挨拶
どんどんイライラキャラ担ってます。
ニーナの村へ共に旅立つことになった。
俺とニーナの間にあった僅かなすれ違いは、今となっては、俺たちの眩しい出会いのきっかけだ。
俺の手を握って涙する彼女の気持ちに、俺は男として応えることにした。
初めての旅で不安に揺れ動く女性の心を理解出来ていなかった。
初対面で女性に優しくすることの意味を俺は分かっていなかったのだ。
なにせ、俺は薬屋としての知識や、材料を見極めることばかりにかまけて、28年間、一度も女性と付き合ったことがない。
恐らく、俺と付き合いたかった女性はいただろう。
この優しさと、薬屋としての力量、そしてこのワイルドな見た目だ。
女性が惚れないわけが無い。
しかし、俺は振り向かなかった。
けれど、そんな俺にも遂に潮時が来た。
身を固める時が。
家庭を持つようにと父親からも言われることは無かったし、両親が王都に行ってからというもの、ほとんど手紙のやり取りも無いが。
きっと俺の両親も喜ぶことだろう。
薬屋をしている両親は、俺のことを自慢の息子として、それはかわいがっていたから。
かわいい息子の嫁は、さぞかしかわいいだろう。
これから、子供が産まれたら、王都に呼び寄せられるかもしれない。
しかし、俺には、あの街を守る使命があるから、、、
「ちょっと!!!」
ニーナが、俺の手を握ってくる。
ああ、俺は考え事をしていたか。
嫁のことも、ちゃんと見なければな。
この黒い髪の子供が産まれるのだろうか。
ご両親も、黒髪なのか?
あぁ、ご両親に上手く挨拶出来るだろうか。
流石の俺も緊張する。
ニーナが、手綱を俺の代わりに握って馬を誘導している。
なかなかに、頼れる嫁になりそうだ。
うむ、嫁って、いい響きだな。
それにしても、空が青くて澄み切っている。
海も砂浜もきれいだ。
こんなに美しいところに住んでいるんだな、ニーナは。
ガイ、いいわー。




