確信をもって間違う“確信犯”
毎回のように引用させていただいております、文化庁監修「国語に関する世論調査」の平成27年度版が発表されました。
ワー、パチパチ!
相変わらず、誤字誤用の調査をがっつり行ってくださったわけですが……やはりと言うかそこまでひどいか? と言うか、想像以上に”誤用化“が進んでいる実態が明らかになりました。
それは「確信犯」という言葉。
本来の意味は「政治的、宗教的等の信念に基づいて、正しいと信じてなされる行為、犯罪またはその行為を行う人」なのですが。
現在は「悪いことであると分かっていながらなされる行為、犯罪またはその行為を行う人」という意味で用いている人が多いようです。
日常会話では勿論のこと、どうかするとテレビの報道番組(バラエティーじゃないよ?)ですら「確信犯」をみごとに誤用してくれやがってますので、ついに誤用が正しい用法を超えてしまってるんだろうなあ、と薄々感じていました。
とは言うものの、精々半数をちょっと超えたぐらいのものかな? と思っていたのですが……平成27年度調査によりますと、
正用:17.0%
誤用:69.4%
と、誤用が圧勝してしまっているのです!
いやあ、参りましたね。
誤用が7割ですよ。それ以上に正用が2割を大きく下回ってるんですよ……
この記事についてはワイドショーでも取り上げていました。確信犯という単語自体を知らなかった某アイドルは論外として(笑)、「確信犯=悪いと分かってする行為」は誤用だと知ってるけれど、回りがそういう意味で使っている人ばかりだから、誤用の方を敢えて使っているというゲストコメンテーターの発言がありました。
……何なんだろう、このモヤッと感。
赤信号 皆で渡れば 恐くない、的な横着感がなんとも気持ち悪い。
正しい方が間違ってる方に合わせてあげてる発言、それをあるある! と受け入れてる司会者。
なぜそこでひとこと「それ、誤用だよね?」なツッコまないのかな?
正面から誤用と言うと角がたつなら「敢えて誤用で言うところの確信犯?」と茶化して使ってみせるという手もあるのにね。
こういう話をすると、時々「フィンガーボウルの水を飲んだ女王様」の話を始めて、誤用を指摘するのは思い遣りが足りない、などとこちらを諌めようとしてくる人がいたりするんですが。
ちゃんとオブラートに包んで言ってるつもりなんですけどね。
包みたいものが多過ぎて所々破れているのはご愛嬌(苦笑)