第44話 恋人になったことを報告
俺と星奈はクラスの教室に入る。
クラスメイトの視線が集まる。
慣れたのか。
前よりも騒がなくなった。
ただ相変わらず注目は集まる。
「皆さんに重要な報告があります! 」
星奈は教室の全体に届くような声を出す。
クラスメイトたちの注目を意図的に集める。
「実は、私、乾星奈。お兄ちゃんと——」
星奈はわざとらしく間を作る。
まるで勿体ぶるように。
「付き合うことになりました! 」
星奈は隣に立つ俺の左腕に抱きつき、見せびらかすように笑顔でピースする。
教室が爆発したように騒がしくなる。
「乾さんと里見が付き合うことになった? 」
「マジかよ! 」
「兄妹の恋人関係ってこと? 」
「イケナイ関係って奴? 」
「きゃあああっ。熱すぎる〜〜」
男女関係なく驚きを隠せない。
「ふふっ。どうです? お兄ちゃん、注目されてますよ? 」
星奈は嬉しそうにクスクス笑いながら、俺にだけ聞こえる声で尋ねる。
「もう星奈といるだけで注目されるから大分慣れた」
俺は呆れながらポリポリ頭を掻く。
「ふふっ。それはいい兆候ですね。私と一緒にいるからには避けられないことですから」
「それもそうだな」
「流石お兄ちゃんです。よく分かってます」
星奈は尊敬するような眼差しを向ける。
大したこと言ってないんだけどな。
「そういうことですので! これからは前以上に頻繁に教室に来ますので! よろしくお願いします」
星奈がクラスメイトの騒々しさに負けず劣らずの声で発信する。
再びクラスメイトたちの視線を集める。
「あと、私とお兄ちゃんが恋人になったので、坂田先輩とは付き合えませんし、三上さんは、お兄ちゃんに付き纏うのやめてくださいね。テヘッ♡ 」
星奈はわざとらしく可愛こぶって舌を出す。
一方。
ピクッ。
ビクッ。
坂田と三上さんは分かりやすく反応した。
坂田は逃げるように友人2人と話していたが、虚しく黙り込む。
三上さんは自分の席に座りながら黙って下を向く。
2人共、哀愁を漂わせる。
しかし、何もできない。
何も変わらない。
「さっさっ。お兄ちゃん、行きましょ! 」
星奈は切り替えが早い。
俺の腕を引いて席に向かおうとする。
俺は星奈に腕を引かれ、クラスメイトたちに大注目されながら、席に向かう形になった。




