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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第8章 創作ランチと報告会

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第10話・ドアマンからの忠告と~想定される最悪の~

第8章 創作ランチと報告会



      第10話・ドアマンからの忠告と~想定される最悪の~



 一階に降りると、丁度ドアマンのセージが中に入ってきたところだった。



「……お出かけ、ですか……?」



 きっちり防寒具を着込んだインスたちを見かけたセージが、軽く目を見開いて声をかける。



「……ええ……同行者が、散策に行きたいと仰っていまして……」


「………ご令嬢ですか……?」



 お互いに軽く会釈して、応じたインスの答えにセージは顔を曇らせた。



「「「「……………?」」」」



 そんなセージの反応に首を傾げるインスたちを見て、ほんの少し躊躇ったセージは「あの……。」と囁く。



「……ご令嬢に会わせて欲しい、と何人かの街の若者が押しかけて来ていました……どうも、フィール家に無理難題を押し付けたお嬢様がいる、と誰かから聞いたようで……」


「……っ……!? それは、いつのお話ですか……?」



 インスにだけ聞こえるように、声を潜めたセージの言葉に、ほんの一瞬息を呑む。


 すぐにインスは、詳しい話を聞こうと先を促す。



「……三時間ほど前でしょうか……。少し、様子がおかしくて、普段ならそんなことをしない者たちなのですが、妙に興奮していました……」


「……三時間ほど前……興奮した様子、ですか……」


「はい……。普通に考えて、平民が貴族のご令嬢に会いたい、などと言っても会えるはずがないのは分かっています……それなのに、宿に押しかけて来て、騒ぎになりかけました……私が申しあげられる立場ではありませんが、外出はおやめになった方がよいかと……どうしてもお出かけになられるのでしたら、どうか充分にお気を付けください……」



 そこまで言って、セージはさらに声を潜めた。


 殆ど吐息のような、微かに空気を震わせるだけの声で、唇をあまり動かすことなく告げる。



「……普段は真面目に商店などで働いている若者で、皆、リリーのことを好ましく思っています……ただ、同じ商店街で働く者同士、シェイドさん……ナペル薬店の跡取り息子ともよく顔を合わせている筈です……なので、特に商店街の方へ向かわれるのでしたら、ご注意を……」


「……なるほど……わかりました……情報、ありがとうございます……」



 ほんの僅かに目を見開いたインスはすぐに普段通りに微笑むと丁寧に礼を告げる。


 セージもそれ以上は何も言わず、軽く一礼すると奥へと下がって行った。



「「「「………………」」」」



 それを見送って、しばらく無言で立ち尽くす四人の顔が微かに強張る。



「……セージは、何だって……?」



 殆どインスにしか聞こえない、小さな声で伝えてきたセージの言葉の全貌をステールが問う。



「……皇女殿下(お嬢様)に会わせろと、宿まで押しかけて来た者がいるそうです……」


「「「………っ………!?」」」



 そっと、囁くようにして答えたインスに、緊張が走った。



「……それは……」


「……変……」



 困惑気味にステールが言葉を濁し、クロードが首を傾げる。


 どう考えても、普通ではないことは全員が分かっていた。



「……ええ……。セージさんも仰っていましたが、貴族が宿泊する宿に押しかけて、貴族階級であろう令嬢に会いたい、などと言っても、そう簡単に通されるはずもありません……」



 小さく頷いたインスの言う通り、貴族が宿泊している以上、宿の警備は厳重。


 紹介状もなく、知り合いでもない相手をおいそれと通すはずがない。


 それなのに、押しかけて来て、騒ぎになりかけたのだという。



 騒ぎになり切らなかったのは、恐らくセージら、宿の従業員が対応しきったからだろう。


 そんな者たちが来ていたことすら殆どの利用客は気づいてもいないに違いない。



「……困りましたね……取りやめるように申し上げて、素直に受け入れて下さるか……」



 そっと溜め息を吐くインスが言う通り、危険を伝えたところで、ジャンヌがすんなり頷くとは思えない。


 むしろ、伝え方を誤れば、逆に解決に乗り出す、などと言い出し兼ねなかった。



「……とりあえず、私から、治安の悪化を理由にして取りやめを進言します……」


「……だな……不用意に情報を出さない方がいいだろう……」


「……ん……その方がいい……」



 少し考えて、顔を上げたインスが言えば、ステールもクロードも頷く。



「…………………」


「……大丈夫ですよ……危険に近づかずに済むように、お伝えするだけです……」



 心配そうに大人たちを見上げるアインがキョロキョロと顔を見回し、その様子に気づいたインスがふわりと微笑む。



 それでも散策に行く、と言い出すようなら、その時はその時だ。



(……街の若者、ですか……普通に考えれば、フロークス爵子お一人でも特に問題はないはずですが……)



 こっそりと思考を巡らせるインスは、しかし、セージから伝えられた情報を精査するまでもなく不安を覚える。



(……興奮した様子で、貴族向けの宿にまで押しかけ、知り合いでもない令嬢に会わせろ、と騒ぐ……普通に考えれば不敬罪ですね……警備隊に拘束されるだけで済めばまだマシ……最悪、無礼打ちです……)



 それなのに、その判断すらついていない、ということ……



(……薬店の跡取り息子とも知り合い、というのも気になりますね……しかも、リリーさんに好意を持っている男性が複数名……)



 確証まではないが、言うならば全員が恋のライバルでもあり、一人では近づけない憧れの女性に声をかけるために連れ立っていた、とも考えられる。



(……しかし、薬店の跡取り息子は昨夜、警備隊に拘束されたはず……なら少なくとも、今現在は薬店の跡取りから直接的に何らかの関与はされていないでしょう……けれど……)



 つらつらと考え込むインス同様、クロードとステールも、それぞれに得られた情報から、正確なことを知ろうと思考を巡らせる。



 そうして、考え込む三人の顔は深刻さを増し、そんな大人たちの様子にアインも不安そうに視線を揺らす。



「どうかしたの?」



 そこに、ファンとリオンを引き連れてやってきたジャンヌが、不思議そうに首を傾げて問いかけた。

第10話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、散策に出かける直前に届いた少し不穏なお話です。


宿まで押しかけてきたという街の若者たち。


普段とは違う様子だったと聞けば、さすがにそのまま気軽に出かけるわけにもいきません(;^ω^)


とはいえ、詳しいことをそのまま伝えてしまえば、別の意味でややこしくなりそうな相手もおりますWW


果たして、散策はこのまま予定通り行われるのか?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「フラグが立ってるWW」「セージが有能すぎるWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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