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クラス1の美少女に嘘告白された帰り道、ナンパされていた絶世の美少女を助けたら、まさかのその日に義妹になった  作者: 白金豪


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第53話 海でのナンパ

 夏休み。


 どこまでも青い空。


 白い雲。


 打ち寄せる波がキラキラと太陽の光を反射し、浜辺には楽しそうな笑い声が広がっていた。


 俺と星奈は砂浜に敷いたレジャーシートの上で海を眺めている。


「海ってやっぱりいいですね!」


 星奈は満面の笑みを浮かべながら俺を見た。


 肩まで伸びる亜麻色の髪。


 透き通るような白い肌。


 そして、水色の水玉模様のビキニ。


 星奈が着るだけで周囲の視線を独占してしまう。


 すれ違う男たちはもちろん、たまに女の人ですら思わず振り返ってしまうほどだった。


「……」


 やっぱり来るんじゃなかったかもしれない。


 さっきから男たちの視線が星奈に集まりすぎている。


 他の男に星奈の体を見られていい気分はしない。俺だけが独占したいと思ってしまう。


 まあ、こんな可愛いんだから仕方ないんだけど。


「宗春さん?」

  

 星奈は不思議そうに首を傾げる。


「いや、なんでもない」


「ふふっ。そうですか」


 星奈は嬉しそうに笑う。ご機嫌な様子だ。


「屋台がありますね! 私、焼きそばとたこ焼き買ってきます!」


「1人でか?」


「はい!」


 元気よく返事をする星奈。


 俺は屋台の方へ視線を向ける。


 人が多い。


 しかも大学生くらいの男が結構いる。


「……」


 嫌な予感しかしない。


「大丈夫です!」


 星奈は俺の考えを見抜いたように笑う。


「すぐ戻ってきますから!」


 そう言うと、軽く手を振って屋台の方へ歩いていった。


 俺はその背中を見送りながら、小さくため息を吐く。


「……大丈夫かな」


 心配になる。


 でも、あまり過保護になるのも違う。


 星奈も楽しみにしていた海なんだ。


 自由に過ごさせてやりたい。


 そう思って見守っていると――


「やっぱりな」


 予想通りだった。


 屋台へ向かう途中。


 2人組の男が星奈に近付いた。


 茶髪にサングラス。


 見るからに遊び慣れていそうな雰囲気だ。


 何か話しかけている。


 星奈は困ったように笑って首を横に振っている。


 それでも男たちは道を塞ぐように立ち続けていた。


「やれやれ……」


 俺は立ち上がる。


 レジャーシートについた砂を軽く払う。


 そしてゆっくり歩き始めた。


 別に焦る必要はない。


 星奈はきっと断っている。


 それでも退いてくれないなら。


 俺が行けばいいだけだ。


 男たちの前まで歩いていく。


「だからさ、少しくらいいいじゃん」


「彼氏いないなら問題ないでしょ?」


「……」


 星奈は困り切った顔をしていた。


 俺は2人と星奈の間へ自然に入る。


「悪い」


 2人の視線が一斉に俺へ向く。


「この子、連れていく」


 男の1人が眉をひそめた。


「は?」


「なんだお前」


「連れだけど」


 短く答える。


 それだけで十分だった。


「いやいや、俺たち先に話してたんだけど?」


「そうそう。邪魔しないでくれる?」


「……」


 俺はため息を吐いた。


「本人が困ってるだろ」


「え?」


「見れば分かる」


 星奈は助けを求めるような目で俺を見つめていた。


 その瞬間だった。


「宗春さん!」


 星奈がぱっと俺の腕へ抱きつく。


 柔らかい感触が腕に伝わる。


「ご、ごめんなさい!」


 星奈は男たちへ頭を下げた。


「私、彼氏いるので!」


 そう言い切る。


 しかも。


 自慢するような満面の笑みだった。


「この人が私の彼氏です!」


 俺の腕をぎゅっと抱き締めながら胸を張る。


「すごく優しくて!」


「格好良くて!」


「頼りになって!」


「私が世界で1番大好きな彼氏なんです!」


「だから、ごめんなさい!」


 男たちが固まる。


 俺まで少し照れる。


「……」


 星奈。


 褒めすぎだ。


 男の1人が苦笑した。


「マジかよ」


「最初から彼氏いるって言えよー」


「言いました!」


 星奈は少し頬を膨らませる。


「何回も言いました!」


「……あ」


 どうやら本当に言っていたらしい。


 2人は気まずそうに頭をかいた。


「悪かったね」


「邪魔してごめん」


「いえ!」


 星奈はすぐ笑顔に戻る。


「気を付けてくださいね!」


 男たちは苦笑しながら去っていった。


 静かになる。


 俺は星奈を見る。


「もう大丈夫か?」


「はい!」


 返事と同時に腕へ抱きつく力が少し強くなる。


「ありがとうございました!」


「予想通りだったな」


「ですね」


 星奈は照れ笑いする。


「宗春さんが来てくれた時、本当に格好良かったです」


「そうか?」


「はい!」


 即答だった。


「私の前に立ってくれた瞬間、すっごく安心しました!」


 目がキラキラしている。


「この人なら絶対大丈夫って思いました!」


「それならよかった」


「えへへ」


 星奈は嬉しそうに笑う。


 まだ腕は離れない。


「……屋台行くんだろ?」


「あっ!」


 星奈は思い出したように声を上げる。


「そうでした!」


「行こう」


「はい!」


 俺たちはそのまま屋台通りへ歩いていく。


 今度は最初から腕を組んだまま。


 誰が見ても恋人同士だと分かる距離だった。


「宗春さん!」


「うん?」


「焼きそば食べます?」


「食べる」


「たこ焼きも買いましょう!」


「分かった」


「かき氷も食べたいです!」


「まだ食うのか」


「今日は特別です!」


 楽しそうに笑う星奈。


 屋台のおじさんに注文しながらも、俺の腕を離そうとはしない。


「はい、焼きそば2つ!」


「ありがとうございます!」


 焼きそばを受け取った星奈は、また俺の隣へ戻ってきた。


「宗春さん」


「どうした?」


「さっき助けてもらえて、本当に嬉しかったです」


 少しだけ照れたように笑う。


「私、1人だったら中々に断りきれなかったです」


「でも」


 星奈は俺を見上げる。


「宗春さんが来てくれた瞬間、全部安心できました」


 その笑顔は太陽より眩しかった。


「私の彼氏、本当に格好いいです」


「……」


 真っ直ぐ言われると照れる。


「そんなに褒めるな」


「褒めます!」


 星奈は即答した。


「だって、本当のことですから!」


 そう言って、俺の腕へもう1度ぎゅっと抱きつく。


「今日はもっといっぱい思い出作りましょうね!」


「ああ」


 俺は自然と笑みを浮かべる。


 目の前には青い海。


 隣には、誰よりも幸せそうに笑う彼女。


 そして、守ることができたという小さな達成感。


 星奈は焼きそばを受け取りながら何度も俺を見上げ、そのたびに嬉しそうな笑顔を浮かべていた。


 その笑顔を見ているだけで思う。


 ――この笑顔を守れるなら、それだけで十分だ。


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