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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第24話 喜望岬の戦い

 それから数日が経過した10月15日。

 相変わらずレイズからは公安に尾行されていることを言われる。

 しかし、そういった状況においても、レイズとトランスは日本のみならず世界中を駆け巡っていた。

 国連本部の次はシドニー、イスタンブール、カサブランカと順番に紅の旗艦を披露していった。

 もちろん、その全てにおいて訪問したことを示す動画を撮影し、それをツイッチューブに投稿している。

 動画の様子はおおむね良好な反応を貰っている。

 そんなある日のこと。


「あぁ、今日も授業が終わったぁ」

「学校があると少し面倒だよね」


 いつものように、黒島と後藤は学校からの帰路についていた。


「明日は補習があるし、一緒に帰れないかもしれないね」

「ん、そうだな」


 そんな感じで話している間も、後ろからは公安の人間らしき人物が尾行されていることが分からないように追跡していた。


「ねぇ、黒島君……」


 後藤がズイッと黒島の方に寄る。

 急な出来事だったため、黒島は思わずドキッとしてしまう。

 そのまま後藤は小声で話をする。


「本当に後ろから公安の人ついてきてるの?」

「あ、あぁ。レイズが言うにはな」

「ふーん。なんか実感が湧かないなぁ」

「そりゃあな。一般人ならありえない状況だしなぁ」


 そんなことを話していると、黒島のスマホが鳴る。

 相手が誰だかなんとなく分かったような気がする黒島は、素直にスマホを耳に持ってくる。


「はい」

「祐樹さん大変です!」

「うるさっ、そんな大声出さなくても聞こえるのに」

「それどころじゃないです!また白の艦艇が地表に降りてきました!」

「今度はどこです?」

「ケープタウンです!」


 アフリカ大陸有数の都市、ケープタウン。

 その上空を埋めつくすように、白の艦艇がひしめき合っていた。

 パナマ市の時と同様に、きれいに整列して降りてきた白の艦艇群は、今度は全ての艦が地上に向けて、ビーム砲を一斉射する。

 これによって、街の中心部は完全に焼き払われてしまう。


「ケープタウン、甚大な被害を被ってます!」

「とにかく行きましょう」

「でも、公安の人が見てます!いったん曲がり角まで向かってください!」


 黒島と後藤は尾行に気づかれない程度に早歩きで移動する。

 そして曲がり角で曲がった。

 それを追いかける公安の刑事。

 曲がり角を曲がったのを確認し、その先を追いかけようとすると、そこには誰もいなかった。


「……どういうことだ?」


 思わず一人がつぶやいた。

 しかし、それを聞いているのは、丁寧に停められた黒島の自転車だけであった。

 一方黒島たちは、紅の旗艦に乗り込んでケープタウンへと向かう。


「ワープ!」


 ワープした先では、前回よりも増えた白の艦艇群が一斉にケープタウンとその周辺を襲っていた。


「前回よりも数が多い!」

「今回は1024隻のようですね!」

「とにかくやるしかない!」


 そういって、黒島は紅の旗艦を白の艦艇群の中に移動させる。

 その紅の旗艦に気が付いた白の艦艇群は市街地への攻撃を止め、一斉に紅の旗艦の方へ飛んでくる。

 黒島は艦首のビーム砲を一斉射し、何隻かを墜とす。

 そのまま変則的な移動をしながら、白の艦艇群を墜としていく。


「ぐぅぅ……」


 イナーシャルキャンセラーが働いているものの、体には慣性が働き、大きな負担となっている。

 それは後藤も同じだ。

 それでもなお、黒島は攻撃の手を緩めることはしない。

 しかし今回は数が多い。

 たった1隻では分が悪すぎる。

 さらに、白の艦艇群はその小柄な船体故の機動性を生かして、あっという間に取り囲まれてしまう。


「くそっ!」


 ここで黒島はミサイルを一斉発射する。

 紅の旗艦を中心に、100を超えるミサイルが飛んでいく。

 無茶苦茶に撃っても、密集した白の艦艇群には効果的だ。

 どんどん墜ちていく。

 しかしまだ全体の4割程度を墜としたに過ぎない。


「これは仕方ないですね……!」

「何か秘策でもあるんですか?」

「私の真価、少しだけお見せしましょう」


 そういうと、後藤が慌てたように言う。


「機関出力135%!暴走状態!?」

「いえ、私の機関の出力は意図的に絞っているんです。それを少し解放したに過ぎません」


 すると、紅の旗艦の動きや攻撃力が段違いに跳ね上がったのを黒島は感じる。


「これならいけるぞ……!」


 そういって、全ての主砲を全方位に展開する。

 そしてそのまま射撃した。

 主砲の射撃に巻き込まれるように、白の艦艇は爆発していく。

 素早い移動。圧倒的な火力。それによって、白の艦艇群は次々と墜ちる。

 もはやあと数える程度しかいない程になった。


「さぁ、残りも墜としてしまいましょう」


 しかし、この数隻を狙うのが大変である。

 密集すれば狙われているのを分かっているため、わざと散開しているのである。

 しかも、うまく狙われないように、常に不規則な移動の仕方をしているのだ。


「とにかくやりづらい!」

「主砲で狙うにしても無茶な所がありますし……、どうしたものですかね」

「そこは任せてください!」


 唐突に、後藤が名乗り出た。


「後藤、一体何を?」

「私がミサイルを精密誘導する」

「そんなことできるのか?」

「性能的にはできなくはないけど、ちょっと無茶よ」

「大丈夫、私を信じて」

「……分かった」


 そういって、黒島はミサイルを1発発射する。

 そのまま管制を後藤に渡す。

 後藤はそのまま、直観でミサイルの誘導を行う。

 すると不思議なことに、ミサイルはまるで吸い込まれるように白の艦艇に飛んで行った。

 そしてミサイルが命中し、撃墜となる。


「マジか……」

「すごい……」

「さぁ、次も墜としちゃうよ」


 黒島は再びミサイルを発射し、後藤に管制を渡す。

 そして後藤が誘導して撃墜という作業を残りの艦艇分行った。

 こうして、ケープタウン上空にいた1000隻を超える白の艦艇は、またしても紅の旗艦の前に敗北したのだった。

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