カツアゲ
カツアゲって、おいしそうな言葉ですよね。
生まれて初めて、ほんとのカツアゲをされた。
ムキムキアニキに言われるがまま、ほとんどの持ち金を渡した。
もう、お土産を買うお金も、美味しい物を買うお金も、宿に泊まるお金も無い。
金貨2枚を取られた。
これは、食堂が始まる前の村の1年間の収入とほぼ同じ額である。
それが、目の前のムキムキアニキに吸い込まれた。
私の顔が余程、青かったのか
「なんだお前、また具合悪くなったのか。さっきまで、顔色良かったのに」
ムキムキバカが、声をかけてくるけど、遠いところにいるように、よく聞こえない。
私は、もう村に帰ろう。
誰か、村に向かう人を探さなきゃ。
行商人のおじさん、まだ出発してないかも。
そうだ、おじさんを探そう。
涙をポロポロと流しながら、私はふらふらと立ち上がった。
「おいっ!お前!」
ムキムキバカの手を振り払う。
「いい加減にしてよ!もう私に関わらないで!お金あげたんだから満足でしょ?!私はもう村に帰るの!」
そう叫ぶと急いで宿屋に走り込んだ。
女将さんに事情を話して、行商人のおじさんを探してもらう。
「残念だったね、もう出発したみたいだよ」
あろうことか、おじさんは、既に街を出ていた。
「そんな、、、」
私は床に突っ伏した。
こんなのってないよ!ただ、休暇に来ただけなのに!ひどいよ!ひどいよ!うあーーーんっ!
わんわんと泣き出した私を見て、女将さんがオロオロしだした。
泊まり客も、集まってくる。
それでも、泣くのを止められなかった。
悲しくて悔しくて、自分が情けなくて。
「何してんだ?」
そこへ、あいつが来た。
諸悪の根源。
「あーっ!カツアゲしたのこいつ!私のお金、みんなこいつに取られたの!」
思わず指さして叫んだ。
「あ”?カツアゲ?取られた?」
また顔面凶器。
もう、恐いのと悔しいのと、やるせないのとで、更に泣き続けた。
ようやく泣き止んだ時には。
顔面凶器野郎が、土下座してた。
揚げたての、カツアゲ、、、




