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キャスパー
右隣の奴の話もしておこう。
キャスパー。
黒ずくめのグラサン男。山羊の悪魔に似ている。
口から出る言葉の半分はホラで、残り半分は皮肉だ。このナルシストは女と銃とスタイルを愛してる。つまりは自分を飾り立てる虚飾の全てを。真実に怯えているせいだ。奴にとって真実とは、心底惚れた女みたいなもんだ。それもとびきりタチの悪い女。心をさらけ出せば待ってましたとばかりにズタズタにされる。そんな女は遠ざけるに限る。眼中にありませんよ、なんて顔をして。けれどやっぱり惚れてるもんで、彼女の一挙手一投足をチラチラ横目で盗み見たりして。そのアンビバレンツが奴をイラつかせる。暴発させる。奴が時々、破壊願望の権化に見えるのはそういう理由だ。
キャスパーの体温もやっぱり高い。
(了)




