振り返ると、固まっているパーティメンバーが居た
『ちょっとみんな!行くよ!』
『い、いや、待ってくれ』
『そんなこと言ってられないでしょ!待たせてるから!』
そう言って私はロアの手を掴み引っ張る
『ほら!行くよ!』
私が引っ張るとロアもにこにこでついて来て、それに続いてオクトも来る
ルドはオクトを止めるべくこちらに来て、セアとルスも観念したかのようにゆっくりと進み始めた
そうして私達はその扉をくぐった
中を見て私は驚く
中は思ったより広く、豪華な仕上がりだ
『さあ、ついてきてくれ。あ、想殿は荷物を置いたら直ぐに来てくれよ?』
『へ?何で!』
『俺も詳しくは知らんが、女王様がお呼びだからだ』
『へ!?』
何故この国のトップに呼ばれなければならないのか
悪い事ではありませんように
『そんな、緊張しなくてもいいんだぞ?』
『いや、無理だろ』
『俺には緊張してなさそうだが?』
『元帥とトップでは天と地ほどの差がある』
『そ、そうか?』
『ああ』
『はぁ、変わってるな』
そう言うと彼は謁見の間の扉をノックする
『女王様お連れしました』
『いいよ~』
声が聞こえるとベグーは大きい扉を押す
そこは光差す神々しい一室であり、玉座が二か所存在している
右は空席であり、左は女王が座っている
一国主でありながら、一種族の主でもある彼女の威厳が感じられる部屋だ
『ようこそ、想様。そして…』
その瞬間雰囲気が変わった
『ダーリン♡!』
彼女は私の左前に居るベグーに向かって飛んできた
彼は彼女を受け止めつつ声を上げる
『はぁ、一般の方の前ではその呼び方を止めるのでは無かったのですか?女王様?』
『も~そんな堅苦しい口調止めてよ~』
彼女はベグーのほっぺをつんつんしている
『はぁ、悪いな想殿。理想通りな奴じゃないんだ』
『いや、生き物を感じられてこっちの方がいい』
『そうか。良かったな』
そうすると彼は女王の頭を撫でる
あ、こいつら無自覚でイチャつくタイプか
『すみません、想様。お母様とお父様はこうなってしまったら、しばらくの間帰ってこないのです』
声の方向を見ると少女二名、そして知った顔がいた
『えっと…』
『申し遅れました。わたくし、シオ・スプランと申します。こちらは妹のランと…』
『ひ、久しぶりだね。想』
『ああ、久しぶりだねアン。大丈夫だった?』
『うん、大丈夫だったよ』
『それはよかった』
私的には、彼女も事も心配だった為、一安心である
『ところで、私は何で呼ばれたの?』
『脱線してしまいましたね。用件は二つあります』
『二つ?』
『まずはアン様の事です。この度はありがとうございます』
そう言うと彼女は頭を下げる
『いやいや、元々ギルマスに話を聞いたからだし、いろいろな運が重なっただけだよ』
『救ってくださったのは想様ですから。そして二つ目は…』
『その武器の事よ』
私は驚き振り返ると女王様がべグーに抱き着いたまま話し始めていた
姫様達を見ると慣れているような、呆れているような表情をしていた
だが、女王様が至って真面目な顔をして話を続ける
『その武器、裁断の事は各国に伝えることになるけど、良いわよね?』
『一応、拒否権は…』
『『無いですね!』』
姫様達からそんな声が聞こえてくる
『はぁ、ていうか確認必要なのか?』
『いえ、必要ないわよ?』
じゃあ何で確認したんだよ
『それじゃあ、堅苦しい空気は終わり!五名でお茶会しましょ?』
『え?』
『はぁ、悪い想殿。付き合ってくれ無いか?』
『えっと…ベグーは?』
『…仕事だ』
『…頑張ってください』
『ああ、そっちもな』
そう言うと彼は踵を返し、この場を後にする
彼を見送った後、私が振り返るとそこにはもうお茶会会場が用意されていた
私は、一息ついた後にもう座っている彼女達に近づく
どうやら、もう話し始めているようだ
私は席について話に耳を傾ける
『…何ですけど、お母さま知っていらっしゃいますか?』
『いいえ。他の者達は?』
私が見渡すと全員が首を横に振っていた
『そう、分かりました。この話は後でにしましょう。今はゲストがいるわけですから』
女王様がそう言うとこちらをニコニコした目で見て来た
『悪いが、マナーは何一つとして分からないぞ』
『あら、さっき言ったでしょう?堅苦しいのは無しよ!楽しくお話しできれば良いのよ!』
彼女は心底楽しそうに話す
『想、ゆっくりしていってね?』
『分かったよ、アン』
『あの!想、様』
『想でいいですよ?第二王女様?』
『では、私のこともランとお呼びください。敬語も不要です』
『そうかい?じゃあお言葉に甘えるとしよう』
普通だと意地でも敬語を続けるべきなのだろうが、私は生憎出来た生き物では無い
『あら!ランだけズルいわよね?シオちゃん?』
『そうですね、お母様。わたくし達も名前でお呼びいただけますか?』
『分かりました。シオ、レヌー』
『あら、丁寧な言葉づかいも不要よ?』
『わかった。じゃあ横柄な態度で行かせてもらおう。それでランはどうしたの?』
『裁断を見せてほしいのと、体の中の混沌の様子を見せてほしくて』
『わかっ…』
『ん?どうしたの想』
『混沌が消滅してる』
『それは…』
『この都市に入る前には確認している。つまりこの国には何かが仕掛けられてる?』
私が呟いた言葉に女王様改めて、レヌーが反応する
『少なくともわらわ達は仕掛けて無いわ。混沌は自然消滅する物なのかしら?』
『そんなだったら暴走も、暴走した者を抑え込んでればいい。その対処法が伝えられてこなかったってことは自然消滅は無いと考えられる…』
私が考え込んでいると、第一王女改めてシオが話す
『直ぐにその量の思考が出来るとは、学者に向いているのでは?』
『はは、私はそこまでだよ。君達の方が賢そうだけどもね』
私がそう話すと、ランが口を開く
『賢さと、知識がその速度で出てくる思考力は違うよ?』
『…確かに』
私はその後、ランにバトルアックスを見せ、その後もお茶会を楽しんだ
どうもどうも
私が文章を書き始めたのも、いうて数か月。
ここまで、ずっと他の小説にある【―】←これ
ずっと正体知らなかったんですけど、この度正体が判明いたしました!
いや~思った十倍ぐらい簡単な物でしたね
ではでは~




