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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第7章 暴走皇女の我儘を

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第5話・小出しの情報、誤解の放置~即座に回収するフラグ~

第7章 暴走皇女の我儘を



     第5話・小出しの情報、誤解の放置~即座に回収するフラグ~



 返事を待たずに部屋を出たインスは、アインの左手を引いてゆっくりと廊下を歩く。


 部屋の前にはクロードが残って、一緒に廊下を歩くのは前方にステール、後方にリオン。


 リオンはこの後、部屋で仮眠を取ることになるだろう。



「……ぇ、と……?」



 勝手に出て来てしまってよかったのだろうか? と困惑気味のアインにインスはふわりと微笑みかけた。



「気にする必要はありませんよ……聞こえてもおられないお二人に問題があるだけです」


「えっ!?」



 こちらはきちんと声をかけたのだから、というインスに、目を丸くするアインは、思わずその顔を見上げて……



「……ぁ……っ!?」


「っ!? 大丈夫ですか……?」



 何もないところで躓きかけてしまう。



 すぐにインスが腰を落とし、腕をアインの体に回して抱き止め、そのままゆっくりと抱き上げた。



「……ぁ……は、い……ごめんなさい……」


「大丈夫ならいいのです」



 シュンと項垂れるアインに微笑みかけて、インスはアインを抱いたまま歩みを再開させる。



「で、インス。人と会う予定って、誰となんだ? てか、知り合いとかいたっけ??」



 一緒に廊下を歩くリオンが、ちょっと呆れたように声をかければ、な(・)ぜ(・)だ(・)か(・)ステールがぎくりと一瞬肩を強張らせた。



「……警備隊の方が訪ねていらっしゃるだけですよ……」


「……ぇ……?」


「は? 警備隊??」



 意識して落ち着かせた声音でインスが答えれば、アインは敏感に何かを察したのか身体が強張る。


 それを、あやすようにしながら進むインスの返答に、リオンもちょっと驚いたように目を見開いた。



「え? あれ?? この間、詰所で事情聴取、してきたんじゃなかったのかよ?」



 ブルンに着いた初日に、路地裏に連れ込まれ、街の男たちに襲われた件の事情聴取は翌日には終わったはず。


 なのに、まだあるのか? とリオンが首を傾げる。



「……そうですね。まだ、あります……」



 口元にだけ、笑みを浮かべたインスがあっさりと返すが、アインもステールも無言。


 今日の事情聴取はそれとは別のものだと知ってはいるが、インスが言わないので黙っていた。



「うへぇ~。一回で済まないのかよ……めんどくさいな……」


「……仕方ありません。皇女殿下(お嬢様)に知られるわけにはいきませんからね……」


「あ~~~」



 げぇっと、面倒臭そうに顔を顰めたリオンは、軽く肩を竦めたインスの返答に物凄く納得する。


 確かに、ジャンヌに知られたらそれこそ余計な正義感で暴走しそうだ。



「……犯人、全員捕まったんだろ?」


「……現場にいた方は、警備隊の方が連行されましたね……?」



 首を傾げるリオンが誤解していることを分かった上で、インスは何でもないかのように答える。



 嘘は言っていない。


 初日に襲撃してきた男たちも、昨夜、インスに手出ししようとした変態も、現場に居(・)た(・)者(・)は(・)全員連行されている。



 ……実際に昨夜、インスとステールを襲撃したのはジプシー風の格好をした者だったが、その相手は警備隊が到着した時には現場に居(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)ので捕まってはいない、というだけ。



 微かにステールが顔を引きつらせていたが、リオンには見られないよう、顔を前に向けたまま一切振り返ろうとはしない。



(……下手にリオンに知られると、ボロを出しそうだからなぁ~……)



 インスが、リオンの誤解に気づいていないはずはないので、わざと誤解させたままでいることは明白。


 それなのに、妙な反応を見せて気づかれるわけにはいかないので、ステールは内心でぼやきながらも無言を貫く。



「ふぁ~。……まあ、何でもいいけど、ジャンヌに気づかれないように動けよ……特に、いきなり部屋を出て茶室(ラウンジ)辺りに行くことはありそうだからな……」



 大あくびをしつつ告げるリオンはもうあまり思考が働いていないようだ。



「……ええ。もちろん……」



 それを察して、インスも静かに微笑むだけ。



(……皇女殿下はもちろん、リオンさん(あなた)にも、知られるつもりはありませんよ……)



 そんなことをインスが考えているとも気づかず、四人は一旦、部屋に戻る。



 すぐにベッドにもぐりこんだリオンが寝息を立てる中、少しするとクロードが部屋に戻って来きた。



「? クロード、交代か? 悪いが……」


「……ん、違う……」



 想定より早く戻ってきたクロードに戸惑って、ステールがまだこれから警備隊の事情聴取が残っているから、交代は難しい、と告げるが、皆まで聞かずにクロードは緩く首を横に振る。



「……あの方は、本当に、少しもじっとしていられないのですか……?」



 そのクロードの様子で、ただ単にジャンヌの部屋の前(・)に立つ必要がなくなったのだと気付いたインスが、笑っていない笑顔で首を傾げた。

第5話をお読みいただきありがとうございます。


ジャンヌの部屋を辞し、自分たちの部屋へと戻るインスたち。


リオンから面会の予定について尋ねられたインスは、昨夜の出来事を伏せたまま巧みに誤解を誘導し、ステールも冷や汗を流しながら話を合わせます。


これでひと息つけるかと思われた矢先、部屋の前で見張りに残っていたはずのクロードが早々に戻ってきて……?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「意図的誤解の放置WW」「即座のフラグ回収乙WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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