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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第1章 西へと向かう極寒の

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第4話・ランチタイムのレストラン~違和感の始まり~

第1章 西へと向かう極寒の



       第4話・ランチタイムのレストラン~違和感の始まり~



 初日はよほど体調が悪かったのか……



 それともほぼ徹夜で出発する破目になったせいか馬車酔いが酷かった。


 アインもまた、まだ酷い貧血もあり、体力も戻っていないせいか、同じく馬車酔いが酷かった。

 


 二日目の今日は、インスもアインも顔色は悪いが、吐くことなく順調に走り続けることができているのは、馬車の揺れに少しは慣れたおかげか……



 今朝の早いうちに一度、リオンが具合を悪くして馬車を止めたが、それ以外はほぼ予定通り。


 昼食には、少し大きめの町で長めの休息を取ることになった。



 一等地からは少しだけ外れた、裕福な者とそこそこの者。


 どちらも立ち寄ることが可能な価格帯のレストランで、二組に分かれて席に着く。



 店内は若干時間がズレているせいか、満席とまではいかない。


 だがそれでも、それなりに込み合っていて、少し離れたテーブル席を使うことになる。



「……アイン君。気分は大丈夫ですか?」


「はい……インス様は?」



 先にテーブルについて、クロードとステールがセルフバイキング形式の食事を取りに行く間、小声でやり取りする。



 まるで聖母のごとき微笑で甲斐甲斐しくアインの世話を焼いているインスも、そんなインスに遠慮がちに、けれど隠し切れない喜びを覗かせて笑顔を見せるアインも……どちらも大変に麗しい。



「邪魔するぜ」


「「……へへへ……」」


「「…………?」」



 と……不意に視界が陰って、顔を上げた二人の前に、町の住人であろう男たちが三人、我が物顔で相席してきた。


 一応一人が声をかけ、残る二人は何が面白いのか妙な表情で笑いを漏らす。



「……申し訳ありませんが……」


「……っ」



 言いながら、インスは微かに眉を顰める。


 アインもまた、少し怯えたようにギュッと、インスの服の端を掴んで身を寄せた。



 確かに、店内は満席とはいかないまでも込み合ってはいる。


 けれど、三人ほどの男性が一緒に使えそうなテーブル席の空きはあるようなのに、なぜ、わざわざ相席しに来たのか?



「悪いが、俺たちの連れだ……どいてくれ」


「「「ああん……っ!」」」



 そこに、クロードとステールが山盛りの料理を持って戻ってくる。


 声をかけたステールに、凄むような声を出して振り返った三人の男たちは……



「「「……っ……!!??」」」



 そこに立つ、見上げるほどの巨漢の男二人にひっと悲鳴をあげた。



「……空いてる他の席に移動してくれ……」


「……ぁ、ああ……」


「わ。わりぃ……」


「……へ、へへへ……」



 ごくあっさりというステールに、一気に顔色を悪くした男たちは慌てて移動する。



「「…………??」」



 なぜだか、生ぬるい視線を感じたインスとアインがちょっと首を傾げるが、出所は判然としない。



 その間にも、クロードとステールは何事もなかったかのように、運んできた料理をテーブル一杯に並べる。


 簡易的な祈りを捧げた後、まず最初にステールが一口ずつ、すべての料理に手を付けた。



「……ん。うまい……」


「……………」



 隣で同じように簡易的な祈りを捧げたクロードも食べ始め、お前らも食え、と言われてインスとアインも食前の祈りを捧げる。



「……さっきの方たちは、一体何だったんでしょうね……?」



 首を傾げつつ、まずはスープの皿を引き寄せたインスが先に一口。


 そのまま、次の一口をそっとアインの口に運ぶ。



「よく……分かりませんけれど……ちょっと、怖かったです……」



 されるがままに食べさせられながら、アインもちょっと、不安そうに呟いた。



「……アイン君を怖がらせるなんて……ステールさん。ちょっと行って、始末(しめ)て来てください」


「バカ言うな……たまたま空いてると勘違いしただけだろう?」



 そのアインの発言に、目を座らせたインスがそんなことを言い出せば、肉も食え、とインスの皿に赤みの肉をドカンと乗せたステールが呆れ返る。



「ちょっ!? どれだけ食べさせる気ですか!? まだこの先も馬車に乗らないといけないのに!!」


「だからだろうが! 途中でへばって死なれたら困るんだよ!!」


「そんなに簡単に死にませんよ!!」



 遠慮も何もなく、山盛りにされたローストを目にしてインスが小声で声を荒げれば、こちらも声を潜め気味にしてステールも睨みつける。



 文句を言いつつも甲斐甲斐しくアインには食べさせ、一応は自分も食べてはいるのだが、減らした傍からステールが取り分けるので一向に減る様子がない。



 ちなみに声を押さえているのはここが公衆の面前で、普通の利用客もいるから。


 大きな声で騒ぐと迷惑になる。



「……追加、取ってくる……」


「「「……え……?」」」



 ぎゃいぎゃい言い合うインスとステールを放置し、我関せずと食事を進めていたクロードが不意に席を立つ。



 驚いて見てみると、いつの間にか山盛りで持って来ていた自分の食事を、きれいさっぱり食べきっていた。



「……一緒に、何か取ってくるか……?」


「よし! もっと肉と温野菜を持ってきてくれ! インスにもっと食べさせないと!!」


「ちょっ!? 物理的な限界があるんですよ!!」



 ちょっと首を傾げたクロードの言葉に、自分の口にも肉を突っ込んで、温野菜のサラダをインスの皿に追加するステールが言えば。


 冗談じゃないと顔色を悪くしてインスが言い返す。



「……わかった……」


「どっちに!?」



 無表情のままこくりと頷いたクロードが言い置いて行くのに、半分悲鳴のようなインスの声がむなしく響く。



 なお、別のテーブル席で食事中のジャンヌとファンが、何度も席を立ったり座ったりしているのを見て、「お姫さまもファン様も、いっぱい召し上がるんだなぁ~。」とアインが少し驚いていた。



 ……実際には、利用方法のコツがわからないポンコツ貴族が、なぜだかコースの提供順に料理を取りに行っていただけ。



 その結果、コースの半分も進まないうちにジャンヌはお腹がいっぱいになってしまい。


 ファンもまた、最後まで進まないうちに満腹になってしまったのだが……こちらのテーブルに居る四人はそれを知らないままだった。

第4話をお読みいただきありがとうございます。


二日目の昼。


立ち寄ったレストランでの賑やかで、どこか不穏な食事のひととき。


クロードとステールが席を外している隙に、インスとアインに絡んでくる不届きな男たち。


しかし、山盛りの料理を抱えて戻ってきた頼もしい巨漢二人の圧倒的な威圧感の前に、男たちは這々の体で退散(笑)。


そして、なぜか周囲から注がれる生ぬるい視線の意味とは……?


規格外の大食漢ぶりを見せるクロードの食べっぷりなど、


極秘討伐隊の隠しきれない個性が露呈するカオスなランチタイムをお楽しみいただけていれば幸いです!


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「クロード、マジで『どっちに!?』WW」「アインに誤解されてるジャンヌとファンWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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