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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第8章 創作ランチと報告会

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第9話・赤く残るは手の形~寒空の下でも楽しみを~

第8章 創作ランチと報告会



      第9話・赤く残るは手の形~寒空の下でも楽しみを~



 これ以上、今は何も話せない、と判明した結果、殆どお茶には手を付けることなく一旦解散することになる。



 特大の頭痛と胃痛で青くなっているファンと、どういう訳か真っ青な顔でこわごわとインスに寄り添うステール。



 そんな二人の様子に内心首を傾げながらも、少しくらいは休んでおきたいインスはさっさと部屋に戻ることにした。



「……っ!? インス様……っ!!」



 部屋に戻って、扉を開けると、すぐさまアインが声を上げる。


 目に涙を浮かべ、クロードにしっかりと体を支えられたまま、パタパタとインスに駆け寄ろうとするかのような動きを見せた。


 実際には、ベッドに腰を下ろしたクロードの膝の上に抱きかかえられていて、一歩も動けてはいないのだが、アインがインスに近寄りたいのだということは分かる。



「? ……ただいま戻りました」



 そんなアインの慌てように少し戸惑いながら、インスは普段通りに微笑み、アインの隣に座った。



「どうしたのですか? そんなに慌てて……」


「っ!? インス様、腕……」



 そうして、いつも通りにクロードの手からアインを引き取ろうと手を伸ばす。



「……? 腕……?? ……っ!?」



 アインの言葉を繰り返しながら抱き上げようとして……左腕に走った痛みに一瞬眉を顰めた。


 思い出す。



(っ! そうでした……フロークス爵子が力任せに掴んできたせいで……!!)



 時間が経って忘れていたが、ファンに掴まれた腕は暫くの間は痺れが酷かったのだ。


 恐らく、内出血くらいはしているだろう。


 流石に骨にまでは異常はないと思うが、確かにまだ、あまり力を入れられない。



「「「……………」」」



 アインを抱き上げようとして動きを止めたインスと、そんなインスの様子を困惑した顔で見つめるステール。


 そして、アインと待っている間中、アインが心配していたのでしっかりと覚えているクロードが沈黙する。



 そっと息を吐いたインスは、クロードにアインを預けたまま、一旦手を戻す。


 ローブの左袖のボタンを外して捲り上げた。



「「………………」」


「……っ……!?」


「……な……っ!?」



 インスとクロードは無言で、アインは大きく息を呑み、ステールは目を剥いて絶句する。



 そこには、痛々しいまでに少し腫れて熱を持った赤紫の手形が、はっきりと刻まれていた。


 前腕を一周し、指と指の腹とが深く食い込んだ部分は特に赤みが強い。



「…………加減という言葉を、ご存じないのですかね……??」



 うっそりと、口元にだけ笑みを這わせて呟くインスの目が座っている。



「……インス様……」


「……大丈夫ですよ……多少、力が入りにくいことは否定しませんが、普通にしている分には痛みもありません……」



 震える声で呼びかけたアインが、キュッとインスの服の端を掴む。


 ふわりと微笑みかけたインスは、手形の残る方の手でアインを軽くひと撫ですると立ち上がった。


 荷物の中から医療用品の入った入れ物を取り出す。



 手早く薬剤を調合し、湿布薬を仕上げると手形の残る部分に薄く貼り、その上から包帯を巻いてズレないようにする。


 流石に、片手で端の処理はできないので、そこはステールが手伝った。


 ベッドの端に腰を下ろして手当てをするインスの前で床に膝を着き、太い指で細くした包帯の端を結んでいく。



「……きつくないか……?」


「……大丈夫そうです……ありがとうございます……」



 強すぎず、けれども緩まない程度に結んだステールが確認すれば、少し指先を動かして様子を確かめたインスが答える。


 手当てを終えたところでホッと、空気が緩んだ。



「……そろそろ、レセプションの前に移動しておいた方がいいですかね……」



 それから、そっと息を吐いたインスは袖を直しながら外を見る。



 何だかんだ時間を取られて、昼食を終えてからそろそろ一時間が経過してしまう。


 曇り空のブルンは、雪こそ降っていないものの冷たい風が吹き、芯から冷えそうな気温。


 室内であればまだしも、外に出るとなるとしっかり防寒しておかなければいけないだろう。



「……正直、出かけたいとは思いませんが……」


「「「……………」」」



 ぽそりと呟くインスに、アインも、クロードも、ステールも無言。



 ちょっと困ったようにインスと、窓の外とを見比べるアインに対し、インスはふわりと微笑みかけた。



「……ですが、アイン君と一緒にお散歩ができるのは、私も嬉しいですよ……」


「っ!? ……はい……」



 その言葉に、アインもちょっと笑顔を見せる。



 そうして、しっかりと防寒具を身に着けて、四人は一階のレセプション前へと移動した。

第9話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、インスの腕に残った『手形』のお話でした(;^ω^)


本人はすっかり忘れていたようですが、時間が経ってから確認してみると、なかなか痛々しい状態に……。


心配するアインたちに見守られながら手当てを済ませ、気を取り直していよいよ散策の準備へ!


正直なところ外には出たくないインスですが、アインと一緒なら少しだけ楽しみにできるようで……?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「加減はしている(ファン基準)WW」「現実を見て下さい(インス基準)WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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