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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第8章 創作ランチと報告会

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第6話・困難の中にも楽しみを~騎士団長は突撃す~

第8章 創作ランチと報告会



       第6話・困難の中にも楽しみを~騎士団長は突撃す~



 食堂を出て、宿室が並ぶ廊下を、アインがゆっくりと歩く。


 その左手をそっと、けれどもしっかりと繋いで、隣を歩くインスの眼差しはどこまでも優しい。



 そんな二人を挟み込むように、前方にクロードが、後方にはステールが続く。


 急に片目が見えなくなってしまったことで、日常生活にさえ不便を強いられているアインは、それでもできるだけ、自分にできることを増やそうとずっと努力している。



 ついつい世話を焼いてしまうインスも、そんなアインの気持ちを汲んで、無理をさせない範囲で色々なことをやらせていた。



「……外は寒いでしょうから、しっかりと防寒の準備をしないといけませんね……」



 そっと息を吐いたインスの言葉に、ちょっと顔を上げたアインはすぐに足元に視線を戻す。


 まだ、ちゃんと足元を見るようにしないと、いつ転んでしまうかわからなくて不安だ。



「……はい……えっと、でも……みんなでお散歩できるのは……ちょっとだけ、嬉しいです……」


「「「…………っ!?」」」



 でも、ほんのりと耳を赤くしてはにかむアインの言葉に、インスだけではなく、クロードとステールも一瞬息を呑んだ。



(……な、何ですか!? この可愛らしい生き物は……!!??)


(……おいおい……! 皇女殿下が強行する散策をみんなでお散歩って……どれだけ前向きにとらえてるんだ!?)


(……アイン、可愛い……正義……)



 各々が心の中で悶絶するが、そこは流石に大人。


 表情にも態度にも表すことはなく、ただそっと、インスがアインの頭を撫でる。



(……しかし、皇女殿下やフロークス爵子はアイン君をちゃんと気にかけて下さいますかね……?)



 アインのかわいらしさに悶絶したのも束の間、ふと過った不安にインスは微かに眉を顰める。



 あの、自分が正しいと信じて疑わず、進みたい道だけを迷わず突き進む皇女殿下と、その皇女殿下のことしか考えていないポンコツ騎士団長。



(……不安しかありませんね……)



 思考を巡らせるまでもなく至った結論に溜め息しか出ない。



 一同が部屋にたどり着き、クロードが扉に手をかける。



「……っ……!?」


「……来い」



 直後、インスの腕を、上階から駆けつけたファンが強く掴んだ。



「……っ!? ちょっ……!?」



 掴んだかと思えばいきなり引っ張られて、反射的にインスは声を上げ、抵抗を示す。



「来いと言っている」


「だからと言って……っ!」



 強引に引き摺ろうとするファンに巻き込まれないように、インスはアインの手を放し、クロードの方へと軽く押す。


 当然、クロードも事態を察しているので、素早くアインを抱き上げた。



「えっ!? あの……っ!!」


「っ。アイン君。大丈夫ですから、先に部屋に入っていてください……クロードさん、お願いします……」


「……ん……」



 突然の事態に青ざめたアインが声を上げるが、ギリギリと力いっぱい掴んでくるファンに抵抗しながら、普段通りの表情と声音で告げるインスにクロードが短く頷く。



「……えっ!? ま……っ!!」



 何かを言いかけたアインを遮るように扉が閉ざされる。



「ファン卿。手をお放しください……折れます」



 直後、インスの肩を抱くようにして抱え込んだステールが、ファンの腕にそっと手をかけ、冷然と告げた。



「……っ……!?」



 ハッとしてファンが慌てて手を放せば、インスは微かに眉を顰めて痺れる腕を軽くさする。



「……それで? ずいぶんと乱暴ですが、一体何のおつもりですか?」



 そうしながら、変わらぬ笑みを口元にだけ浮かべたインスが、冷ややかな眼差しで問い詰めた。



「……話がある。来い……」


「「……………」」



 グッと眉間の皺を深くして促すファンをインスもステールも無言で見つめる。



「……分かりました……」



 一瞬だけおいて、溜め息を吐いたインスは素直に頷き、三人は連れ立って再び一階へと戻ることになった。



 食事を終えたばかりなので、茶室の奥にある個室を借り、各々が飲み物を注文する。



「「「……………」」」



 品物が届けられるまでの間、インスは無言で掴まれた腕をさすり続け、その様子をファンとステールがやはり無言で見守る。



(……大げさな……嫌味か……!)


(……おいおい……大丈夫だろうな……? 骨を痛めていたりとかしないか……?)



 眉を顰めるファンはインスの様子を苛立たし気に睨むが、ステールの方は本気で不安を覚える。



 インスは明らかに同年代の男性と比べて小柄で華奢なのだ。


 騎士として鍛え上げられた男が力いっぱい掴んだら、それだけで本当に骨が砕けかねない。


 ……と、本気で思っている。



 その基準が、自分やクロードの腕力である、というのがステールの認知の限界ではあるのだが、考え自体は間違っていない。



 だからステールは、時折ファンに責めるような視線を投げていた。

第6話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、散策前のひと時と、突然始まった少々物騒なやり取りです(;^ω^)


みんなで散歩できることを素直に喜ぶアインに、こっそり悶絶する大人たち。


……だったはずが、部屋に戻った途端、ファンが勢いよく突撃してきましたWW


どうやら、まだ話し合わなければならないことがあるようで……?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「突撃! 廊下の騎士団長WW」「ステールの認識バグWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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