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クラス1の美少女に嘘告白された帰り道、ナンパされていた絶世の美少女を助けたら、まさかのその日に義妹になった  作者: 白金豪


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第19話 深々と頭を下げた謝罪

 俺と星奈は人通りの少ない場所へ移動していた。


 向かった先は校舎裏だった。


 前の休み時間。


 三上さんが坂田に殴られそうになった場所だ。


 今のところ人の姿はない。


「それで?」


 星奈が俺を見る。


 真剣な顔だった。


「前の休み時間に話せなかった内容について教えてください」


「ああ」


 俺は小さく頷いた。


 ここまで来た以上、隠す意味もない。


「実はな」


 ゆっくり口を開く。


 今日あったことを最初から話した。


 三上さんと坂田が言い争いになっていたこと。


 坂田がどんどん感情的になっていたこと。


 そして。


 最後には手を上げようとしていたこと。


「だから止めた」


 話し終える。


 星奈はすぐには何も言わなかった。


 ただ黙ったまま地面を見ている。


「……」


「星奈?」


「そうなんですね」


 ぽつりと呟く。


 その声は少しだけ重かった。


「ああ」


「……」


 再び沈黙。


 やがて。


 星奈は小さくため息を吐いた。


「里見先輩」


「ん?」


「さすがに優しすぎます」


「そうか?」


「そうです」


 即答だった。


 迷いなんて一切ない。


「普通なら関わりません」


「でも放っておけなかったんだよ」


「だからです」


「だから?」


「それが優しいって言うんです」


 星奈は呆れたように肩を落とした。


「だってそうじゃないですか」


「……」


「三上さんは里見先輩を傷付けた人なんですよ?」


 少しだけ声が強くなる。


「なのに助けるんですか」


「目の前で殴られそうになってたからな」


「それでもです」


 星奈は納得していないらしい。


「里見先輩はもっと自分を大事にしてください」


「はいはい」


「はいは1回です」


「先生かよ」


「先生じゃありません」


「似たようなもんだろ」


「違います」


 即答だった。


 だけど。


 その顔は少しだけ安心しているようにも見えた。


 たぶん。


 俺が無事だったことに安心しているんだろう。


 そんなやり取りをしていた時だった。


 ガサッ。


「ん?」


「……」


 物音がした。


 俺と星奈は同時に振り返る。


 視線の先。


 校舎裏の物陰から人影が現れた。


「あ……」


 俺は思わず目を見開く。


 三上さんだった。


 顔色が悪い。


 どうやら途中から聞いていたらしい。


「あ、その……」


 三上さんは視線を泳がせる。


 右を見て。


 左を見て。


 落ち着きなく指先を握る。


 逃げたい。


 でも逃げられない。


 そんな顔だった。


 すると。


 星奈が1歩前に出る。


「三上さんですよね?」


「っ……」


 三上さんの肩が震えた。


 星奈の目は冷たい。


 今まで見たことがないくらい冷たかった。


「ざまぁないですね」


「え……」


「里見先輩に嘘告白なんて最低なことをするから彼氏に殴られそうになるんです」


「っ……」


「バチが当たって自分で不幸を引き寄せたんです」


 三上さんは言い返せない。


 ただ唇を噛む。


 顔を俯かせる。


「違いますか?」


「……」


「違わないですよね」


 三上さんは何も言えなかった。


 星奈は止まらない。


「里見先輩が優しいから助かった」


 1歩。


 さらに距離を詰める。


「ただそれだけです」


「……」


「里見先輩が来なかったらどうなっていたか分かりませんよね?」


 三上さんの肩がびくりと震えた。


「だから感謝してください」


「……」


「ちゃんと」


 三上さんの目に涙が浮かぶ。


 震える唇が小さく動いた。


「里見くん……」


 声が掠れていた。


「本当にありがとう」


「……」


「それと」


 三上さんは深く頭を下げる。


 腰が90度近く折れる。


「本当にごめんなさい」


 身体が震えていた。


 今にも泣き出しそうだった。


 だけど。


 星奈の表情は変わらない。


「それだけで許されると思ったら大間違いです」


「っ……」


 三上さんの肩が大きく揺れた。


「里見先輩は傷ついたんです」


 星奈の声は静かだった。


 だけど重い。


 怒鳴るよりもずっと重かった。


「謝れば終わりじゃありません」


「……はい」


「人を傷つけた事実は消えません」


「はい……」


「後悔しても戻りません」


「……はい」


 三上さんの声は震えていた。


 今にも消えそうだった。


 頭は上がらない。


 上げる資格なんてないと思っているみたいだった。


 ぽたり。


 地面に雫が落ちる。


 涙だった。


「ごめんなさい……」


 小さな声。


「本当に……ごめんなさい……」


 もう顔はぐしゃぐしゃだった。


 それでも。


 頭だけは下げ続ける。


 まるでそれしかできないみたいに。


 校舎裏には。


 三上さんの震える謝罪だけが静かに響いていた。


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