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11話清潔で、とても明るいところ


月を見上げると元の世界のことを思い出した。夢も生きる気力もなくなったとき月だけが秋の味方だった。


意味もなく夜の街を徘徊し、気が付くと全く知らない場所にいて携帯の充電も切れていて帰る術をうしなった、そんな秋でさえも月は照らした。


太陽のような誰でも照らす光じゃない。


きっと見上げた人だけを照らすささやかな明かり。


都会では人がいないところを探す方が難しかった。だからただただ歩いた。


いつしか足を動かしているのが自分なのかも曖昧になるくらい雑な逃避行。


真っ暗い部屋に隠れていても、月はカーテンの隙間から秋を照らした。


そうして何度も何度も、二人で逃げた。月が欠けて、満ちて、何度も繰り返した。


歩くリズムで頭がぐるぐる回りそれが心地よく感じるまで。


何もない人にはときに清潔でとても明るいところが必要なのだ。


・・・・・

・・・・

・・・

・・

・


気が付くと山から明かりが漏れていた。


朝がきた。


「作戦を確認するぞ。まずとにかく数が多いゴブリンとホブゴブリン。そしてゴブリンウォリアー20体、シャーマン3体、そしておそらくゴブリンキングがいる」


「ゴブリンシャーマンのバフは危険です。使われればホブですら厄介になります」


パッチの言うとおりだ。あの時の秋は自分の火力不足を痛感した。


「確かにシャーマンを第一優先にした方がいい、正確な位置はアキに任せるしかなさそうね。

ジンとアタシとアキでシャーマンを叩く、でいい?」


「ああ、それでいい。アキは空間魔法を酷使してるがいけそうか?」


「いけます」


「連携は各々のパーティに任せる。撤退の判断もだ」


ジンがそう言うと皆静かに頷いた。


「....いくぞ!」


静かに開戦した。




「どうだ?様子は」


「狙撃は無理ですね。シャーマンはトーテムの立ってるテントの中にいるようです。3体とも拠点の中腹あたりですね。キングは一番奥で動く気配はありません」


「ワタシとジン、アキは水魔法で柵を越えて直接シャーマンのところに向かおう。他は正面から数を減らして」


アメリの指示で冒険者たちは動き出した。黄昏の鳥(トワイライトバード)と目が合って頷いた。

やる気は十分なようだ。


「アキ、乗って」


そう言うとアメリとジンは大きな木の板乗っていた。どうやら水魔法でこの木の板を下から押し上げて

柵を越えるらしい


「いつでも大丈夫です」


その秋の一言で、木の板の下から水が噴き出した。


「ちょっ!!」


思っていた以上に怖い....。狼狽えてる秋の腰にアメリが手を添えた。


「力んだら振り落とされるよ!!」


「さすがに危険すぎません???」


「はっはぁ!!久々だなぁこれ!慣れるとたのしいんだぜこれっ!」


ジンは高笑いしている。アメリも楽しんでいる。


「いやいや無理ですってぇぇ!!」


そうしてゴブリンの群れに落ちて、サーフィンのように水魔法を推進力にしてゴブリン達を薙ぎ払った


「水をもっと張れ!雷で一掃する」


ジンの指示でアメリは水を流し込んだ。続けてジンが水に剣を刺し電撃を放った。

ゴブリンたちの悲鳴が響き渡った。


集落の入り口でベリザの魔法の音がする。あちらでも戦闘が始まったらしい。


ジンは剣を振るい、アメリとアキは背中合わせで矢を放った。


アキはゴブリンシャーマンのテントを一つ見つけ、空間知覚で位置を把握し、テントごしに矢を3発

撃ち込んだ。


「シャーマン一体やりました!」


「あっちは俺がやる!残りを二人で頼むぞ」


「「了解!」」


そう言って秋とアメリは残りのテントへ向かった。


ジンの前にゴブリンウォリアーとゴブリン達が立ちはだかった。


「ま、そう簡単に行かせてはくれねえよ、なあ!!」


そう言ってゴブリンに切り込んだ。ゴブリンウォリアーもジンに剣を振りおろした。


力は互角だが、剣術で勝るジンは打ち合いの末、ゴブリンウォリアーに剣を突き刺し、電撃を放った。


「これがあと19体、か。さすがにきついなぁ」



アメリと秋の前には3体のゴブリンウォリアーが立ちはだかっていた。


「アキ、槍をだして」


アメリに言われるまま槍を渡した。


アメリは水を鞭のようにゴブリンウォリアーの顔に叩きつけ、視界が奪われてるうちに思い切り足払いで転ばせ、そのまま首に槍を振り下ろした。


アキは空間知覚でウォリアー2体の攻撃を躱すことに専念した。


短剣を手に取り、ウォリアーの腹に突き刺すが止まる気配はなかった。ブリンクで距離をとり、弓で矢を放つ。それでもやはりあまり効いてはなかった。


左太もも矢を放ち、ブリンクでそのままスライディングで右足をすれ違いざまに切りつけた。


体制を崩したゴブリンウォリアーの後ろから首に短剣を突き刺した。


その瞬間、もう一体が秋に剣を振り下ろそうとしたところを後ろからアメリが槍で仕留めた。


「助かりました」


「貸し1ね」


そういってアメリが笑った。


ゴブリンウォリアーの剣を拾い上げ、最後のシャーマンへ向かった。

アメリがテントに入り、シャーマンを仕留めた。


そのあとは弓持ちのゴブリンを重点的に仕留めていった。



その頃黄昏の鳥(トワイライトバード)は


「イスカ、前に出すぎだ」


そういってパッチはクロスボウを撃ち、イスカを援護した。


「跳躍ぅ!おりゃあ!」


「いちいちスキル名口に出さないでよ...」


そう言いながらセッカはゴブリンを蹴り飛ばしている。


「ウォリアーだ、ベリザいけるか?」


「や、やってやります!」


パッチの指示でベリザはファイアアローを放った。ベリザの魔法はゴブリンウォリアーを一撃で仕留めた。


回数に限りがあるとはいえ、ベリザの火力はやはり飛びぬけている。


「イスカ、あぶない!」


そういうパッチの視線の先に弓を構えたゴブリンがイスカに狙いを定めていた。


イスカがそのゴブリンを視認した時、ゴブリンの頭を矢が貫いた。


ちょうど弓持ちを重点的に狩っていたアキの矢だった。


「負けてらんねぇな!パッチ!あそこのゴブリンウォリアーやるぞ!」


「ったく、俺がうごきをとめる」


そう言ってパッチは音もなく近づき、ゴブリンウォリアーに音魔法で平衡感覚を狂わせそのままバックスタブをして離れた。


「もらったぁぁあ」


イスカは跳躍し、ゴブリンウォリアーに剣を振り下ろした。


「にしても、数が多いわね...ベリザ大丈夫?」


「うん、なんとか....」


セッカの言うとおり、冒険者の奮闘もむなしくなるほど、ゴブリンの勢いは衰えることがなかった。


「ァァァァアアアァァァアアア!!」


集落の奥からビリビリするほど咆哮が聞こえた


ゴブリンキングの咆哮


そして地響きが遠くから近づいてきていた。


ゴブリンは集落にいるのが全部ではなかった。どこからともなく、咆哮を聞きつけ、加勢しにきたのだ。



「やべぇなこりゃあ....」


ジンでさえ、疲労がではじめていた。


退却するにも加勢に来たゴブリンが退路を塞いでいた。


冒険者全体に絶望が広がっていた―――――


下書きが尽きたので投稿頻度が落ちるかもしれません


いつも見ていただいてありがとうございます



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