第39話 ベッドの上でサンドイッチのように挟まれて
「すぅすぅ」
時刻は不明。
俺の部屋。
俺はベッドで熟睡する。
ドアが静かに開く。
何者かが俺の部屋に足を踏み入れる。
「ふふっ。あらあら。凄い気持ちよさそうに寝てる。かわいいわね〜」
女性の声。
聞き覚えのある声色。
静かな足音はドンドン近づいてくる。
「こういうのやってみたかったのよね〜。失礼します」
ゴソゴソゴソゴソ。
俺の横に何者かが侵入する。
すぐそばに人の気配を感じる。
「うぅ〜ん? 」
俺の意識が徐々に覚醒する。
「だ、誰? 」
異変を感じ、寝ぼけながら重い目を何とか開く。
ぼやけた視界が徐々に明瞭になる。
「え…」
顔が触れそうな距離。
星香さんが微笑を浮かべながら俺を見つめていた。
「うわあぁ!? 」
俺の声が部屋に大きく響き渡る。
ガバッと慌ててベッドから起き上がる。
驚きから眠気は完全に飛んでいる。
「あらあら。そんなに驚かなくていいのに」
俺に合わせるようにベッドから起き上がる星香さん。
「ど、どうして俺の隣で寝てるんですか? 」
動揺を隠せない俺。
息を乱しながら理由を尋ねる。
「お、お兄ちゃん! だ、大丈夫ですか!! 」
俺の部屋のドアが勢いよく開く。
慌てた様子の星奈が飛び込んでくる。
星奈の目に、俺と星香さんがベッドにいる姿が映る。
「…お母さん。もしかして…」
星奈が不機嫌そうな目を星香さんに向ける。
まるで敵対心を向けるように。
「あらあら。慌てて星奈も来ちゃって」
星香さんは大人の余裕を崩さない。
クスクス楽しそうに笑みを浮かべる。
「う、羨ましいです! お兄ちゃんの隣で寝てたなんて!! 我慢して私もできずにいたのに」
星奈が悔しそうに星香さんを睨み付ける。
明らかに不満そうだった。
「そんなの早い者勝ちよ。お母さんだってやりたかったんだから。ささっ、宗春君、続きしましょ」
星香さんは俺の肩に両手を置き、軽く押し倒す。
俺に配慮して衝撃を与えないように首の下に手を敷く。
俺は再びベッドに寝転がる形になる。
星香さんはゴソゴソして俺の隣に寝転がる。
「まだ起きるまで早いから一緒にゆっくり寝ましょ」
星香さんは優しく微笑み掛け、ギュッと俺の右腕に抱き付いた。
「ずるいです! 私も負けてられません」
星奈もバタバタと荒い足取りで俺のベッドまで移動する。
星香さんに対抗するように俺の左側へ入り込んでくる。
ゴソゴソ布団に潜り込み、俺の左腕に抱き付く星奈。
右にも左にも柔らかい感触を感じる。
右には星香さんの柔らかな身体の温もり、左には星奈の温もり。2人に優しく包まれるような感覚だった。
星香さんと星奈にサンドイッチのように挟まれたままベッドに寝転がっている俺。
「ちょ、ちょっと! 星香さん、星奈」
戸惑いを隠せない俺。
離れてもらうために何とか星香さんと星奈に呼び掛ける。
「宗春君、リラックスリラックス♪ 」
「お兄ちゃんは私だけを見ていてください。お母さんは無視でいいです」
ギュッ。
ギューー。
俺の腕に抱き付く2人の力が強化される。
2つのたわわの柔らかい感触がより伝わってしまう。
「ちょ…」
身体が固まる俺。
このまま何もできず、星香さんと星奈に挟まれたまま時間だけが過ぎていった。




