6/8
6話 ナビよりもムテキングな父上
完璧主義な父上は、ムテキングである。
こんなにインターネットが普及し、誰もがスマートフォンを持っている時代でも、
自分の感覚を大切にするのが父上だった。
カーナビは、もちろん備え付けてある。
父上の愛車は、ピカピカのお気に入りのあの車だ。
初めて行く場所には、目的地を設定する。
なのに、カーナビ通りには進まない。
そんなところが、ムテキングなのである。
道が混んでいると、気がつけばよく分からない細道に入っている。
「え、これどこ?」
そう聞くと、父上は一言だけ言った。
「混んでいたから、変えた」
そう、父上はアナログをこよなく愛す、昭和のムテキングだった。
私がスマホで調べた到着予定時刻を、
20分ほど遅れることも珍しくなかった。
でも、父上は昔からこうなのだ。
お気に入りの愛車を傷つけるリスクよりも、
我が道を行くことを優先する人だった。
父上には似ていないと思ったことが、何度もあった。
それでも、ムテキングな父の性格を引き継いでしまった私は、
やはり父上の娘なのかもしれない。
そう思う出来事だった。
父上はナビに従わない。
だが不思議と、道には迷わないのだ。
ナビだけが、父上についていけていなかった。




