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クラス1の美少女に嘘告白された帰り道、ナンパされていた絶世の美少女を助けたら、まさかのその日に義妹になった  作者: 白金豪


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15/50

第15話 救けてしまう

 1時間目終了後の休み時間。


 俺は教室を出て自動販売機へ向かっていた。


 校舎裏。


 人通りは少ない。


 静かな場所だった。


 ガタンッゴトンッ。


 お茶のボタンを押す。


 ペットボトルを取り出そうとした、その時だった。


「いい加減にしてよ!」


 聞き覚えのある声が響く。


「……?」


 思わず顔を上げた。


 坂田と三上さんが向かい合っていた。


「なんだよ急に」


 坂田が面倒臭そうに頭を掻く。


「急じゃない!」


 三上さんは強く言い返した。


 でも。


 近くで見ると分かった。


 声は強い。


 だけど手は震えている。


 制服のスカートを握る指先にも力が入っていた。


「なんで1年のあの子に声掛けるの?」


「乾さんのこと? 」


「そうよ!」


 三上さんは1歩踏み出す。


「最近ずっと絡んでるじゃない!」


「だから?」


「だからって何よ!」


 坂田は面倒そうにため息を吐いた。


「お前さ」


「何?」


「嫉妬してんの?」


「っ……!」


 三上さんの肩が揺れる。


「当たり前でしょ!」


 絞り出すような声だった。


「はぁ……」


 坂田は露骨に呆れた顔をした。


「うぜぇな」


「なっ……」


「俺が誰と話そうが勝手だろ」


「勝手じゃない!」


 三上さんは負けじと言い返す。


 だけど。


 坂田が1歩前へ出た瞬間。


 三上さんの足が止まった。


 それでも逃げなかった。


 逃げられなかったのかもしれない。


「勝手だろ」


 坂田の声が低くなる。


「お前に指図される筋合いねぇんだよ」


「坂田……」


「黙れ」


 その1歩で空気が変わった。


 三上さんもそれを感じたらしい。


 一瞬だけ視線が揺れた。


 でも。


 それでも引かなかった。


「俺はな」


 坂田が鼻で笑う。


「乾みたいな女が好きなんだよ」


「っ!」


 三上さんの顔が歪んだ。


 今にも泣きそうだった。


 だけど必死に堪えている。


「じゃあ私と付き合ったのは何だったの?」


「知らねぇよ」


「最低……」


「だからうるせぇって」


 坂田が舌打ちする。


 三上さんの肩がビクリと震えた。


 それでも唇を噛み締める。


「どうせ乾さんはあんたなんか相手にしないわよ」


「あ?」


「だって——」


 言い返そうとした。


 だけど。


 最後まで言えなかった。


 坂田の顔が変わったからだ。


「てめぇ」


 低い声。


 背筋が冷えるような声だった。


 三上さんの顔から血の気が引く。


 分かった。


 怖いんだ。


 当たり前だ。


 相手は男だ。


 力だって全然違う。


 それでもここまで言い返していたんだ。


「坂田……?」


 三上さんが後ずさる。


 たった半歩。


 だけどそれだけで十分だった。


 彼女が本当は怖がっていることが分かった。


「調子乗んなよ」


 坂田が右腕を振り上げる。


「っ!」


 三上さんが反射的に目を閉じた。


 肩を縮める。


 両手が胸の前で固まる。


 殴られる。


 そう思ったんだろう。


 考えるより先だった。


 身体が勝手に動いていた。


 気付けば走っていた。


 そして。


 バシッ。


 坂田の拳を掴む。


「……は?」


 坂田が固まった。


 俺も驚いていた。


 何やってんだ俺。


 そう思う。


 でも。


 掴んだ手は離れなかった。


「離せ」


 坂田が睨む。


「……」


 離さない。


「聞こえてねぇのか」


 坂田が腕に力を入れる。


 だけど。


 俺も力を込めた。


「やめろ」


 自分でも驚くほど低い声が出た。


「手を上げるな」


 坂田の眉が動く。


「関係ねぇだろ」


「関係ある」


 視線を逸らさない。


「女相手に何やってんだよ」


 一瞬。


 沈黙が落ちた。


 坂田は俺を睨む。


 俺も睨み返す。


 先に目を逸らしたのは坂田だった。


「チッ……」


 舌打ち。


 そして乱暴に腕を引く。


「邪魔すんな」


「……」


「覚えてろよ」


 吐き捨てるように言うと、そのまま去っていった。


 足音が遠ざかる。


 静寂が戻る。


「はぁ……」


 後ろから小さな息が聞こえた。


 振り返る。


 三上さんだった。


 さっきまで強気だったのに。


 今は顔が真っ青だった。


 膝から力が抜けそうになっている。


 だけど。


 その目だけは真っ直ぐ俺を見ていた。


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