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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第8章 創作ランチと報告会

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第3話・皇孫皇女のお忍び事情~その裏側で奔走す~

第8章 創作ランチと報告会



       第3話・皇孫皇女のお忍び事情~その裏側で奔走す~



 皇孫皇女であり、女神の巫女でもあるジャンヌが、毒見もせず、何が使われているのかも分からない代物を、誰とも知らない者の手から渡され、気にもせずに口にしていた。



(……普通に考えれば、大問題ですねぇ……?)



 とんでもない情報を暴露したインスは素知らぬ顔。


 もちろん、ジャンヌ本人は何一つ気にもしていない。



 しかし、専属護衛騎士団の団長であるファンからすれば憤死ものの大惨事だし、単なる世間話として神殿孤児院出身の子供が就職した先を話しただけのリオンからしてもとんでもない貰い事故。



 ただ、当然ながら、最上層部が何も知らず、何の手も打っていないわけがない。



 ジャンヌが皇城を脱走し、皇都を散策するようになったのは十三歳になってから。


 正直、成人前の子供が一人でふらついて安全な場所など皆無ではあるのだが、ジャンヌは皇孫皇女で女神の巫女だ。



 まず、毎年の新年参賀での顔見せで、皇都の民は遠くからでもその姿を見たことのある者が殆ど。


 続いて、皇族の肖像画は人気が高いので、ジャンヌの肖像画も裕福な平民が購入したり、購入できなくても見たことがある者が多い。



 そんな中で、多少動きやすさはあるものの、明らかに高級なドレスに、一応、隠す意図があってのことか豪華なフード付きのマントを羽織った……肖像画によく似た美少女が皇都の大通りを歩いている。



 興味深そうに周囲を見回し、馬車道だろうが、騎馬道だろうが関係ない! とばかりに道のど真ん中を闊歩している美少女。



 ……もう、この時点でお忍びの体を成してはいない。



 それなのに、堂々と胸を張って「お忍びなの!」と宣う美少女……



 見かけた人間が全員泡を食ってパニックに陥るのは必然。


 即座に、皇都の警備隊や騎士団に知らせが多数寄せられ、脱走の事実を知って探し回るファンが合流、言い合いをしながら回収されることになる。



 そんなことが続けば、ジャンヌも多少は知恵を回すのか、目立ちにくいマントとフードに変えて、警備隊や騎士団が通りかかれば隠れてやり過ごす、ということを繰り返すようになった。



 ……本当に、警備体制はどうなっているのだろうか? と最初に話を聞いた時にはインスも若干遠い目をしかけたほど。


 ただ、その時、目の前にいた相手が相手だったので、そんなそぶりを見せることもできなかったが……



 そんなジャンヌが十四歳になり、インスが十六歳で皇宮呪師学校を卒業させられてすぐの事。


 史上最年少で卒業したインスを見ようと、ジャンヌが皇宮呪師殿に忍び込んできた。



 インスからすれば、特大の厄災が突然目の前に現れたようなもの。


 思わず、心底嫌そうな声が漏れてしまったのも致し方ないだろう。



 それでも、表情は完ぺきに取り繕って、礼儀正しく皇城にご案内させていただいた。



 ……その結果、皇帝筆頭秘書官であるケルン卿に目を付けられ、とんでもない密命を背負わされたのだから……



(……どれだけ私が苦労していたのか、少しは思い知ってくださいましたかね……?)



 この程度の軽(・)い(・)事実で胃を痛めるだけで済んでいるファンとリオンを冷めた目で見る。



 何を易々と皇女殿下のお忍び脱走を許しているのか。


 警備体制はどうなっているのか、と何度問い詰めたいと思ったことか……



 むしろ、最上層部が息抜きとしてお忍びを許しているのだと知った時には本気で眩暈がした。



 息抜きでお忍びをさせないと、暴走して手が付けられなくなる皇女……終わっている。



 まあ、別にジャンヌが癇癪を起こして暴れるわけではないのだが、鬱屈した結果、その身にまとう女神の加護の魔力が周囲の目には見えない結界を破損させてしまう。



 呪師以外には恐らくわからないだろうが、皇城の各所にはそれぞれに専用の結界が張られていて、皇宮の各所、皇都全域、果ては聖皇国全体を守る護国結界、と様々に結界が重ねられている。



 ……当然、ジャンヌが住まう皇女宮にも、そしてジャンヌの私室にも、他にも重要な箇所には専用の結界が存在するのだが……



 そのすべてを壊しかねない。



 亀裂やほころびが生じる度に、専門の呪師が呼び出され、修復作業に当たらざるを得なくなる。



 それを、ジャンヌが生まれた時から繰り返しているのだというのだから、息抜きが必要、と判断するのも分かる。



 分かるが、だからと言って、皇都に散策に行くのを許す、というのはどういうことなのだろう?


 しかも、付添いも護衛も何もなしの単独でのお忍びだなんて、立場ある者の行いではない。



(……その結果、元々は報告が来るたびにケルン卿の配下が血眼になって捜索に当たり、発見してからは影ながら見守り、事後処理に奔走させられていたそうですしね……)



 そりゃあ、結界をほころびさせずに散策に行かせて、その現在位置や滞在時間を把握し、即座にカバーできるようにしたいと考えるのは分かる。


 分かるが……



(……だからと言って、どうして私が一人でそのすべてを背負って、責任まで取らされないといけないんですか……!)



 インスの不満はこの一言に集約される。



 皇帝からの密命のため、誰にもバレないように手引きし、更に、疑いをかけられても何も反論できない状態にされてしまった。


 流石に、犯罪者として処分されるようなことだけは阻止してくれてはいたが、それが何の慰めになるというのだろうか?



 実際、ジャンヌやリオンが口を滑らせた結果、脱走幇助の疑いをかけられ、二十四時間体制で数日間見張られていた時期があるのだ。



(もう、二度と、絶対に、手伝いません!! 何が悲しくて自分の身を切って赤の他人の責務を背負わされないといけないんですかっ!!)



 数年にわたり、ジャンヌの脱走を阻止できなかった専属護衛騎士団長はさっさとファンにその地位を譲ってしまい。


 若くして騎士団長になったファンはファンで何だかんだジャンヌの我儘を許し続けている。



 インスには、この国の誰も彼もが、ジャンヌを甘やかしているとしか思えなかった。

第3話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、ジャンヌのお忍び事情と、その裏側のお話ですW


本人にとっては気軽な息抜きでも、その周囲では捜索や見守り、事後処理など、実はかなりの人々が奔走していたようです(;^ω^)


そして、その負担をなぜか一人で背負わされることになったインス。


積もり積もった不満が、少しくらい漏れてしまうのも仕方がない……のかもしれませんねWW


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「インス……お疲れ様WW」「ジャンヌのお忍び(ハテナ)WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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