その3
2日連続投稿です。
よろしくお願いします
連絡先を交換した日の夜だった。
俺は増えた連絡先を眺めながらニヤついていた。
「俺にも遂に友達ができたか……」
リビングのソファで横になりながら、何回も目をこすっては、スマホの画面を見る。
「もう、お兄ちゃん??な~にスマホ見てニヤついてんの~?気持ち悪いゾ」
気がつくと、妹の瑠香が俺を見下ろすようにして立っていた。
気持ち悪いって言われたので傷つきつつ、俺は今日の出来事を話した。
「ふーん、ボッチだったお兄ちゃんの割にはよくやったんじゃないの?」
瑠香はそう言いながら、俺から奪い取ったスマホを操作している。その表情はどこか不満そうだ。
「あの……何かご不満が?」
俺は何故か妹の前で正座しながら、恐る恐る質問する。
「べっつに~?いいんじゃない?あのぼっち陰キャヲタクのバカ兄のスマホに女の人の連絡先が追加されてさ!」
瑠香は不機嫌そうに頬をむぅ……と膨らませている。
何が不満なんだ?
「なんか、悪かったよ……。でも、ありがとうな。お前がいなければ俺は今、連絡先を交換してくれる人なんていなかったはずだから」
俺がここまで変わることが出来たのは、全てこいつのおかげだ。本当に助けられてばかりだ。
「ふん!別にいいわよ。その代わり、今度デートしてよね!」
瑠香は少し恥ずかしそうに頬を朱に染めながらも、力強く言い放った。
「ん?もう1回言ってくれ」
俺はラノベ主人公のように難聴でも鈍感でもない。
ただ、思春期の妹が兄とデートしたがるなんて現実が受け入れられず聞き返してしまっただけだ。
「だーかーらー!! 今週末にでも私とデートしてよねって言ったの! 何回も言わせないでよね」
なんか、日程まで指定されてるんですけど……。
まぁ、週末に予定は無いからな、デートして、何かお礼でも買ってあげよう。
ついでに機嫌も治ってくれると助かる。
なんか、今日怖いし……
「お、おう、任せとけ!お兄ちゃんがなんでも買ってやるぞ?」
「ホント!? やるじゃ~ん!じぁ、約束だからね?」
瑠香は俺の顔の前に小指を出す。色白で細長く、綺麗な小指だ。
俺は自分の小指を瑠香の小指と絡ませる。
指切りげんまんだ
「嘘ついたら、針千本より酷い目に合わせるから」
瑠香は上野と同レベルの悪魔のような顔をしながら言う。
が、先程とは打って変わって、機嫌は治っているようだ。
「それはちょっと怖いな」
俺は苦笑いを浮かべながら、小指をそっと離した。
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「妹とデートってラノベかよ」
翌日、大塚に昨日の出来事を話したら、そんなことを言いながら笑った。
「教室でラノベとかいうな。俺の脱ヲタ計画が終わるだろ」
朝の日差しが差し込む教室の窓際で、俺は今日も大塚と話していた。
窓の外を見ると、桜の花びらが散り始め、葉桜となった桜の木が多く見える。
「ごめんってぇー。んでさぁ、お前の妹って可愛いの?」
大塚は笑いながら言った。
「うるせぇ、俺の妹に手を出したらタダじゃ置かんぞ?ちなみに、めちゃくちゃ可愛い」
「んだよ~冷たいな。お義兄様は」
「お義兄様とかいうな。殺すぞ」
俺は大塚を睨む。別に妹が好きな人なら許すが、こんなイケメン野郎に妹はやらん。絶対。マジでこいつにだけはやらん。
「お前はいいよなぁ、超絶可愛い上野さんがいて、可愛い妹もいるのか」
大塚はため息をつく。
「んだよ。お前2次元にしか興味ねぇって言ってただろ」
俺は呆れ顔で言う
「そんなの、お前ならわかるだろ?強がりだよぉ」
大塚はあんまりだぁあああと泣き叫ぶ。マジでこいつ大丈夫か?イケメンなのに残念なやつだ。
と、そんなやり取りをしていたら、俺のポケットの中のスマホが鳴った。
スマホを取り出し、SNSを開くと上野からメッセージが送られて来ていた。
メッセージの内容はこうだ。
「誠くん?いつまでそんなモブと話しているの?部活の事で話があるから早く終わらせなさい。」
なんてこった。あの大塚がモブだって言いやがったぞ。
まぁ、確かに上野のようなスペシャル美少女には大塚くらいのイケメンでも少し物足りないのかもしれないが……
それにしても失礼すぎる
俺はさっと、スマホを操作し
「一限終わったら、特別教室練の廊下に来てくれ。」
とだけ打ち込こんだ。
特別教室練とは何かと説明すると、うちの学校は校舎を上から見るとカタカナの「エ」の字のようになっている。
校舎と校舎が向かい合うように建っており、真ん中には大きなスロープというデザインだ。
俺らが生活する教室練側からスロープを通り、向かい側の校舎に行けば理科室や美術室といった特別な器具などを必要とする教室があるわけである。
(一階や二階は一部部活の部室にもなっている)
そこをうちの学校では「特別教室練」と呼んでいる。
ここに呼び出す理由は、教室練に比べてれば単純に人目を避けられるからだ。
無事送信すると、俺はポケットにスマホをしまう。
が、すぐにスマホがなる。確認すると、
「了解」
の2文字だけが送られてきていた。上野のやつ、返信早いな……
その後、一限の授業も終わると、チャイムと共に上野は教室を出ていった。待ち合わせ場所に向かったんだろう。
一緒に行ったら意味が無いので俺は少し時間を置いてから向かった。
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「それで?話ってなんだ?」
俺は特別教室練の廊下で待つ、上野に声をかけた。
俺の質問に、上野は生徒手帳を取り出すと、ペラペラとめくり俺に見せた。
「ここを見て?これは部活設立の為の条件なんだけど……全然条件を満たしてないのよ」
俺は上野の生徒手帳を軽く読んだ。
ざっとまとめるとこんな内容だ。
1.活動場所を見つけること
2.部員は最低、5人以上+顧問の先生
3.高校生らしい活動
4.部活設立の為の書類は全て記入し、必ず提出すること
と、まぁこんな感じ。
現在満たしているのは、1つ目の活動場所を見つけるくらいだな。
「活動場所は地下教室を使うとして、部員が足りいなぁ」
「そうなのよ!そ、こ、で!あなたの出番よ」
上野は俺を指さしながら言った。
「俺の出番?」
「そう、自慢じゃないけど私友達少ないのよね」
上野はドヤ顔で言い放つ。その姿はある意味清々しい。
「お前なぁ……俺も少ないんだ。期待されても困る」
俺は呆れ顔で言った。
正直、脱ヲタしてキャラを変えたとはいえ、親しい友達と呼べる人は、大塚と目の前にいる上野くらいだ。
悔しいけど
「なによ、いつも貼り付けたような笑顔で色んな人と話してるじゃない」
「お前なぁ……」
「じぁ、今日の活動は部員探しってことでいいわね?」
「まぁ、それしかないな。」
部員探しか……入るか分からないが、大塚は期待できるな。声掛けて見るか…
そんなことを考えながら、教室へと戻った。
ありがとうございました。
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