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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第4章 発芽の兆しと不穏の兆し

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第5話・丸投げするのが最高の~異常の理由とそれ以前~

第4章 発芽の兆しと不穏の兆し



      第5話・丸投げするのが最高の~異常の理由とそれ以前~



 これ以上、ジャンヌに付き合って、好き勝手言わせていたら話が拗れる。


 あるいはすべてが停滞してしまうだろう。



 一瞬でそう判断したインスは、にこりとジャンヌに微笑みかけた。



「では、お(・)二(・)人(・)で(・)是非とも完璧な『作戦』を立ててください。素晴らしい作戦ができると期待しておりますよ」


「もちろんよ! 任せて!!」



 そうして、一言そう告げれば、ジャンヌは満面の笑みで気合いを入れる。



「……な……っ!?」



 丸投げされたことに気づいたファンが絶句するが知ったことではない。



「……決行前に情報をご共有いただければ、お手伝いできるかもしれませんので、その際にはお声掛けください?」



 インスはにっこりと、それはそれは素晴らしい笑顔で言い切った。



 意訳。


 下手に動かないように引き留めておいてくださいよ? その程度はできますよね?



「「………………」」



 言葉の裏を正確に読み取って、一瞬の驚きから苦虫を潰したような表情をしたファンはますます絶句し、ステールはうわぁ~……とドン引きする。



(……いきなりセージさんたちに突撃しそうな皇女殿下を宿の客室に足止めして差し上げたのに、何ですか? その顔は……)



 インスからすれば、安全圏に足止めする手助けをしただけなのだから、そんな顔で睨まれる覚えはない。


 むしろ、暴走を止めたのだから感謝して欲しいくらいだ。



「それでは、一旦失礼しますね?」


「分かったわ! ディアスと一緒に完璧な作戦を立てるから、後で聞いてね!!」



 にこりと退室の挨拶をしたインスに、やる気満々で返したジャンヌはあっさりと受け入れる。



「どんな演出にすればロマンティックになるかしら? やっぱり、告白は一世一代の大舞台よね!」


「……姫様。一体どこでそのようなお言葉を……?」


「え? 下町の女性たちがよくそんな話をしてたわよ……?」


「………………」



 ジャンヌが楽しそうに、そしてファンが早くも胃痛か頭痛を覚えていそうな声が上がるが、とりあえず部屋にいてくれればそれでいい。


 アインを抱いて立ち上がったインスはその声を背に受けながら、ステールと共にさっさと部屋を出た。



「………えげつないな………」



 扉の前で待っていたリオンが、扉が閉まるのを待ってニヤニヤしながらインスを見る。



「あのお二人が下手に動くと、拗れるだけでしょう……」


「違いない……」



 軽く肩を竦めたインスに、声を潜めてリオンは笑う。



「……ぇ……っ……と……?」



 インスに抱かれたままのアインが首を傾げてどういうことかと思案する。



「ああ。アイン君は気にしなくていいですよ? お二人が楽しく過ごして下さればいい、というお話です」


「……ぇ……っと……はい?」



 にっこりと微笑むインスにちょっと戸惑いながら、アインは曖昧に頷く。



「それより、腹減らないか? 飯にしようぜ?」



 クロードを見上げてリオンが声をかけ、一同は揃って夕食にすることになった。


―――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 一旦、レストランで食事を済ませ、部屋に戻る頃にはすっかり日も暮れて、空には少し丸みを増した月が昇っていた。



「……おい。素直にクロードに任せたらどうなんだ……?」


「……大丈夫です……」



 食事を終える頃には日中の疲れが出たのか、うつらうつらし始めたアインを、自分もフラフラになりながらも抱いたまま廊下を歩くインスを見て、呆れたようにステールが声をかければ。



 全く大丈夫ではなさそうな顔色と、危なげな足取りで……そのくせ、アインを抱く上半身はピクリとも揺らさないで……半ばステールに抱えられるインスは頑として放そうとはせず。



「全然大丈夫に見えないぞ……?」



 その矛盾の塊のような様子に半ば感心してリオンが突っ込む。



「……インス(おまえ)、いつの間にそんなにアイン(そいつ)にべったりになったんだ?」



 それから、そう言えば……と首を傾げて聞いた。



「……べったりって……私がアイン君を大切にすることに何か問題でも……?」



 リオンの物言いに、若干不服そうな表情を見せたインスの目がマジ。



「……いや……何も……」



 ダメだ。こいつにその辺りを突っ込んだらマズイ。



 その瞬間の寒気に、一気に顔色を悪くしたリオンは必死になって首を横に振る。



「……あ~。でも……ファンの野郎が、なぁ~……」



 それから、ふと気づいてごにょごにょと口の中で呟いた。



 なるほど、ファンとインスがたまに視線でバチバチ殺し合いを始めそうなほどの火花を散らしているのはそういう……



 皇都を出た頃から気にはなっていたが、インスのこの反応で納得した。



 こいつら、いつの間にかヤバい領域に足を突っ込んでやがる……ファンが警戒するのも当然だ。



 以前のインスは……何というか、誰に対しても飄々として、執着などなさそうだったのに、今は異常なほどアインに傾倒している。



 それは、場合によってはジ(・)ャ(・)ン(・)ヌ(・)を(・)危険に晒しかねない。


 護衛騎士団長としても、この極秘討伐隊の実質的な隊長としても歓迎できない状況だろう。



「……私とアイン君がどうこう以前の問題だと思いますが……」


「「それはそう」」


「……………」



 ムッとしたように言ったインスに、リオンとステールは同時に頷き、クロードも無言で首肯する。



「……ん……? ……ぃ……んす……さま……?」


「ああ……騒がしくしてしまいましたね……大丈夫ですよ……おやすみなさい、アイン君……」



 その声に、インスの腕の中でもぞりと身じろぎしたアインが眠そうな瞼を薄く持ち上げた。



「……は……ぃ……ぉ……やす、み……な……」


「「「「………………」」」」



 こつんと、インスの肩に頭を落として、ごにょごにょと返事をしたアインの声が途中で途切れる。



 すうすうと、小さく寝息が聞こえてきて、大人たちはそっと、息を吐いた。

第5話をお読みいただきありがとうございます。


ジャンヌたちの暴走や無謀な突撃を防ぐため、笑顔で「作戦立案」を丸投げして見事に客室へ足止めしたインス。


暴走を防いでひと安心した一同は無事に夕食へと向かいます。


しかし、アインに対するインスの「尋常ではない傾倒ぶり」と重すぎる情愛を前に、リオンは冷や汗をかくことになり……?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「笑顔で丸投げWW」「インスの愛が重すぎるWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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