爽やかな川の交わり、川を知る、
(SE:澄んだ川のせせらぎ)
(SE:木々を抜ける風)
(SE:遠くから蝉の声)
(ナレーション)
結界の光が収まっても川は変わらず、静かに流れていた
むしろ先ほどよりも、水が澄んで見えるような気がした
(あなた)
「……綺麗だな」
(SE:川辺にしゃがむ)
(SE:水へ手を入れる)
(ナレーション)
あなたは川辺にしゃがみそっと水へ手を入れる。
山から流れてきた清らかな水が火照った手を、心地よく冷やしていく
白巫女も三歩後ろから、そっと川を覗き込んだ
(白巫女・感心して)
「本当に……透き通っていますね」
(SE:小魚が水中を跳ねる)
(ナレーション)
小魚が泳いでいる
その姿を見て白巫女が、ほんの少し笑った
(白巫女・柔らかく)
「……かわいいですね」
(ナレーション)
柔らかい声だった。
あなたは立ち上がる
(あなた)
「少し入っていくか」
(白巫女・少し意外そうに)
「川へ、ですか?」
(あなた)
「せっかく来たんだ。それに土地を知る事は結界の強化に繋がる」
(短い間)
(白巫女・小さく微笑んで)
「……はい、主様」
(SE:ちゃぷ……ちゃぷ……)
(ナレーション)
二人で浅瀬へ入っていく
足を進めるたび透明な水が左右へ分かれ小さな波紋が幾重にも広がっていく
(白巫女・思わず)
「……涼しい」
(あなた)
「いいか?」
(白巫女)
「はい……心地よいです」
(SE:川の流れ)
(SE:蝉の声)
(SE:葉が風に揺れる音)
(ナレーション)
山々に囲まれた、小さな川
遠くでは生物が鳴き頭上では、青々とした木々が風に揺れている
水面には陽の光が細かく砕け無数の輝きとなって流れていく
名もない田舎の川。だが
(あなた)
「それもまた良し」
(SE:少し深い水へ進む)
(あなた)
「ここなら泳げそうだな」
(SE:水へ身体を預ける)
(あなた・気持ちよさそうに)
「……気持ちいいぞ」
(少し間)
(白巫女)
「では……私めも」
(SE:ちゃぷん――)
(ナレーション)
白巫女も、静かに水へ入る
長い黒髪が水面へ広がり清らかな流れに、ゆっくり揺れる
普段の凛とした姿とは少し違う
水の中を進むその姿はどこか無防備でこの美しい自然の一部になったようだった
(SE:二人がゆっくり泳ぐ水音)
(ナレーション)
二人で川を泳ぐ
競うわけでもない
目的地があるわけでもない
ただ透明な流れに身体を預ける
しばらく泳いだあと二人は川辺の大きな岩へ腰掛けた
(SE:水から上がる)
(SE:足元で水が揺れる)
(白巫女・穏やかに)
「……こういう時間も、よいものですね」
(あなた)
「そうだな。いい休息になる」
(白巫女)
「はい」
(少し間)
(白巫女・川を眺めながら)
「……こういうものを守るために、私めたちは戦っているのですね」
(SE:風が田を渡ってくる)
(ナレーション)
あなたは目の前に広がる景色を見つめる
澄んだ川
山の緑
田を渡る風
遠くに見える、村の家々
そして隣にはいつも三歩後ろを歩く白巫女がいる
今日はほんの少しその距離が近かった
(SE:白巫女が水をすくう)
(白巫女・小さく)
「……綺麗」
(SE:手から水が零れ落ちる)
(ナレーション)
白巫女の指先から
透明な雫が、ひとつずつ川へ還っていく
その時――
(SE:低く柔らかな共鳴音)
(SE:共鳴音が少しずつ広がる)
(ナレーション)
蒼生の力が静かに、この土地へ呼応し始める
川へ入り水に触れ風を感じこの土地で生きるものを見た
(白巫女・静かな驚き)
「この土地の流れが……先ほどより、はっきりと分かります」
(あなた)
「土地を知る事で、土地を守りやすくなる」
(白巫女)
「……はい」
(白巫女・理解するように)
「私めたちが、この川を知ったからこの川もまた……私たちの力を受け入れてくれているのですね」
(SE:水面を風が渡る)
(SE:淡い共鳴音)
(ナレーション)
川を中心にごく淡い蒼の光が広がっていく
水路へ田畑へそして、村を包む結界へ
ほんのわずかだが結界の強度が増していく
(ナレーション)
土地を知ること人を知ること
そして、その場所で同じ時を過ごすこと
それもまたこの村を守る力となっていく
――村との共鳴が深まった
――結界強度が、わずかに上昇した




