ひとひらの青春流星群
この話はTwitterフリーワンライ企画@freedom_1write
「#深夜の真剣文字書き60分一本勝負」で作りました。
お題「星を観るには速すぎて」やルールは同企画より頂きました。時間制限の都合上誤字脱字もあるかと思いますがご容赦ください。
「ねえ!あの鉄塔のところにもう星が出てるよ!あわてんぼうだね!」とルナは僕の肩を大きく揺さぶりながら騒ぐ。全く、二人乗りなんて滅多にしないんだから揺らさないでほしいなあ。
「ねえ!?聞いてるの!」
「わかった!!わかったから耳引っ張らないで!前見えないしいたたたたたたたた!!!!」
「聞こえるんならいいけど。」と言ってルナはパッと耳を離す。まだジンジン痛む耳たぶを労わってやりたいがあいにく運転中で手が離せない。
「こんなに近いんだから聞こえるよ。」そういうとルナは頭を預けてきた。うっすらシャンプーの香りがする。やれやれ、顔を見られなくてよかった。顔がぽかぽか暖かくなる。
住宅街を見下ろして丘をさーっと自転車で駆けていく。空はもう黒い絵の具をしっかり塗り込んだようにまんべんなく真っ暗だ。全くルナも自分の自転車に乗ってこれたらこんなドキドキせずに済んだのに。ルナの自転車は砂利道を「4WD!!」とかはしゃぎながら爆走していたら、案の定パンクしたらしく修理に出しているらしい。そもそも今日天体観測するって何度も言ってたんだから準備しといて欲しかった。
ルナと僕は天文部だ。ルナはほぼ幽霊部員で入部届を出しに来て以来部室に顔を出していない。とはいえ僕も色んな部活や委員会を掛け持ちしてるから部室に行く回数は少ない。唯一、部長の長安先輩、通称ステラ先輩だけは毎日、部室で自分のいる場所の真上だけ蛍光灯を点けて星座図鑑や星座に関する神話の本を読んでいる。そんなステラ先輩がいきなり、委員会での仕事を終え部室に入った僕に
「来週はいて座流星群のピークらしいからみんなで見ようよ。」と微笑みながら言った。
ステラは近所に住んでいて、携帯の連絡先も知っていたのでとりあえずその連絡だけは入れた。まあ幽霊部員だからどうせ来ないだろうと思ったら、弾んだ声で
「ホント!?行くよ!何持ってけばいい!?」と言ってきて、高校の裏手にある小さな丘の広場の場所と集合時間を伝えた。学校の廊下ですれ違うと「観測の日晴れるといいね!知り合いの手芸部にてるてる坊主作ってもらったからもらって!」とベージュのフェルトで作られた小さなてるてる坊主をもらった。手芸部もよくこれだけのために手伝ってくれたね。と聞くと
「暇だからいいんじゃない?」と言う。もちょっと敬ってあげなよ。
「あとこれ、ステラ先輩の分。渡しといて!」とぽいっとてるてる坊主が飛んでくる。
天体観測当日、フェルトてるてる坊主のおかげか快晴とは言わないまでも、夏を感じさせるほど暑い一日となった。半袖のワイシャツがうっすら透けている程暑く、水筒に入れた麦茶はすぐに飲み干してしまった。放課後、念のためにもう一度ルナに連絡を取ると、「ちゃんと覚えてるよ!手にマジックではっきり書いたもんね!」と言う。油性で書いてしまえい。
「あーそんでね、」
「どうしたの?」
「あのさー」
「ん?」
「自転車パンクしてるから乗せてってくれない?」
「え?」
それで今に至る。4WDごっこでパンクさせたと言ってたら走らせていたが、こしゃくなことに二人乗りの運転に慣れ始めていた時に言ってきて、信号機もない田舎道なので止める理由もなくしぶしぶと運んでいる。
「その前かごにあるでかい紙袋は何?」
「部室の天体望遠鏡持ってきた。流石にステラ先輩に運ばせるのはね…」
「へー優しいんだね。小学校の時から変わってないや。」
上手い返事が言えずうつむいてペダルをこぐ。火照った体にあたる風が気持ちいい。
広場にはもうステラ先輩がいた。僕の後ろにルナが乗っていることに気づくと、
「あれっ邪魔者でしたか?」とにやりと笑って聞いてくる。
「ちがいますよ。」
「そうですか。それでは準備の方を進めていきましょうか。」と言ってステラ先輩は前かごに入っている天体望遠鏡を取り出し、組み立て始めた。手伝いたいところではあるが、なにしろ操作方法がわからないので手伝いようがない。ルナが大の字に寝転んで星を見上げていたので、それに倣いすこし間を空けて寝転ぶ」




