その2
最近、読んでいただける方が少しずつ増えてきて、嬉しく思います。
これからもよろしくお願いします
「随分と騒がしいわね、誠くん」
多くの学生が登校して来る頃……
俺と大塚が昇降口のど真ん中で色々と話していたせいか、後ろから上野に声をかけられた。
って、ここで上野かよ!マズイだろ!人が多いこの場で騒がれたら俺までヲタクだと思われてしまう!!何とかして逃げないと……
「べ、別に大したことないぞ?それより、教室行こうぜ?な?」
俺はとりあえずここから離れるべく、校舎内へと急ぐ。
「誠くん?何か変じゃない?私に隠し事?」
「いや~そんなことないって!な?大塚?」
大塚、ここは話を合わせろよ?公衆の面前でヲタクトークなんてされたら俺もヲタクを疑わられる。
「んー?まぁ隠し事はないけどよ。でも、なんでそんなに引っ張るんだ?」
こいつ、余計なことを
「別に引っ張ってないって。ほら、急ごうぜ?上野も早く教室来いよー」
俺は大塚を引っ張りあげ、校舎内へと入っていくのだった
すまないな、上野。
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「ははっ、やっぱりお前ら付き合ってるだろ?」
ガヤガヤと騒がしい朝の教室の中で大塚はそう言って、からかうように笑った。
俺たちの席は、窓際の後ろから1番目と2番目、前後なのでこうして話すこともある。
今日は一緒に登校したため、そのまま話す流れになった感じだ。
朝言っていた通りこいつは得意じゃないが、なんというかこう陽キャと話せるってのは俺が目指していた青春っぽくて悪い気がしない。
「はぁ、もういい加減にしろよ?俺達は別に付き合ってないって。」
俺は少し不機嫌そうに言った。
ほら、あるだろ?仲良い異性とかいると、「アイツら付き合ってるだろ?」とかからかわれて気まづくなるみたいなさ。
異性の友達いたの?とかは傷つくんでホントやめてください。
「それにしても、結構仲いいよな。お前ら。」
「そうかな、まぁ確かに。」
初めて話したのは、入学式の初日。校舎に見惚れていた俺に「ライトノベルのような校舎ね」って声をかけてきてくれたのが始まりだった。
思い返せば、それこそラノベの始まりみたいで少し笑えてくる。
「そう言えばさ、お前と上野さんって電話とかすんの?」
大塚はにやにやしながら、聞いてくる。どうやら恋バナが好きなのは女子だけじゃないようだな。俺は別に恋してる訳じゃないんだけど……
「してねぇーよ。LI○Eもアドレスも番号も知らない。もういいだろ?」
確かに、俺と上野は連絡先を交換していない。不便だと思うことも多々あったのは事実だが、スマホに友達の連絡先などあるわけもなく、俺にとっては普通の事なので気にもしていなかった。
「おぉ、マジかよー。ほら、上野さんもちょうど来たし交換しろって!」
大塚に背中を叩かれながら顔を上げると、そこには上野がいた。
「あら誠くん、私に何か用?」
上野は話を聞いてたのか聞いてなかったのか分からないが、無駄に可愛い顔で、俺の顔を覗くようにして聞いてくる。
そういう仕草が、モテない男子を泣かせるんだよ。ちくしょう!
「いや、何でもないって」
俺は恥ずかしさから顔を逸らしながらボソッと言った。
そんな俺に大塚は小声で、「ほら、言っちゃえよ?」と煽ってくる。
お前イケメン崩れるくらい殴るぞ?
「何を話してるの?さっきから変よ?それに顔を逸らすのはやましい事があるからじゃない?」
上野は少し不機嫌そうに眉をひそめて言った。
だが、俺は黙っていることしか出来ない。
やましい事はないが、さすがにお前の顔が可愛いから逸らしただけだ!なんて言えない。
「これ以上隠すなら、あなたがヲタクのことバラスしかなくなるけど、大丈夫そう?」
上野はニヤーっといつもの得意げな表情プラス悪魔のような表情を混ぜ合わせたみたいな顔で脅しにかかる。
朝から最悪だ。
「はぁ、分かったよ……言えばいいんだろ?」
俺は諦めることにした。この状況はもう連絡先をくれって言うしかない。
この先、部活で使うかもしれないし、連絡先を知ってても損はしないことは確かなのだ。
それに俺の長年両親と妹としか入っていなかったSNSに、クラスメイトの名前が刻まれる事は嬉しいことだしな。
だけど……だけど……ハードル高ぇ
俺は深呼吸をした後、ポケットからスマホを取り出した。
そして、なるべく笑顔を作りながら全てをぶちまけた。
「あー、えっと、なつーか、下心とかそんなのは全然ないんだけど、部活の連絡用っていうか、スマホって文明の力だからな。使わない手はないっていうかなんというか……大変言い難いんだが、俺と連絡先をこ、交換してくれないか?」
言っちまった……あー、断られたら死ぬやつだな。ってなんで振られたみたいになってんだよ
「いいわよ?はい、私のQRコード」
上野はスマホを取り出すと、あっさり俺にスマホを渡した。
「え、あ、いいのか?」
俺は恐る恐るスマホを受け取り、連絡先を追加する。
俺のスマホの画面には「凛」の名前が表示された。
「いいも何も、そのうち交換しようと思ってたとこよ。何かあったら連絡しなさい!」
「え、あ、うん、はい……」
初めての家族以外の連絡先……喜びの感情だけでなく、何かが込み上げてくる。あれれ~感動で目から汗が……
なんて、目を擦っていると、俺のスマホが鳴った。
落としそうになりながら、届いた通知を見るとスマホの画面には凛からのメッセージと表示されている。
内容はこうだ
「おはよう、誠くん。女子との初めてのDMはどうかしら?気軽に連絡してね」
どうもこうもない。ただ感動ばかりだ。
現実かどうか確認するためにほっぺたを抓ってみたが、普通に痛い。
夢じゃないのか
「良かったなぁ、秋葉?」
隣で見ていた大塚は肩を組むようにして笑いかけてくる。
うぜぇけど、お前のおかげだ
「ほら、お前もスマホ出せよ。ついでに交換してやる」
俺が言うと、
「やけに偉そうだなぁ」なんて言いながら、大塚はスマホを取り出しQRコードを表示してから、俺のスマホで読み取る。
スマホの画面には「大塚春樹」という表示が追加された。
これでクラスメイト2人分の連絡先を所持したことになる。
「俺のスマホに家族以外の連絡先があるだと……!?」
「あら?その反応、まるでラノベ主人公ね」
上野は大勢のクラスメイトがいる教室でとんでもない発言をする。
「だ、誰がラノベ主人公だよ!それに、こんなとこでやめろ?ヲタクだと思われる。」
俺が抗議すると、上野は何やらスマホを操作する。
すぐに俺のスマホが鳴り、確認すると、そこには「ごめんなさいねwww」と書かれていた。
悪いと思ってないだろ……
そんなこんな話していると、担任の日暮里先生が教室に入ってきた。
周りのクラスメイトはそれを確認すると、静まりつつ各自席へと座る。
俺も同様に席に座り、担任の話を片耳で聞き流しながら、外の景色をぼーっと眺めた。
なんというか、終わってしまったと思っていた計画が今になってやっと動き出したというか、やっと脱ヲタっぽいことができた気がする……。
やれやれ、バラ色の青春も夢じゃないかもしれない
そんな淡い期待と妄想と共に今日の学校が始まった。
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