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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第4章 発芽の兆しと不穏の兆し

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第4話・エントランスで待ち受ける~思考回路が理解不能~

第4章 発芽の兆しと不穏の兆し



      第4話・エントランスで待ち受ける~思考回路が理解不能~



 宿の玄関を入ってすぐ。



「四人共! おかえりなさい!!」



 エントランスにジャンヌの綺麗な高音の声が響く。



「「「「…………………」」」」



 ピクリとして足を止めた四人が声の方を見ると、レセプションコーナーの休憩スペースにジャンヌとファンとリオンの姿。



(……なぜ、玄関前(こんなところ)に皇女殿下が……?)



 インスは満面の笑みで駆け寄ってくるジャンヌをまず見て、そのすぐ隣にいるファンと後ろにいるリオンを冷え切った視線で射抜く。



「「………………」」



 すいっと、ファンとリオンが視線を逸らしたのは、まあ、そういうことだろう。



(……部屋に留めておくことすらできない、と……)



 ますます冷めきった眼差しを一瞬だけ細くして、正面に立ち止まったジャンヌを見る。



 どうやら、インスたちが宿に戻ってくるのを、今か今かと待ち構えていたらしい。



「……とりあえず? 一旦戻りましょうか……」


「え? どうせなら食事……」



 インスがにこりと笑って言えば、時間も時間だし、夕食を食べながらでも……とジャンヌは言いかけるが……



「戻(・)り(・)ま(・)し(・)ょ(・)う(・)か(・)?」


「…………はい……」



 笑顔の圧を強めたインスに、少しだけ顔を引きつらせたジャンヌも漸く頷き、一行はジャンヌが使用している宿室へと移動する。 



「で、どうだった!!」



 部屋に入った途端にずいっと顔を寄せて来たジャンヌの目がキラキラ……いや、ギラギラと好奇心でテカっていた。



「「「……………」」」



 クロードとリオンは部屋の前で待機。


 中に入ったのはジャンヌとファン。


 そして、直接フィール家の面々と顔を合わせたインスとアイン、そしてステール。



 ジャンヌが、インスの顔を見上げるようにして距離を詰めた結果、腕に抱かれたアインが潰れそうになっていた。



「姫様……少し、距離を開けて下さい……危険です……」


「え? 何が??」



 眉間に深々と、何本もの皺を刻んだファンが窘めれば、身を引いたジャンヌがキョトンとして首を傾げる。



「……とりあえず、一旦座らせて頂いても……?」



 ジャンヌの様子にも、ファンの言いざまにも不満はあれど、今は先に少し休みたい。



 アインを降ろすつもりは微塵もないが、疲労が蓄積しているのは事実だ。



(……あれ? これって、もしかして……?)



 ああ、そうね! とジャンヌが応接セットに向かうのに付いて行きながら、インスはふと、嫌な予感を覚える。



「……………」


「……………?」



 チラリと、斜め右後ろを歩くステールに目を向けると、軽く片眉を跳ね上げてステールは視線だけでなんだ? と問いかけてきた。



(……考えないでおきましょう……)



 その視線から逃れるように目を逸らしたインスは、漸く椅子に腰を下ろして……アインは膝の上に抱いたまま……ジャンヌたちに向きあう。



 さっさと『報告』を済ませて早く部屋に戻りたい。



「……まずは結論から……リリーさんの弟である、カミルさんの病に関しては、もう間もなく問題なくなるでしょう……」


「そうなの!? よかった!! それじゃあ、セージとリリーは結婚できるのね!?」



 一度、そっと息を吐いたインスが穏やかな微笑を浮かべてそう告げれば、ぱあっと満面の笑みを浮かべたジャンヌが胸の前で軽く両手を合わせる。



「…………それとこれとはお話しが全く違いますが……?」


「……え……?」



 しかし、そのジャンヌの能天気な発言に対しては、インスは一切表情を変えずに断ち切り、キョトンとしたジャンヌは首を傾げた。



 セージとリリーが結婚できない理由……そもそも、二人が恋人同士だと決めつけているのはジャンヌだけではあるが……それは何も「カミルが病気だから。」ではない。



 あの二人が明確に恋人同士……婚約を結んでいる、と言う訳ではないのは確かだが、決して関係性が悪いわけではない、というのも事実。



 むしろ、実際のところはジャンヌが言うように、お互いを好ましく思っていることは疑いようもない。



 それでも、二人が結ばれるかどうか、に関してはカミルが病であるということと、密接な関わりはあってもそ(・)れ(・)だ(・)け(・)が理由や原因ではないのだから、すぐさま結論に行くはずもなかった。



「皇女殿下(あなた)がお考えになっておられるほど、単純ではない、ということです」


「どうして?? 好きあってるならくっついちゃえばいいじゃない?」



 重ねて言えば、ジャンヌはさも当然そうに、どこに問題があるのかとでも言いたげ。



「別に政略結婚が必要な貴族でもなければ、元々婚約の話が出てたんでしょう? なら、くっついちゃえばいいじゃない?」



 ごくあっさりと言うジャンヌは間違ってはいない。



 確かに王侯貴族の結婚は政略が絡む契約を含むことが多い。


 だが、かといって愛情を育むことができないわけではないのも事実。


 それに、そもそも平民であるならそんなことも関係ないのだから、素直に恋愛結婚すればいい。



 セージは確かに生まれた時は貴族だったのだろうが、既に爵位は返上されていて身分は平民。


 当然、セージの家族も平民。


 平民同士の結婚に一体何の問題があるというのか……とジャンヌは首を傾げる。



(……そもそも、赤の他人が口を挟む話ではないと申し上げたはずなのですけれどね……)



 あれだけ言っておいたというのに理解していない。



「んんん~~~???」



 目を眇《すが》めたインスに気づかず、腕を組んでジャンヌは唸る。



「あ、そっか!」



 ややあって、ジャンヌがぽん、と手を打った。



 ……物凄く、嫌な予感がするのはなぜだろう??



 そのジャンヌの様子に、ファンも、インスも、ステールも微かに緊張感を高め、アインがオロオロしながらこっそり顔色を窺う。



「なるほど! プロポーズ大作戦ね!!」


「「「………(……一体どうして、その結論に(なるのですか)……?)

………」」」」



 グッと拳を突き上げ満面の笑みで宣うジャンヌに、絶望的な気持ちになって絶句した。

第4話をお読みいただきありがとうございます。


フィール家での話し合いを終え、宿へと戻ってきたインスたちをエントランスで目を輝かせて出迎えたジャンヌ。


無事に回復へ向かう見通しが立ったと知るや否や、ジャンヌの思考回路はあまりにも明後日の方向へと飛躍。


満面の笑みで宣言するジャンヌに対し、インスやファンたちが絶望的な気持ちで絶句!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「インスが一番ジャンヌをコントロールしてるWW」「ジャンヌ、なぜそうなったWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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