第47話 膝に乗られる
「宗春さん、入りますよ? 」
ノックの後、俺の部屋のドアが開く。
上下ピンクのパジャマ姿の星奈が入ってくる。
「どうした? 」
俺は読んでいたラノベを閉じる。
勉強机に置く。
星奈に視線を向ける。
「宗春さ〜ん 」
星奈が上機嫌な調子で俺の部屋の中を進む。
甘えた声を出しながら俺との距離を詰める。
イスに座る俺の膝の上へちょこんと腰を下ろす。
「宗春さんの膝に座りたくなったので来ました」
星奈は上目遣いで俺を見上げる。
シャンプーとボディソープが混ざったいい香りが俺の鼻腔を遠慮なく刺激する。
「そうか」
俺は相槌を打つように首を縦に振る。
「宗春さんが読んでた本ってどうなんですか? 」
星奈は俺の膝から身体を浮かせると、勉強机へ手を伸ばし、ラノベを手に取る。
「どうとは? 」
俺は首を傾げて疑問を尋ねる。
「面白いかってことです」
星奈は俺の疑問に答える。
非常に気になるようで、ラノベの表紙や裏側を細かく見る。
「俺は面白いと思ってる」
主観的な感想を伝える。
俺自身がラブコメのラノベが好きなのが大きいが。
「そうなんですね! 私も読んでもいいですか? 」
「それはいいけど。星奈にとって面白いかは分からんぞ? 」
「宗春さんが面白いと言うならいいんです。絶対に私も楽しめますから」
星奈は胸の前で俺のラノベを大事そうに抱える。
星奈に大事そうに抱えられたラノベを、少し羨ましく思ってしまう。
「そうか。なら読めばいい」
「本当ですか! すぐ読みます!! 」
星奈は飛び跳ねるように立ち上がる。
星奈が膝から降りた途端、温もりが消え、少し名残惜しさを覚えた。
何だか星奈がいないとダメな身体になってる気がする。
「それじゃあ。お邪魔しました! 」
星奈はヒラヒラと手を振りながら俺の部屋の出口に向かう。
そんな星奈の後ろ姿を見送る。
星奈は俺の部屋を後にした。
⭐️⭐️⭐️
(星奈視点)
私は宗春さんの部屋のドアを閉める。
今日の放課後から始めた名前呼び。
少し慣れない部分はある。
お兄ちゃんって呼びそうにもなる。
宗春さんの部屋のドアに軽くもたれ掛かる。
借りたラノベ?をギュッと胸の前で抱きしめる。
宗春さんの好きな本。
本を読む姿を見てたからずっと気になってた。
ようやく1冊を借りることができた。
しかも宗春さんは面白いと言っていた。
いち早く読んで面白さを理解したい。
宗春さんと本の内容の面白さを共有したい。
それに。
宗春さんの膝の上、凄い安心した。
何あの感触? ずるい。
程よく筋肉も感じられたし、男らしいたくましさもあった。
また宗春さんの膝の上に座りたい。
この本を早く読み終えて話題を作り、絶対に同じ場所に居座るから。
今度は今日より長く膝の上にいよう。
私は次の目標を決めて歩き出す。
まずは宗春さんと今よりも円滑に会話を交わすために胸に抱える本、ラノベを読破することを目指す。
自分の部屋に向かう。
今後の未来のことをワクワク想像しながら。




