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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第4章 発芽の兆しと不穏の兆し

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第9話・招待状に記された~不穏な視線のその意味は~

第4章 発芽の兆しと不穏の兆し



      第9話・招待状に記された~不穏な視線のその意味は~



 翌朝、朝食を終えたインスは宿の受付係から、メッセージが届いている、と呼び止められた。


 少し首を傾げながらも封書を受け取り、部屋に戻ってから中を見ると、一枚のメッセージカード。



 いや、招待状、というべきか……



「……やってくれましたねぇ……」


「……どうする気だ……」



『今夜。開店時間に酒場・ヴィノンにて。』



 昨夜のネズミは仕事をしてくれたようだが、すんなり引き渡す気もないらしい。



「……まあ、想定の範囲内ですね……」


「…………してたのかよ……?」


「ある程度は?」



 軽く肩を竦めたインスの言葉に呆れ返ったステールは、ちょっと首を傾げたことに溜め息を吐く。



「……え……っと、インス様……?」



 一体何のことなのかと、首を傾げて覗き込むアインにカードを渡す。



「昨日、少しお(・)つ(・)か(・)い(・)をお願いした方がいるのですよ……ここまで届けて下さるのが一番でしたが、引き渡しの場所を指定してきました」


「……ぇ……?」



 カードを見て、インスから何でもないようにされた説明を聞いて、アインはちょっと混乱する。



 いつの間にそんなやり取りがあったのか、全然知らない。



「……ああ……アイン君が休んでから尋ねて来られたので、そこでお願いしました……」


「……ぁ……」



 気づいたインスが説明を付け加えると、アインは軽く目を見張り、なるほどと納得する。



「……ごめんなさい……僕が、起きていられなかったから……」



 納得はするが、申し訳なさで俯いてしまう。



「何を言うのですか……アイン君は、いっぱい頑張ってくれたのですから、しっかり休んでいいのですよ……私も、ステールさんとクロードさんに酷い目に合わされましたが、その後はゆっくり休みましたしね」


「……え……っ!?」



 そんなアインに、ふわりと微笑みかけたインスがそっと頭を撫でると、その内容に驚いてアインは声を上げる。



「違うぞ、アイン。こいつが無理をしたから、翌日に持ち越さないようにしてやっただけだ……意地悪でしたわけじゃない」



 しかし、すぐにステールが反論するように説明をすれば、どういうことかと困ったように二人を見比べた。



「……マッサージ……」


「……ぁ……」



 短くクロードが言えば、なるほど、とアインもようやく納得し、心配そうにインスを見上げる。



 そう言えば、今朝もインスは少し顔色が悪く、ふらついていた。



「……大丈夫ですよ……揉み返しで体中が痛いだけですから……」


「……ぇ……っ、と……」



 それは、大丈夫なのだろうか?



 ふわりと笑ってひたすらアインを撫でるインスの様子に困惑する。



「で、どうするんだ?」


「……とりあえずは、作戦会議がどうなったかの確認、ですかね……結局、一晩中騒いでいらしたようですし?」


「「……ああ……」」



 アインの手からひょいとメッセージカードを抜き取り、ひらひらと揺らしながら問いかけたステールに、軽く肩を竦めたインスがそう答えれば、アインもステールもちょっとだけ遠い目をして納得した。



 一体どんなとんでも作戦を言い出し、それをどうやってファンが止めたのか、ある程度確認して、何らか軌道修正させておかないと、徹夜ハイでおかしな行動をするかもしれない。



 それが容易に想像できて、クロードもちょっと困ったような顔をしている。



 一度ジャンヌたちの様子を確認して、必要があれば三人を休ませて、妙な作戦を実行しようとしているのなら、止める必要があるか……



「……下手にセージさんにも接触されないように、手配しておいた方がいいですかね……?」



 ふと気づいたインスの呟きに、確かに……と納得する。



 もし、目に付いてしまったら、どんなとんでも作戦を実行しろと言い出すか分からない。



 平民であるセージが、いかにも貴族然としたジャンヌやファンからの言葉(命令)に逆らえるとは思えないので、先に手を打っておいた方がいいだろう。



 そうと決まればと、四人は揃って部屋を出る。



「「「「……………?」」」」



 出たところで妙な視線が集まっているのを感じて内心で首を傾げた。



(……なんだか、妙に同情されているような……?)


(……インス様を見る目……二種類ある?? クロードとステール様には、なんだか怒ってるみたいな……?)


((……睨まれてる気がする……))



 各々が感じ取った視線に、一体何だろう? と疑問を覚えながらも、あからさまに見られているわけでもないので、確認するために詰め寄るわけにもいかず……



 四人は黙ってジャンヌが使用している宿室へと向かう。



 彼らは知らない。



 悲劇の未亡人と完全に誤認されてしまったインスを憐れむ者と、どうせなら……と下心を満載に都合の良い考えを持つ者が多発していることを。


 護衛の分際で、という嫉妬と苛立ちを抱きながら、夜な夜な未亡人(インス)を虐待的に扱っていると誤解されていることを。



 あからさまに目を向ける者は少ないが、良くも悪くも……いや、どちらかと言えば最悪に近い噂話が蔓延し、誤解が積み重なってしまっているのだと、彼らが知るのは一体いつになるのか……



 答えはまだ、誰も知らない。

第9話をお読みいただきありがとうございます。


インスの手元に届けられた一通のメッセージカード。


昨夜の「ネズミ」からの指定を受け、相手の思惑を見越しつつも、冷静に次なる行動へと備えます。


一方、まずは徹夜で暴走しかねないジャンヌたちの「作戦会議」を確かめるべく動き出す一行。


ですが、相変わらず宿の中には凄まじい誤解による視線が注がれていて……!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「怪しい招待状WW」「未亡人誤解の重症化WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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