97:塩結
『宮~、お客さん連れて来たよ~』
『そう。座ってて』
現在私は、最上級鍛冶師塩結 宮を尋ね、この鍛島へやってきた
すると、彼女の幼馴染を名乗る男女がやってきた
名を、相来 駿と睡休 伏亥と言うらしい
という訳で私はその二名と共に彼女の工房に来ていた
私たちが来ると、彼女はそこにあるソファに座ることを促した
という訳で、遠慮なく座る
やがて、彼女は飲み物を持ってきた
二名にはお茶なのに、私にはジュースなのは何かあるのだろうか…
『それで?こんな子供が頼みたい事って何?』
それぞれ飲み物を置き、彼女が目の前に座って尋ねる
『これを』
私はアリアラからもらった紹介状を渡す
彼女は手紙を受け取ると目を通す
すると、直ぐに口を開いた
『はっきり言う。無理。自分はあの方の為以外使わない。貴女に渡すようなこともしない』
『そっかぁ……。まぁ、そこまで言われたら諦めるしかないね…』
『にしても、変なことしようとしてるね。鬼だったら協力してくれそう』
『そっか…。分かった、ありがとうございました』
私は立ち上がり立ち去ろうとする
すると、彼女に呼び止められた
『まって。………勘違いだったらごめんだけど、貴女自分の武器を持ってる?』
『え?…………あ~~』
そう言えば、あの国宝は彼女が打った物だったはず
『持ってますね』
『何を持ってるの?』
『えっと、これです。旅と途中で拾って…』
そう言いながら私はあの国宝を取り出す
『貴女…!ちょっとごめん。駿と伏亥は戻ってて』
『分かった~』
『それでは、俺らはこれで』
『うん。ここまでの案内、ありがとうございました!』
そうして、二名は工房を出て行った
すると、彼女は工房と扉を閉めた、鍵までかけた
そして、彼女は口を開く
『貴女、混沌様を信仰しているの?』
『…シンコウ?』
『ええ。その力、混沌でしょ?』
『そうだけど……信仰?』
『ええ。自分は混沌様を信仰している。貴女は?』
えっと、私が主です~なんて言えないよね…
『あ、ああぁ。まぁ、混沌の力は使えるかな…?』
『そう。それで、その剣をどうするつもり?』
『あ、そうそう。それも頼もうとしてたんだった…これ返還したいんだよね…』
『……貴女が混沌を持つ同士であれば話は別。鉱石も木材も多少譲る。返還も手伝おう』
『…!本当に!』
『ええ。それじゃあ、手紙を書くから貴女が届けて。そちらの方が早いでしょ』
『了解』
会話を終えると、彼女は鍵を開ける
外は既に暗闇に包まれていた
『…今日は遅い。少々父からの勧誘を受けると思うけど、返事は後でいいから、泊ってく?』
勧誘?
まさか、混沌を崇める会みたいな物に勧誘をしようとしている?
…いや、まさかな
混沌は生き物の考える力、秩序をすり減らす
もしもその父親が混沌を与えてくるのであれば、それは勧誘なんて生易しい物ではない
それは洗脳だ
もしもそんなことが起きているのであれば、王に相談だな
にしても、この国の制度は面倒くさい
そんなことが無ければ、判明した瞬間に秩序の牢獄にぶち込んでやろうと思ったんだけどね…
だが、まだ決まったわけでもない
とりあえず、泊めてもらう訳だし従順な振りでもしておこう
まぁ、正直なこと言えば泊めてもらわなくとも帰れるからいいんだけど…
それでもきな臭いからね
後、彼女も混沌の力を使えるとしたら、精霊が宿っている意味もよく理解できる
さぁ、潜入捜査と行こうか
気持ちを高ぶらせていると、彼女が話しかけてくる
『それじゃあ、案内する。だけど、くれぐれも祭壇には触れないようにね』
『了解。安易に触れないようにするよ』
そうして、私は彼女に連れられるがまま、二階へと上がる
そこには、居間が広がっていた
そして、多数の扉も存在している
二つほど扉を過ぎた後、彼女がこちらを向く
『ここが、泊っていい部屋。ごめんだけど、自分は料理するからもてなせない』
『問題ありませんよ。それでは』
そう言って、私は部屋に入る
初めの感想は臭いという事だ
匂いがどうこうという訳ではない
私の脳は、この部屋が混沌で満ちていることを知らせてくる
………リーチだなぁ
これで洗脳しませんなんて言うほうが無理がある
だがまぁ、この程度では幼い二桁程の子のみ…
三桁まで行けば、飲まれるという事は無い
ただ、混沌が害である事に変わりはなく、その身を蝕む
徐々に考える力を奪い、最後に何かしらの衝撃を与えたならば、洗脳というのは簡単に出来てしまう
それは、どんなに研鑽を積んだ者だろうが、どれだけ成長した者だろうが、混沌の前には無力……
私でなければ蝕まれるであろう
残念ながら、その思惑も外れる事になるのだが………
あぁ、何と愚かな…
っといけないいけない
つい混沌の主としての感情が表に出かけてしまった
正確に行ってしまえば、新たに生まれた邪悪な感情ではなく、私の素というものだ
どちらかというと、レファと関わっている私に近い気がしている
さてと、ビンゴすることを祈っておこう
じゃないと、私がここにいる意味が無いからな
さぁ、どのような事をしでかすのか、私を楽しませろ!
あっぶね~~~
危うく、素の面白いことばかりを求めるようになるところだった…
という訳で、現在私は彼女の父親、塩結 京という男だ
目は細く、長髪……
この外見だけで怪しい事この上ないのだが、こいつも臭う
…もう一度正しておくがゲロ以下の臭いがプンプンするわけじゃあないぞ
確かにこいつも吸血鬼だが、元人間ではないし、無駄と言う訳でもない
こいつからはそこそこの混沌を感じる
後、触れていないが、とある部屋から混沌がにじみ出ている
……もう黒って事でいいんじゃないかな?
まぁ、証拠があればあるだけいい
そちらの方が国が動ける
ちなみに、食事はまともだった
彼女がまとも…以外は考えられないな
混沌に味があるわけでもなければ、混沌は摂取させた方が、洗脳はしやすいからな
という訳で、世間的な会話をしつつ、食事を済ませた
とても美味で、鬼や吸血鬼特有の健康的な食事だった
最近、緑の葉物を食べていなかった
とても嬉しい
そんな語彙を無くしつつ、私が部屋に戻ろうとした瞬間、塩結京が口を開いた
『すみませんが、ここに泊まる以上、我々の日課に付き合ってもらえませんか?』
『…日課?』
『はい。それをすれば、貴女も安全に眠れますよ…』
…っふ
『わかった。私も参加しよう』
私は宮の少し引きつった表情を見逃さなかった
どうもどうも
いやはや、少し詩的過ぎる気がしますが……
気のせいということにしておきましょう!
思いつかないときは特に書かない!
それが一番ですね!
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました
今後も、‘‘できれば‘‘お付き合いください!
お相手は九月一日の私、葉都でした
ということで、ではでは~




