第50話 頭撫で撫で
「宗春さん宗春さん、ラノベ全て読み終わりましたよ! 」
星奈が俺の部屋に入ってくる。
「そうか。どうだった? 」
俺は読んでいたラノベを閉じる。
勉強机に置く。
「凄い面白かったです! 恋愛系で凄いドキドキしました!! 」
星奈が読み終わったラノベを俺に差し出す。
俺は星奈からラノベを受け取る。
「それはよかった」
俺は嬉しくなる。
自分が面白いと思うラノベを星奈が読んでくれた。
それに面白いと感想を貰えた。
これほど気分のいいものもない。
自己肯定感が高まる。
「宗春さんのセンスがいいからです」
星奈が俺の膝の上に腰を下ろす。
まだ、お風呂には入ってないみたいで部屋着姿だ。
だが、前回とは違うフローラルな良い香りが俺の鼻腔を刺激する。
「それは嬉しいな」
俺の頬が思わず緩む。
ニヤニヤを抑えられない。
星奈からセンスを褒められて嬉しかった。
気分的には最高だ。
「あ、宗春さんが嬉しそうに笑ってる。これは貴重ですね! 」
星奈が振り返って俺を揶揄う。
ツンツンッと俺の頬を指でつつく。
「お、おい。やめろよ」
俺は敢えて嫌がる素振りを見せる。
だが、星奈の手を止めるようなことはしない。
内心では照れている。
こうやって星奈に揶揄われることも悪くはない。
俺も素直じゃないなと改めて思う。
「宗春さんの嬉しそうにしてる姿を見れて私はラッキーです」
星奈が嬉しそうに笑みを浮かべる。
「そうか。ならラッキーを覚えておくようにな」
俺は星奈に笑みを返す。
「はい! もちろんです!! 」
星奈は元気よく首を縦に振る。
俺は手に持っていたラノベを勉強机に軽く投げる。ラノベが勉強机に着地する。
「それにしても、宗春さんが面白いって言ってた本はよかったです。主人公もそうですが、ヒロインの気持ちに共感しちゃいました。私も宗春さんに同じような気持ちを抱いてましたから」
「ほう。実際にラブコメのキャラみたいな感情を俺に抱いてたのか? 」
実に興味深い。
星奈が俺にそのような感情を抱いていたとは。
「はい。少しでも長く一緒にいたいとか、名前で呼ばれたいとか、思うところは同じでした。それに——」
星奈は俺を上目遣いで見つめる。
「今もですよ? 」
星奈は頬を赤く染めながら俺を見つめる。
その目には俺への好意が詰まっている。
「ふっ。そうか」
俺は軽く息を吐いて口元を緩める。
星奈が可愛すぎて思わず頭を撫でてしまう。
「ん」
星奈が気持ち良さそうに目を細める。
俺は毛並みに沿って優しく撫で続ける。
「…それ最高です。…もっとやって欲しいです」
星奈からリクエストが入る。
「はいはい」
俺は星奈の要望に応える。
頭撫で撫でを続ける。
「このまま永遠に撫でて欲しいです」
星奈はボソッと呟く。
「可能な限りするよ」
「…ありがとうございます」
こうして俺は星奈に頭撫で撫でをし続けた。




