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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第23話 公安

 東京都千代田区霞ヶ関警視庁、日の光が差さない地下3.5階部分に、それはあった。

 警視庁公安部公安第五課と呼ばれる部署である。

 公安の中でもその実態を知っている人物はごくわずかであり、ある種お荷物部署として活動していると思われていた。

 しかしその実態は、日本における高度な情報管理部署であり、しかも超法規的な捜査も可能とされる部署である。

 断定がされていないのは、この部署の本当の姿を、勤務している第五課の人間もよく知らないからである。

 そんなある日、第五課にある情報が舞い込んでくる。


「何?インターポールから調査依頼?」

「あぁ、なんでも、知的生命体に反乱する者が現れて、そいつが人類側についているとされているらしい」

「どれどれ……。ツイッチューブに動画を投稿しているだと?」

「あぁ。使用されている言語は日本語。警視庁(うち)でやらないわけには行かないだろう?」

「しかしこの程度なら、普通の刑事に任せてもいいんじゃないか?」

「なんでも国連軍が噛んでいるとかいないとか。そんなわけだからインターポールは早急にこのアカウントについて知りたいんだろうよ。政府やお偉いさんもそれを分かって俺たちに仕事をよこしたんだろ」

「なるほどな。法律をある程度無視できる俺たちなら早くできると踏んだわけか」

「しかもアカウントの人物の特定までで十分らしいからな。早いところ仕事を終わらせよう」

「そうだな」


 そういって刑事たちは仕事に入る。

 方法は至って単純だ。

 まずはツイッチューブに投稿された動画からIPアドレスを取得する。

 その後、取得したIPアドレスを情報データベースに照合し、個人情報の取得を行う。

 その結果、茨城県に絞られた。


「茨城県か。ギリギリ関東だな」

「あぁ。だがまだ県までだ。もっと絞り込まないと」


 さらに調査を進めると、水戸市まで絞り込まれていった。

 ここまでくれば、あとはIPアドレスを元に使用されている基地局やルーターを探し出すのみである。

 刑事たちは、そのままアカウントの足取りを順々に捜査していく。

 そして、大まかな生活圏が判明した。


「あとは現地に赴いて、この人物を調査するだけだな」

「個人情報は確保済みだよな?」

「もちろん。これから携帯端末を調べ上げるさ」


 これが、レイズが公安に調べられていると察知した数日前のことであった。

 時は戻り、黒島はいつも通りの日常を過ごしている。

 しかし、レイズに言われたことが頭から離れない。


「公安、ねぇ……」


 公安が自分のことに目をつけていることが、いまだ現実のように思えないのだ。

 そんな学校からの帰り道、黒島のスマホがなる。

 黒島が画面を見てみると、レイズがメモ帳で筆談をしていた。


『電話しているフリをしてください』


 黒島は言われるがまま、スマホを耳に近づける。

 すると、レイズが小声で話しかけてきた。


「今、後ろに公安らしき人が尾行してます」

「え?」

「後ろを見ないで!尾行されているのがバレてしまいます」

「でもなんで俺が尾行なんてされてるんですか?」

「そりゃもちろん、レッド・フリートのアカウントを調べたからでしょう」

「なるほど……」

「先日、国連やインターポールから世界各国に向けて、レッド・フリートに関する調査を依頼する通信があったことを傍受しました。それの影響カモしれません」

「それで、俺は具体的にはどうすればいいんですか?」

「そのまま日常を過ごしてください。今は気が熟すのを待つだけです」


 そういって、レイズは静かになる。

 黒島はなんだか分からないまま、帰路についた。

 その時、足が若干震えていることに気が付く。


(結構心理的なダメージを負ってるな……)


 こんなことを思う黒島であった。

 家に帰った黒島は、とにかく相談しようと考える。

 レイズとトランスを呼び出して、後藤にも連絡を取ろうとした。

 しかし、それをトランスが咎める。


「ここで電話をするのは不味いだろう」

「どうしてです?」

「この通話が盗聴されている可能性が否めないからだ」

「そんなことしますかね?」

「いや、するだろう。相手は権力者だ。どんな方法を使ってくるかわからない」

「ここは安全を期して、秘匿性の高い通信を用いることを推奨します」

「しかしどうするんです?そんな秘密の部屋みたいな場所もないでしょう」

「いや、ありますよ。私の艦を使えばいいんです」

「……マジっすか?」

「というわけで梓ちゃんにも連絡してください」

「はぁ……」


 黒島は後藤に、今後のことについて話し合いたいという連絡を取る。

 後藤からは問題ないとの連絡を受け、すぐに紅の旗艦へと移動した。


「……ということで、公安に目をつけられています」


 黒島はこれまでの経緯を話す。


「そんな大変なことが……」

「それで今回はどうするかってのを話そうと思ってて」

「今回、公安に目をつけられているので、下手なことはできません。そのため、しばらくはおとなしくしておこうかと思います」

「それが一番いい。人類側のことはまったく分からんが、とにかく安静にしているべきだ」

「もし、その間に白の旗艦が攻撃を加えてきたらどうするんですか?」

「その時は……その時考えましょう」

「んな適当な……」


 結局の所、公安側から動きがあるまで放置ということになった。

 その日はそのまま家に戻る。


「あ……」

「どうかしたんですか?レイズさん」

「どうもスマホに公安謹製のウイルスが仕込まれていたようです」

「マジすか」

「こっちの情報を抜き取るタイプのやつですね。偽情報でも流しておきましょうか」

「なんともまぁ、ご丁寧な仕事をしますね」

「やられっぱなしは私の性分ではないので」


 そういって黒島は布団にもぐりこんだ。

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