第3話 修行の地・シエルトス
ストーリーの中間地点にギフテッド&ギフト紹介を挟むことにしました。3話以降のストーリーには出てくる確率が高くなると思います。
伝えるのが遅くなりましたが不定期更新となります。気長にお付き合いいただけると嬉しいです。
「そういえばもう一人この町に一緒に来た仲間がいるんだ。」
「その人もギフテッドなんですか?」
「そうだよ。不器用だけど、優しいよ。」
ヴィジアさんの仲間の説明を聞いていると目の前に長身の男性が現れた。
「おっ、噂をすれば。」
「ヴィジア。お前ちゃんと仕事できるんだな。」
「急になにさ。ちゃんと町の偵察はしてきたよ。」
「はぁ。やっぱりできてないじゃないか。」
「できてるよ!あっ。」
「思い出したか。」
「この子はガイル。町を歩いてたら殺されそうになってるところを見つけたんだ。この子もギフテッドなんだって!偶然だよね。師匠、ギフテッド欲しがってたから持ち帰ろうと思ってるんだけどいい?」
男性は呆れたようにやれやれと首を横に張った。
「師匠はなんでこいつに任せたんだ。たまたま見つけられたからよかったものの…」
「え、仕事って偵察じゃないの?」
「ギフテッドたちの回収だ。この町には二人いると伝えられた。俺が連れてきたのとガイルってやつでどちらも回収できたな。」
そう言われるとヴィジアさんは初耳だと言わんばかりに目を丸くさせた。
「あちゃー。まぁ実は私、魂のエネルギー感じてガイルの方行ってたんだよね。そういう意味じゃ仕事は完璧にこなしたよ!」
「でもヴィジアさん、俺がギフト使うまでギフテッドって気づいてなかったような…」
「なに余計なこと言ってんの!」
あの男性はもう一人いると言っていたが誰のことなのだろうとふと気になり俺は聞いてみた。
「あの、もう一人って誰なんですか?周りには俺たち以外には誰もいないと思うんですけど。」
「あぁ、まだ紹介してなかったな。」
すると男性の影の中から俺と同じくらいの背丈をした男が出てきた。
「あれ?もう出ていいんですか?」
影から出てきた男はそういうとキョロキョロと周りを見渡した。俺と目があい少し考えた後口を開いた。
「もしかしてガイル?」
「そうだけど…ってワイド!?」
俺が母さんの安否を確認しに行った後、お漏らし野郎を任せて別れてしまったため無事かどうか分からなかっが、ワイドもギフテッドでヴィジアさんの仲間に拾われているなんて思いもしなかった。
「まさかの知り合い!?こんな偶然ってあるんだね。」
「えっと、この女性は?」
ワイドは俺と一緒にいる女性を疑問に思ったのか質問をしてきた。
「私はヴィジア。よろしくね。君は?」
「ワイド・ゴルクです。こいつとは16年の付き合いで。いわゆる幼馴染ってやつです。」
「もしかして二人とも16歳?」
「はい。」
「私と同い年じゃん!お姉さんぶってたけど、そんなことなかったのか。」
18歳くらいなのだろうと思っていたが同い年だったとは。俺やワイドと比べ物にならないほど大人びている。
「どちらかといえば、お前はガイルとワイドより年下だな。」
男性はヴィジアさんを嘲るように言ったが、悪意は感じられなかった。仲の良い友達を揶揄う時と同じノリを感じたからだ。
「そういえばお兄さんのお名前は?」
まだ聞いていなかったと思い俺は質問してみた。
「俺か?俺はクオレ・ウィルコス。さっき見たと思うがギフトは影の中を行き来できる能力だ。」
「ワイドはギフトについて知ってるのか?」
「もちろん知ってるぜ。クオレさんに教えてもらったんだ。」
崩壊した町の中で和気藹々と話し合っていた四人だったが、ギフテッドと戦ったり自分の住んでいた町が崩壊してしまったりとそれぞれ疲れていた。
「今日は疲れたし早く師匠のところに戻ろうよ。」
「それもそうだな。安全のために二人は俺の影の中に入っておいてくれ。」
俺とワイドはクオレさんの影の中に入り運んでもらうことになった。着いたら合図を送るとのことだ。
「ヴィジア。」
「ん?」
「ガイルが殺されそうになっているところを見つけたと言っていたが、誰に殺されそうになっていたんだ?」
「名前も正体もわからないけどギフテッドだったことは確か。主人に命令されてギフテッドを殺しにきたらしいよ。仮面なんかつけちゃってさ。胡散臭い詐欺師みたいな格好してたよ。」
少し考えた後、クオレは自分の予想をヴィジアに伝えた。
「ギフテッドを殺しに…町を崩壊させたのも奴の仕業なのか?」
「さぁ。もしかしたらガイルが何か知ってるかもね。」
「後で聞いてみる価値はあるな。」
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ギフテッド:ヴィジア・コーク
ギフト:キメラ
体の一部を色々な動物に変化させることができる
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「二人とも。ついたぞ。」
そう合図を送られ俺とワイドは影から外に出た。見渡す限り木が植っている。察するに森の中なのだろう。
「ここはどこなんですか?」
「シエルトスっていう場所だよ。君たちの街から20Kmぐらい離れてる。」
「20Km!?徒歩できたんですか?」
「そんなわけないだろ。ヴィジアの足を馬のものに変えたんだ。」
ということはクオレさんはヴィジアさんにおぶられてここまできたのだろうか。
「じゃあ師匠のところへ向かおうか。」
この方達の師匠と面会する必要があるらしく、俺たちはヴィジアさんの後をついていった。
「師匠。ギフテッドたちを連れてきました。」
目の前には窓を眺め黄昏ている男性がいた。仙人のような人を想像していたが意外にもとても若い男性が立っていた。
「あぁ、ありがとね。」
俺とワイドは顔を見合わせた。これからお世話になるのだから自己紹介をしなくてはと思いお互いに名を名乗った。
「ガイル・アノーマロスです。」
「ワイド・ゴルクです。」
「君たちがギフテッドなんだね。これからよろしくね。」
それだけいうとまた窓の方を向いてしまった。名を名乗るだけでいいのだろうか。てっきりギフトのことについて質問してくると思っていたのだけれど。
「なにかまだ用があるのかな?」
立ち尽くしている俺たちを疑問に思ったのかその男性は質問をしてきた。
「いえ。ただなにか質問するのかなと。」
「君たちへの質問か。私は特にないね。」
「ギフトとか気にならないんですか?」
「気にならないな。明日修行を始めればわかることだしね。」
少し考えた後、クオレさんは俺たちに告げた。
「ガイルもワイドも、もう部屋を出ていいぞ。ヴィジア、寝室まで連れて行ってやってくれ。」
「りょーかい。」
三人が去った後、師匠はクオレの方を向いた。
「クオレ。何か私に話したいことでもあるのかな?」
「はい。今回、指示の通りギフテッドを回収しに行ったところ、その町が襲撃されました。ヴィジアの情報によるとギフテッドを殺そうとしているものも現れたみたいです。今の所、そいつが町を崩壊させたとみて間違いないでしょう。」
「少しでも遅れていたらあの二人は殺されていたかもしれないってことだね。危なかったね。」
「師匠はギフテッドたちを殺そうとする者についてご存知ですか?」
少し間をおいて師匠は口を開いた。
「少しだけなら把握しているよ。最近ギフテッドが増えているだろう。ギフトは素晴らしい贈り物だがそれを悪用する者もいる。特に突然にして絶大なパワーを得た時は調子に乗りやすいからね。」
部屋に飾ってある剣をなでながら師匠は語り始めた。
「私はその者たちに立ち向かうために君たちに修行をつけているんだよ。」
「失礼というのは承知なのですが、師匠が戦いにいくのではダメなのでしょうか。」
「私は死んでしまうかもしれないからね。」
「師匠、若いじゃないですか。」
「年齢関係なくいつ死ぬかなんて分からない。神様の気分次第だよ。」
師匠は時計を見て、もうこんな時間かとつぶやいた後クオレに言った。
「ほら、もう9時なんだから寝なさい。」
「俺はもう20歳ですよ。」
「早ね早起きは三文の徳。それに明日の修行はいつもより早めにやろうと思ってましてね。」
クオレは渋い顔をし、ため息をついた。
「わかりましたよ。もう寝ます。」
「いい心がけです。おやすみなさい。」
クオレは師匠のいる部屋から退出し、自分の寝室に向かった。
弟子たちの寝室がある棟の廊下でクオレはヴィジアとすれ違った。
「もう話は済んだの?」
「あぁ。早く寝ろだってさ。」
「あはは。ふしぎちゃんモードは相変わらずだね。」
「そうだな。明日は修行を朝早くからやるらしい。お前も早く寝ろよ。」
「はーい。」
そのまま通り過ぎて寝室に行ってもよかったのだが、クオレは立ち尽くした。
「なぁ、師匠ってもしかして…」
早死にするんじゃないかという言葉がでかかったが口をつぐんだ。
「いや、なんでもない。」
おっけいと言ってヴィジアはそのまま自分の寝室へと向かっていった。あの全てを悟ったような言い方がどうにも引っかかって仕方がなかった。だが、考えたところで答えは出ないと踏ん切りをつけクオレは自分の寝室へと向かっていった。
――何事も起こりませんように。
そう願いクオレは眠りについた。




