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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第4章 発芽の兆しと不穏の兆し

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第6話・嫌な予感を回収す~恐怖と笑いと緊張と~

第4章 発芽の兆しと不穏の兆し



        第6話・嫌な予感を回収す~恐怖と笑いと緊張と~



 インスは追い詰められていた。



「……待ってください、まだ……」


「だめだ」



 じりじりと後退るインスの前にはクロードとステール。



 部屋に戻り、アインをベッドに寝かして、ホッと息を吐いたところで察知した悪寒に素早く距離を取ったインスに、巨漢の護衛官が二人してにじり寄って来る。



 ベッドを挟んで睨みあうところから、気づけば壁際まで追い詰められてしまっていて、これ以上の逃げ場がない。



「あ~……インス。諦めろ……」


「っ! 他人事だと思ってっ!! この人たち、加減を知らないんですよ!!」


「やかましい。ちゃんと手加減してやってるだろうが!」



 様子を、ベッドの一つに乗り上げ、胡坐をかいて眺めていたリオンが言えば、半分悲鳴のような声でインスが叫ぶ。



 うるさい黙れとステールが言い返すが、インスは身構えたまま。



「……とりあえず、オレはジャンヌたちの方に戻るわ……ま、がんばれ」


「ちょっ! リオンさんっ!!」



 このままここで眺めていても意味はなさそうだと、リオンはさっさと部屋を出ていく。


 反射的に助けを求める声を上げたインスは、あっさりと見捨てられて半泣きになった。



(……く……っ! 魔法さえ使えれば……っ!!)



 思わず心の中で毒づくが、いや、同じか……と、すぐに気が付く。



(……今更、この距離で護衛官二人を無効化するのは難しいですか……)



 そもそも護衛官というのは、対象の呪師を制圧できる実力者が付けられるのだ。


 魔族にかけられた呪いがなくても、これだけ距離を詰められた状態から、魔法で反撃するのも無理。



 まあ、魔法が使えればここまで身体的に疲労困憊にはならなかった、という意味で言えば魔法が使えればこの後起こるであろう拷問を回避できたのは確かだ。



「……覚悟はいいな……?」


「っ!! ま……っ!!」



 ニヤリと、唇を歪めて言ったステールに反射的に反論しかける。



「……っ……!?」



 しかし、その前にがしりと両腕を掴まれ、軽々と抱き上げられてしまう。



「ちょっ!! お二人とも……っ!!」


「静かにしてろって……ああ、そうだ……」



 じたばたと暴れるが、難なくベッドに投げ出され、身体を押さえつけられた。



 声を上げるインスを黙らせようとして、ふと思い出したステールは手近にあった布を引っ掴むと無造作にインスの口に突っ込む。



「む……っ!? むぐぅ~~っ!!」


「よし、始めるか」


「……ん……」



 いきなり何をと抵抗を強めるインスの手を片手で押さえ、ステールの合図でクロードと二人同時に筋肉のもみほぐしを開始する。



「んぐぅ……っ!! んぐぅ!! んん~~っ!!」


「お前の声が煩いってクレームがあったらしいからな、静かにしてられないなら諦めろ」


「んん!? ん~んんっ! んん~っ!!」



 必死に抵抗するインスの抗議をガン無視して、淡々と告げたステールはゴリゴリと背中のコリをほぐしていき、クロードは片側の足を押さえ込んでもう一方を太ももから足首までがっつりと揉み込んでいく。



「んぐっ!! んぐぅっ!! ん~ぐぅぅ~っ!!」



 くぐもったインスの悲鳴と、巨漢の護衛官二人が半ば乗り上げているせいで危険なほどの軋みを上げるベッドの音が室内に響き……



(((……ま、まさか……本当に口を塞いで乱暴するなんて……っ!!!)))



 隣り合う部屋の客と、廊下を通りかかった者たちにとんでもない誤解を植え付け……



(ひ~っ!! くくくくっ!! あははっ!! おかしすぎるだろ!! こいつら!!)



 屋根裏に潜む、髭もじゃの行商人が声を殺して爆笑する。



「こらっ! 逃げるな!!」


「んぐ! んぐぅっ!!」



 反射で逃げようとするインスを押さえ込み、全身のコリをもみほぐし終わるまで、くぐもった悲鳴と壊れそうな軋みの音が途絶えることはなかった。




「……ひ、酷い目に、あいました……」


「大人しくしてないからだろうが……というか、余計な意地を張らずにクロードか俺に預けていればマシだっただろう……自業自得だ」



 しばらくして、漸く解放されたインスはぐったりとして息を喘がせ、呆れ返ったステールがすっぱりと切って捨てる。



「……もう少し、加減と言うものを……」


「充分加減してやってるだろうが? 何だ? まだ足りないか?」


「っ! もういりませんっ!!」



 ブチブチといつまでも文句を付けるインスを黙らせようとステールが両手でもみほぐす仕草をして見せれば、ザっと青ざめたインスの悲鳴が木霊した。



「だから、静かにしてろって……」


「誰のせいですかっ!!」



 呆れるステールに、半分泣き声のような悲鳴を上げるインスは早くも揉み返しで痛む身体を必死で抱いて距離を取る。



「……大体……っ!?」



 言いかけたインスが不意に言葉を途切れさせた。

第6話をお読みいただきありがとうございます。


アインを無事にベッドへ寝かせ、ようやく一安心したインス。


しかし、疲労困憊のインスを見兼ねたステールとクロードによって、逃げ場のない「身体の揉みほぐし」が始まってしまいます。


声を封じられて身悶えるインスの抵抗も虚しく、部屋の周囲や屋根裏にはまたしても凄まじい誤解と爆笑が広がっていき……!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「口を塞がれるインス WW」「爆笑するネズミWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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