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5話 マヨネーズの為に走る父上
数ヶ月に一度、父上は帰ってくる。
そして数日滞在して、単身赴任先へと帰っていく。
それでも父上のルーティーンは乱れない。
朝早く起きて、20キロ走る。
汗だくになって帰り、シャワーを浴びる。
子どもながらに、それが不思議だった。
どうやら長く続いた単身赴任生活の中で、
父上は無敵の調味料を発見したようだ。
そう、それこそが「ムテキなマヨネーズ」
気がつけば、父上は生粋のマヨラーになっていた。
マヨネーズは、燻製料理とも相性が良いのだろう。
マヨネーズという調味料を覚えてしまった父上は、
マヨネーズのために運動をする人間へと進化してしまったのだ。
冬になり、ルーティーンを崩すと、父上は太る。
依存性の高いマヨネーズに、私は初めて恐怖を覚えた。
私は薄味が好きだ。
外食をしても、テーブルの調味料はほとんど使わない。
だが父上は、マヨネーズの虜だった。
完璧な人間も、何かに依存する。
それを、私は父上から学んだ。
父上は長い単身赴任生活の中で、
無敵なマヨネーズという、最高で裏切らない相棒を見つけてしまったのだ。




