表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壱果の父上はムテキング  作者: 巳ノ星 壱果


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/6

4話 家中に広がる不思議な香り

 あの謎の国の自己流スープを飲んでから、どのくらい経っただろうか。


 父上は言った。

「今、ハマっている料理があるんだ」


 脳裏に、はてなが浮かんだ。


 父上は次はどんな料理を作るのだろうか。

 一体どのくらい待つのだろうか。


 そう思いながら、またテーブルをきれいに整え、ゲームをしながらリビングでおとなしく待った。


「……なんの匂い?」


 幼い私は、心の中でそう思った。


 なんとも言えない匂いが、家中を包む。

 香ばしい匂いだった。


 そう、父上は謎の国のスープの次に、燻製料理にハマっていたようだった。


 大人になればいい匂いだと思うのかもしれない。

 でも、子どもの嗅覚には、少し強すぎる匂いだった。


「何か焦がしている?」

 心の中でそう思ったけど、口には出さなかった。


 一時間ほど経った頃だろうか。


「いっちゃん、できたよ」


 燻製の卵、燻製の手羽元、燻製のベーコン。

 すべてが燻製だった。


 美味しかった。

 あの謎のスープよりも、美味しかった。


 その頃の私は、

 匂いが強い食べ物は、美味しいこともあるのだと覚えた。


 父上は、ビールの後にウィスキーを飲み、赤ワインを飲むような無敵な男だった。

 そして巳ノ星家は、私以外は酔わない飲んべえなのだ。


 きっと、酒のつまみを作るうちに、いろいろな料理を試すようになったのだろう。


 でも、全部が燻製料理だとは想像もしなかった。


 そうだ。父上は完璧主義な男だ。

 だからこそ、ときどきバランスというものを忘れてしまう。


 真冬でも換気をするのが好きな父上でも、

 燻製を作っているときだけは、換気扇だけに頼ることがあった。


 父上の集中力は凄まじい。


 家中が燻製の匂いに包まれる、巳ノ星家の夜。

 どこの家庭よりも、香ばしかった。


 燻製料理まで作ってしまう父上は、やはり無敵だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ