↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラス1の美少女に嘘告白された帰り道、ナンパされていた絶世の美少女を助けたら、まさかのその日に義妹になった  作者: 白金豪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/53

第11話 義妹に運命だと言われた

「あ…」


 自宅の目の前で義妹と遭遇した。


 義妹も丁度、俺とは反対側の道から帰ってきたらしい。


「…」


 俺は義妹から視線を逸らし、そのまま家の中に入ろうとする。


「ま、待ってください!」


 背後から呼び止められた。


 義妹の声が背中に突き刺さる。


「…」


 俺は立ち止まり、無言で振り返った。


 一体なんなんだ?


 俺と話すことなんてないだろう。


「家の中で話せませんか?」


 義妹は緊張した面持ちで家のドアを指差した。


 なんなんだよ。本当に。


 今朝、一緒に登校していた林と仲良くしてればいいだろ。


 俺はうんざりする。


 同時に胸の奥が少しだけ痛んだ。


 だが。


 義妹の表情を見ると断れなかった。


 勇気を振り絞っているのが分かったからだ。


「…分かった」


 気は進まなかったが了承する。


「……ありがとうございます」


 義妹はほっとしたように息を吐いた。


 なんでそんな顔をするんだよ。


 俺は不満を抱えたまま鍵を取り出し、玄関を開けた。


 俺に続いて義妹も中へ入る。


 靴を脱ぎ、リビングへ向かった。


 ソファにカバンを置く。


 振り返ると、義妹はまだ立ったままだった。


「それで。話って何?」


「……」


 義妹はすぐには答えなかった。


 何かを言おうとして。


 でも言葉が出てこない。


 そんな様子だった。


 数秒の沈黙が流れる。


「……は、はい。その……私、嬉しかったんです」


 義妹がようやく口を開く。


「何が?」


「お兄ちゃんと家族になれたことです」


「は?」


 思わず声が漏れた。


 家族になれて嬉しかった?


 なぜ?


「私、ずっとお母さんと2人暮らしだったんです」


 義妹はぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。


「家に帰っても1人の時間が多くて……。多分、このまま同じ状態が高校生活でも続くんだろうなって思ってました」


 義妹は少し寂しそうに笑った。


 その気持ちは分かる。


 俺もお父さんしかいない片親だから。


 学校から帰っても1人の時間が多かったから。


 その寂しさは共感できる。


「でも再婚の話が出て」


 1度言葉を切る。


「しかも相手は、私を助けてくれた人だった」


「……」


「お兄ちゃんが家族になるって知った時、本当に嬉しかったんです」


 真っ直ぐな言葉だった。


「だから、困ってたら助けたいって思ったし、少しでも恩返ししたいって思ったんです」


「だから、それはもういいって」


 俺は苛立ちを隠さずに言った。


「嫌です!」


 義妹が強く言い返す。


「!?」


 思わず目を見開いた。


 こんな強い口調の義妹を見るのは初めてだった。


 義妹は潤んだ瞳で俺を見つめている。


「私が嫌なんです」


 震える声だった。


 だけど意志は強かった。


「お兄ちゃんは私を助けてくれた。家族になってくれた」


「……」


「だから一緒にいたいんです」


 胸が少し痛んだ。


 だけど。


 その言葉は俺が欲しかったものとは違う。


 結局。


 家族だから。


 助けたから。


 俺が特別なんだ。


 もし家族じゃなかったら。


 もしあの日助けていなかったら。


 義妹はこんなことを言わなかっただろう。


 俺自身を見ているわけじゃない。


 そう思ってしまう。


「そんなの、たまたまだろ」


 気付けば口が動いていた。


「俺がたまたま家族になっただけだ。たまたま助けただけだ。全部たまたまなんだよ」


 感情が止まらない。


「俺じゃなくても変わらなかっただろ」


「だから、それがどうしたんですか?」


 義妹は即座に返した。


「へ?」


 予想外だった。


「家族になったことも、助けてくれたことも、全部偶然かもしれません」


 義妹は1歩前へ出る。


「でも私は運命だと思います」


「……運命?」


「はい」


 義妹は迷いなく頷いた。


「お兄ちゃんと私が出会ったことも」


「……」


「お兄ちゃんが私を助けてくれたことも」


「……」


「家族になれたことも」


 義妹の瞳が真っ直ぐ俺を捉える。


「全部、お兄ちゃんと私を結びつけるために必要だったことなんです」


 その言葉には一切の迷いがなかった。


「お兄ちゃんと私は運命で結ばれていたんです」


 義妹は真っ直ぐ俺を見つめる。


「私、お兄ちゃんじゃなかったらこんな風に思わなかったと思います」


「……」


「他の人だったら、こんなに助けたいとも思わなかった」


「……」


「こんなに一緒にいたいとも思わなかったです」


 義妹の声は震えていた。


 だけど、その瞳には迷いがなかった。


 胸がざわつく。


 普通なら嬉しいはずの言葉なのに。


 俺は素直に受け取れなかった。


 そんなはずがない。


 そんな都合のいい話があるわけがない。


 義妹が俺なんかを特別に思う理由なんてない。


 きっと勘違いだ。


 義妹は優しいから。


 家族だから。


 助けてもらった恩を返したいだけなんだ。


 そう考えた方がずっと自然だった。


 そうじゃないと。


 期待してしまう。


「……お前には林っていう奴がいるじゃないか」


 気付けば口にしていた。


「今朝、一緒に登校していただろ」


 今回のきっかけになった出来事だった。


 苦し紛れだった。


 それでも聞かずにはいられなかった。


 それほど俺の心は揺れていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。