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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第7章 暴走皇女の我儘を

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第10話・暴走防止にダメ押しで~先を見越して行動す~

第7章 暴走皇女の我儘を



      第10話・暴走防止にダメ押しで~先を見越して行動す~



 行政や神殿とも取引がある、ということは、それだけ信頼度が高く、裏を返せば影響力があるということ。



 今回、薬店の跡取りとされる青年が、暴行未遂の現行犯で警備隊に連行された、という隠しようのない不祥事が起きてしまっているのは、薬店としても大きな問題だ。



 更に、今はまだ秘されているが、薬害の事実が知られでもした時にはどれほどの混乱が起きるかわからない。



(……それは、できれば避けたいはず……)



 行政側としても、神殿側としても……薬店自身もそうであろうが、フィール家の面々からしても、騒ぎの原因として妙な注目を集めるような事態は避けるに越したことはない。



「……その通りです……ですので、この件に関しては、他言無用に願います」


「……ええ。もちろん……不用意に街の皆様の不安をあおることは、私にとっても本意ではありません……」



 緊張気味に警備隊長が伝えれば、インスもステールも深く頷く。



「ご理解いただき、感謝します」



 返答を聞いて、少しほっとした様子で警備隊長が言えば、それに合わせて部隊長と女性隊員も揃って深く頭を下げる。



「……ですが……」


「「「……っ……!?」」」



 そこで、インスが困ったように言葉を継げば、ガバリと顔を上げた警備隊の面々の顔に緊張が走った。



「……私どもの同行者に、万が一にも知られれば、妙な正義感を暴走させて騒ぎ立てる恐れがあります……」


「「「……な……っ!?」」」



 心底困ったように眉を下げて告げるインスに、警備隊の面々の顔色が変わる。



 宿の主人らから聞いている話では、同行者は高位貴族と思われる令嬢とその婚約者らしい騎士の青年。


 恐らく、この青年も高位貴族だろう。


 他には、小間使いらしい青年が一人いるようだが、その青年に関してはよい。



 そして、インスとステールの他にフィール家を訪れたのはあと二人。


 もう一人の護衛と、インスの愛娘だ。



 だからきっと、インスが気にしているのは、高位貴族の令嬢と令息。


 インス自身にも、その愛娘にも当たりが強く、不当な扱いを押し付けているらしいその二人こそが、ドアマンとして働く元子爵家の令孫であるセージを仕事中に呼びつけ、フィール家に押しかけさせた元凶だという。



 ……と、言ったようなことを警備隊員たちが思い起こしている中で、インスは心底申し訳なさそうに口を開いた。



「……ですので、どうか、あの方々には気取られることがないよう、ご協力ください……」



 聞いた話から推察すれば、いきなり正面からナペル薬店を糾弾しに押し掛ける可能性がありありと脳裏に浮かぶ。



「……もちろんです。むしろ、こちらからも、ご同行者様には気づかれないよう、ご協力をお願いします」



 キリリと顔を引き締めた警備隊長の言葉に、インスもステールも静かに頷いた。


―――――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 警備隊との事情聴取が終わって、部屋に戻る頃には昼食の時間に近くなっていた。



「……いったん部屋に戻って、アイン君たちにも声をかけて食事にしましょうか……」


「お? 食えそうか?」



 ふむ、と少し考える様子を見せたインスがそう言えば、喜色満面、不気味なほどの笑顔で応じたステールの声が弾む。



「………………」



 その様子に、若干嫌そうな表情を見せたインスは、そっと溜め息を吐いて部屋に急ぐ。



「なあ、どうなんだ?」


「……うるさいですね……私のペースで、私の適量なら何とかなりそうですよ……」



 その背にしつこく問いかけてくるステールを鬱陶しがりながら、インスは半分嫌味のように返す。



 折角胃腸を修復させる薬を飲んで休ませたというのに、いつもの調子で無理やり押し込まれては意味がない。



「はぁあ? お前がいつもちゃんと食わないからだろう!」


「先ほども言いましたが、私には私のペースと適量があるのですよ。あなたの基準で押し付けられても無理なものは無理です」



 途端に不機嫌さを見せたステールに言い返し、たどり着いた部屋の前で一旦足を止め、息を整える。



 それから、軽くノックをして扉を開いた。



「っ……! インス様、おかえりなさい……」



 部屋に入ると、クロードの膝の上に座ったアインがほんの僅かに身を固くし、直後にほっと安心したように表情を緩める。



「はい。ただいま戻りました」



 ふわりと微笑んだインスは、足早に歩み寄ると、ベッドに腰を下ろし、クロードの膝の上からするりとアインを抜き取った。



「……終わった……?」


「おう。終わった」



 ほんの僅かに目を見開いたクロードは、だがそれに関しては何も言わずに立ち上がり、隣のベッドに移動する。



 ちなみに、リオンはまだ気持ちよさそうに熟睡していて、クロードとアインがずっと二人っきりで過ごしていたことも知らないようだ。



「そろそろ昼食の時間でしょう? リオンさんも起こして、少し早めですが、食事を済ませておきませんか?」


「……動きそう……?」


「……可能性は、ありますね……」



 インスの提案に、ちょっと首を傾げたクロードが聞けば、そっと溜め息が返ってくる。



 今朝がた、散策に行きたい、などと言い出したジャンヌが、このまま宿で大人しく待てる可能性は……正直、限りなく低い。



「……恐らく、そうなった場合、リオンさんは付いて行かれるでしょう……?」


「あ~……確かに?」



 インスが理由を付け加えれば、食いっぱぐれで引っ張り出されることになったら、流石に憐れかと、ステールも納得する。



「よし、なら、早めに飯にするか! おい! 起きろ!! リオン!!」



 そうと決まればとばかりに、早速ステールがリオンの毛布を引きはがしに行った。

第10話をお読みいただきありがとうございます。


警備隊との対話の締めくくりに、同行者の暴走を危惧する言葉を添えて先回りの釘を刺したインス。


互いの思惑が一致して秘密保持の協力体制を築き、ひとまずの山場を越えます。


部屋へ戻れば、食事の量をめぐる小競り合いやアインの出迎えにひと息つくのも束の間、ジャンヌの次なる気まぐれを察知。


被害を最小限に抑えるべく先手を打つインスたちと、叩き起こされるリオンの賑やかな日常回でしたWW


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「ダメ押しで先回りWW」「安定の『食えそうか?』WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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