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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第7章 暴走皇女の我儘を

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第3話・真正面から言い聞かす~誤魔化しきれない誤魔化しに~

第7章 暴走皇女の我儘を



     第3話・真正面から言い聞かす~誤魔化しきれない誤魔化しに~



 なぜ、今更こんなことでそれほど驚いているのか……思考に耽りながらも、やり取りを眺めていたインスの目からどんどん温度が消えて行く。



 信じられないとばかりにリオンがジャンヌとファンとを見るが、二人とも何も言えない様子。



「職務に関係する内容での呼び出しであるのなら、まだ理解できます……それが仕事ですからね……けれど、職務に関係のない用件で呼び出すのは、相手がどのような状況にあろうと自(・)分(・)が呼んだら何を置いても応じて当然、という貴族特有の傲慢さです」



 一応、この二人にもう少しわかるように説明しておくべきか、とインスはゆっくり口を開く。


 説明するうちに、ファンは苦虫を噛み潰したかのように渋い表情を浮かべ、ジャンヌも徐々に眉を寄せる。



「……それで? お二人は何(・)を(・)なさったので……?」


「「……………っ!?」」



 にこりと、全く笑っていない笑みを向けたインスに重ねて言われ、ジャンヌもファンもグッと言葉に詰まった。



 リオンが宥めるようにこれ以上のちょっかいをやめろと言えば、ジャンヌもようやく納得したのか、案外素直に頷く。


 しかし……



「……結局、何も進展していない、に変わりはなさそうですね……」



 そっとインスが溜め息を吐くと、腕の中でアインがちょっと首を傾げた。



「……えっと……お二人がお話しできればいいんですか?」



 何か戸惑うような、考え込むような様子なのは、恐らくきっと、アインも察しているからだろう。



 一切気づいていなさそうなどこかの皇女とは大違いだな……と考えながら微笑みかける。



「……そうですね……とりあえずは、お二人がきちんと向かい合って、話し合うところからでしょうね……まあ、既にされている可能性も高いですが……」


「「……えっ……!?」」



 さらっと告げれば、ジャンヌとリオンが声を上げ、ファンも目を見開くが、やはりアインは納得したように頷くだけ。



 当然、ステールも納得の表情だし、クロードも疑問はなさそうな様子だった。



 若干呆れて説明すれば、ジャンヌもリオンも理解した模様。


 今更無駄な作戦会議をしていたと気付いてファンが赤面していたが……



(何をいまさら……ただの足止めに決まっているでしょう。皇女殿下の好奇心で、人の人生を引っかき回させるわけにはいきません……)



 軽蔑が視線に混じったかもしれない。


 けれど、瞬時に感情を押し隠し、今すぐセージの元へと突撃しそうなジャンヌを牽制する。



 ……好奇心丸出しで根掘り葉掘り聞きに行くのは恥ずかしいことだと、多少は気にしたのか、何事もなかったかのように取り繕うジャンヌの様子に呆れた。



(……誤魔化せているおつもりのようですが、全員が呆れ返っていますよ……)



 こっそり溜め息を吐いて、どこか不満そうなジャンヌに向かって笑顔を見せる。



「……それとも? これ以上引っかき回して? お二人の関係を破(・)綻(・)させるのがお望みでしたか……?」


「なっ!? そんなわけないでしょう!!」



 どの口がそれを言うのか、と思いながらも表情は崩さない。



「言葉が過ぎるぞ!」


「だから? 何(・)度(・)も(・)申し上げているでしょう?」



 それなのに、この期に及んでそんなことを言うファンにも呆れ果てた。



「……道楽がお望みならば今すぐ皇都にお戻りください……迷惑です……」


「「「……っ……!!??」」」



 それはそれは見事な笑顔で言い切られ、ジャンヌとファンだけではなくリオンも息を飲む。



(ええ……本当に、これ以上、面倒に巻き込まれるのはごめんです……)



 その内心が実はとっくの昔にジャンヌを見限っていて、ただ自分とアインの安全のために希望を伝えているだけだとしても、国の考えとも合致する以上、真っ向からファンが責めるわけにもいかない。



(……こわ……っ!? 下手な受け応えなんかされたら、本気でヤバいんじゃぁ……?)



 一方、インスがギリギリ限界であることを知っているステールからすれば、この後の誰かの一言で、自分を含む全員の命運が決まってしまいそうで怖くてたまらない。



 オロオロと、アインが心配そうにインスの袖を引くが、インスは気にもせずに抱き寄せ、そっと肩を撫でて宥める。



(……アイン君が心配してくれるのは嬉しいですが、心配させるのは本意ではありませんね……仕方ないですか……)



 少しだけ困ったように微笑みかけるが、アインは眉を下げ、チラチラとジャンヌやファンの様子を窺う。



「「………………」」



 クロードとステールは口を挟むことはなく、表情も動かさずに見守るだけ。



 言い方はともかく、ジャンヌ以外誰もが、先へ進むのを良しとは思っていないのだから、真っ向から帰れと言っているだけ、インスが一番真っ直ぐに向き合っているとも言える。



 それなのに、ジャンヌは何も変わらない。


 表情だけは取り繕って、けれど目からは温度が消えて行くインスの様子にも気づこうとしない。



「……とりあえず、セージたちの様子だけ遠くから確認して、それで終わりでいいだろう? これ以上、足を止めていても意味がない……」



 言い合う二人と、それによって酷く重苦しくなった空気を振り払うようにリオンが言った。

第3話をお読みいただきありがとうございます。


他人の都合や立場を無視した呼び出しがいかに傲慢であるかを、真正面から説き伏せるインス。


好奇心で他人の人生を引っかき回そうとするジャンヌに対し、笑顔のまま容赦のない正論を突きつけます。


限界寸前の冷徹な笑顔で「皇都へ戻れ」と言い放つインスと、その気配に冷や汗を流すステールたち。


一触即発の重苦しい空気が漂う中、リオンが何とか場を収めようと妥協案を提案しますが……?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「隠し切れないインスの限界WW」「お世話係・リオンWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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