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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第5章 悪魔と躍る・あくまで踊る

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第1話・プロポーズ大作戦?~幼馴染の告白舞台は~

第5章 悪魔と躍る・あくまで踊る



       第1話・プロポーズ大作戦?~幼馴染の告白舞台は~



 冬の日は短い。


 午後も半ばを過ぎ、早くも日が傾くような時間になる頃。



 漸く目を覚ましたジャンヌが大至急といって全員を呼び集めた。



「よし! 早速作戦開始よ!!」



 ぐっすり休んですっかり元気を取り戻したジャンヌが気勢を上げるのを。



「「「「「「…………………」」」」」」



 部屋に呼び集められた全員が黙して見つめた。



「…………あれ? どうしたの? みんな??」


「……どうしたの、じゃない……」



 返事がなくて首を傾げたジャンヌに、まずはリオンが疲れ切った声でツッコミを入れる。



「……それで? 結局どのようなとんでもな(すばらし)い作戦が出来上がったのですか?」



 後を継いだインスも素晴らしい笑顔を見せてはいるが、目は一切笑っていない。



「ふふん! 聞いて驚きなさい!! まず! セージがリリーと未だにくっついてないのは、カミルの病気問題があったからよね? でもそれは解決した!!」


「…………まあ、まもなく問題はなくなる、というのは事実ですね……」



 胸を張っているジャンヌに、何とも言えない表情でインスも首肯する。



(……それだけが問題ではない、とお伝えしたはずですが、覚えていらっしゃらないのでしょうか……?)



 ちょっと疑問に思うが、とりあえずは続きを聞くことにした。



「それでも二人がまだくっついていないのは、近くにいすぎるせいなのよ!!」


「「「……は……?」」」



 キラキラの笑顔で力説するジャンヌに、ファンとリオンとインスとが、何を言っているのかとばかりに首を傾げる。



「だから! ちっさい時からずっとそばにいるのだもの! 改めて告白なんてしてないでしょう? その舞台を整えるのよ!!」



 小さい時からずっと一緒に居るから、改めて好意を伝えることはない。


 だからそれを伝える場を整える……



「「「「「「………………」」」」」」



 ジャンヌの発言に、思わず皆の視線がファンへと集中する。



 すっと、視線を逸らしたのは何らかの心当たりがあるのか……



 そう言えば、ジャンヌとファン(このふたり)の間に、恋愛感情のような好意はあるのだろうか?



 ふと思いついた疑問を飲み込む。



 少なくとも好奇心で問いただすような話ではないし、正直インスにとってはどうでもいい話。


 リオンは何やらそわそわして、視線が忙しくジャンヌとファンを見比べているが、他は誰も態度に出さない。



 とはいえ……



「……参考までにお伺いいたしますが……」


「? なあに?」



 表情を変えずにジャンヌに視線を戻したインスが口を開けば、ジャンヌはきょとりと首を傾げる。



「……皇女殿下(あなた)は、幼いころからの幼馴染に、ど(・)の(・)よ(・)う(・)な(・)舞(・)台(・)で(・)告白されれば受け入れられるのですか……?」


「「……は……?」」


「っ!!!! インス=ラントっ!! 不敬だぞっ!!」



 にこりと、それはそれは愉しそうに微笑んだインスの問いかけに、ジャンヌとリオンがぱかりと大口を開けて絶句し、顔色を、赤いのか青いのか分からない色に染めたファンが厳しく叱責した。



「……少なくとも、皇女殿下(あなた)が告白を受け入れても良い、と思えるような舞台を整えなければ……果たして他(・)の(・)方(・)の心は動きますかね?」


「……っ!? そ、れは……っ!」



 怒鳴られてもなんのその。


 変わらぬ微笑で言葉を重ねたインスに、ジャンヌはグッと詰まる。



((……こいつ! わざとか……!?))



 その様子に、怒鳴りつけたファンはもちろん、リオンも軽く目を見張った。



 ちなみに、アインはファンが怒鳴った瞬間に、小さく悲鳴を上げて飛び上がり、即座にインスが抱き寄せて、宥めるように撫でている。



 クロードとステールは無言のまま。


 クロードの表情は変わらないが、ステールは若干呆れた雰囲気を醸し出していた。



「そうですね……例えば舞踏会の会場ですか? それとも、今朝仰っておられた、呼び出されて向かった先で、異性と二人きりで閉じ込められ、助け出された時ですか?」


「……そ……ま……え……??」



 更にインスが言葉を重ねれば、ジャンヌは顔色を赤くしたり青くしたりしながら、意味のない音を漏らすだけ。



(……へぇ……な(・)る(・)ほ(・)ど(・)……)



 その反応に内心で薄く嗤いながら、インスは表面的には一切表情を変化させない。



「そもそも、知りもしない相手に呼び出されて、のこのこ付いて行きますか?」


「……わたし、そこまで、うかつじゃないわよ……」



 言葉を重ねるインスに、意味もなく唇を開いたり閉じたりするジャンヌの思考は、既にショートしているようで、返す言葉が半ば片言になっている。



 ジャンヌ自身が提案した作戦を、ジャンヌ自身が否定する発言をしていることに気づいているのか。



「しかも、付いて行った先で、見知らぬ男と二人きりで閉じ込められて、何事もなく、無事で済みますか?」


「……なっ!? ……き……っ!」



 更に続ければ、今度はファンが文句を言いた気に声を上げるが、やはりろくに言葉にはならないようだ。



「実際に、何事もなかったとして……果たして……」


「「「………………」」」



 あえて、そこで言葉を濁したインスに、ジャンヌもファンもリオンもサーッと、顔色を悪くした。



 皆まで言われずとも頭に浮かんでしまった特大の不祥事。


 それに初めて気が付く。



「さて? ど(・)な(・)た(・)が(・)責任をお取りになるのでしょうね?」


「「「………………」」」



 にこりと鮮やかに笑ったインスに、ジャンヌだけではなく、ファンとリオンも青ざめて絶句する。



(……どうやら、今(・)回(・)ば(・)か(・)り(・)は(・)ご理解いただけたご様子ですね……?)



 普段からせめてこのくらい話を分かって欲しいものだと、内心で溜め息を吐きながらインスは改めてにこりと微笑む。



「……つまり、作戦を立て直してください、ということです……」


「…………わ、わかっ……たわ……」



 言われて、ジャンヌはカクカクと、壊れたブリキの人形のように激しく頷いた。

第1話をお読みいただきありがとうございます。


しっかりと休息をとり、元気を取り戻したジャンヌ。


セージとリリーの関係を進展させるため、「プロポーズ大作戦」の舞台を整えるために意気揚々と一同を呼び集めます。


幼馴染だからこそ告白の舞台が必要だと熱弁するジャンヌに対し、インスから「どのような舞台で告白されれば受け入れるのか」という痛烈な問いかけが飛んで……!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「特大の飛び火WW」「正論パンチ炸裂WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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