幸せ
完結します。
ガイは、村に引っ越してきて、私の家の隣に小さな薬屋を開いた。
街の薬屋は閉店してきた。
お米は、他の行商人に頼んで、ガイの伝手から買って届けてもらうことになった。
ちゃんと街で挙式して、結婚してから3年。
目下の悩みは、子育てと仕事の両立だ。
2歳と1歳の子供を抱えては、食堂経営がなかなか辛い。
もうレイは13才。
料理も作れるようになって、もはや主戦力だ。
ミルも11才。
ホールを仕切ってくれている。
少しずつ、他の街などから移り住んで来る人もいたりして、新しく店員を更に1人雇った。
村の住人は確実に増えて来ている。
その反面。
元からこの村にいる村長たちは、弱って来ている。
モルもハルサも、以前のような元気が無くなって。
今は、主に私の子供の面倒を見てくれている。
おばあちゃん保育園。
子供のための美味しいご飯も、2人が用意してくれてる。
そのおかげで、私が食堂で働く時間を捻出出来ているから、心から感謝してもしきれない。
ガイは、子育ても仕事も、家事も全力だ。
子供が余程嬉しいらしく、子供を抱き締めたら離さなくなる。
子供たちは、私によく似て、黒髪の普通の顔立ち。
ガイは、子供達をまとめて小さなニーナ、と呼ぶこともある。
私は、ガイから愛されていることを毎日、実感している。
全力で、私を、そして子供たちを愛してくれている。
ガイは、本当によく話すようになったし、恐い顔が、歳と共に渋くいい感じになってきた気もする。
「ほら、親子丼上がったよー!」
ミルが手早くお客さんに皿を届けていく。
「サラダとグラタンセット1つ!」
「炊き込みご飯と豚汁、果実水2つ!」
注文が次々と入って、私とレイは大忙しだ。
「レイ!こっちに油!」
「はいっほら、取って!」
油が空中を飛ぶ。
こんな連携プレーも慣れたものだ。
「ママー」
窓の外から、ガイが抱っこした長女が手を振る。
笑顔で手を振り返しながらも、鍋を振る手は止めない。
「お会計、小銀貨1枚でーす、ありがとうございましたー」
最後のお客さんが帰った。
ホッと一息ついて、お茶を飲む。
「ママ!」
子供を抱っこして、ギュッと抱きしめる。
ミルが、小さい子を抱っこしたそうにしてる。
「おねーちゃんに遊んでもらいなー」
キャッキャと遊ぶ我が子とミル。
それを見守るレイ。
次女は、おばあちゃん保育園でお昼寝してる。
ガイは、ハラハラしながら、ミルごと見守っている。
なんだー、この幸せな空気。
あれだ、私、今、生きてるって感じがする。
生きてるーって実感してる。
人の役に立ってる。
喜ばれてる。
「はーあ」
思わずため息が出る。
結局、私は異世界へ突然来たけれど。
その結果、私が欲しかったものは、今、ここにある。
山の神様なんて知らないけど、神様がいたとしたら。
神様、ありがとうとしか言えない。
それと、ガイ、愛してる。
いつも、悩むのです。
これで終わっていいのかなって。
それでも、終わるんですけど。
ニーナは、幸せな人生を送ります。
ガイは、ニーナ一筋です。
これからもね。




